オンライン・サミット2030年のマンションライフはこう変わる!【後編】SDGsマンションを作りたい!


コロナ禍を配慮していち早く無観客イベントとして開催したオンライン・サミットの後編は、いま注目の「SDGs(持続可能な開発目標)をテーマにしたマンションを作るにはどうしたらよいのか?」でした。 そして、新型コロナウイルス感染症防止のために外出自粛が続く中、「オンライン理事会・総会の可否」についても参加者の皆さんに意見をいただきました。

マンションでSDGs(持続可能な開発目標)を実現するには?

オンラインサミットの全編動画はYouTubeで公開中! 後半の「SDGs」編は1:22:46あたりからです。

オンライン・サミット前編では、2030年のマンションを大テーマに、11名のゲストが参加して、「マンションの課題をITで解決!」「マンションライフをもっと楽しく」という2つのアイデアを話し合いました。

オンライン・サミット参加者のプロフィールはこちら

オンライン・サミットは、スタジオ参加とオンライン参加で同時進行。司会進行は、大規模マンション「パークシティ溝の口」自治会長でもある山本美賢さんと、マンション・ラボ編集長の伊藤 鳴が担当です。

後編では、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)について、「SDGsマンションを作りたい!」というテーマで話し合っていただきます。
「SDGs」については、「SDGsスーパー高校生」と呼ばれている菊池 隆聖さんに説明いただきましょう!

外務省JAPAN SDGs Action Platform ※外部サイト

菊池 隆聖さんは、17の国際目標を表した17色のSDGsピンバッジをつけてきてくれました。

「SDGsスーパー高校生」菊池 隆聖さん

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれています。2030年迄に国連加盟国すべてが一丸となって、さまざまな社会問題を解決しようとする17の国際目標です。僕はスウェーデンやデンマークに留学して、SDGsを学んできました。いまはオンラインツール「マインクラフト」を使って、小学生を対象にSDGsを教えるワークショップなどを開催しています。

マンションでSDGsを考えるときの3つのポイント

では、マンションでSDGsを実現するにはどうしたらいいのでしょう? 
菊地さんがアドバイスする3つのポイントは以下です。

①誰1人取り残さない
住民である人間だけでなく、環境やペットに至るまで、すべてのものを取り残さない。

②バックキャスティング(大きな目標に対して、今何をすべきかを具体的に細分化する)
マンションにコミュニティがないなら、少人数でも趣味のサークルをつくるなど、すぐできることから着手する。

③ポジティブ思考
たとえば、ゴミは捨てるべき不用品ではなく、活用するべき資源。ポジティブな視点から、さまざまな問題を解決する。

SDGsマンションを作りたい!作るにはどんなことをしたらいい?

菊地さん、もはや高校生じゃない!養子に欲しい位です(笑)。
では参加者の皆さんに「こんなSDGsマンションが作りたい!」という妄想をしていただきましょう!

SDGsを課題解決の指標にする/「港区のマンション防災ジェンヌ」久保井千勢さん
SDGsの17の目標を、マンションの課題解決の指標にして合意形成の納得材料に活用していきたいです。「この議題に取り組むことは、SDGsの『住み続けられるまちづくり』の目標達成に合致しているよね?」などと説明すれば、皆も納得しやすいし、目的に向かっての合意形成もやすいのではないでしょうか。

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IT弱者やシニアを置いてけぼりにしない!/「小杉タワマンITリーダー」本平 基さん
643世帯の大規模マンションですが、IT弱者やシニアを誰ひとり取りこぼさないことを目標に、去年の台風による1週間の停電のときにLINEで住民専用の実名グループチャット(890名)を立ち上げて連絡網を構築しました。LINEが使えなかった人にも丁寧に教えることで、住民約9割のネットワークが完成。このコミュニティが、一番の防災力になると思います。

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知るべき情報が開示・共有される世の中に/「地震ザブトン」パイロット 黒田 真吾さん
住民が知りたい情報だけでなく、知るべき情報が開示・共有される世の中になっていってほしいですね。自治体が提供している地震や津波などの災害情報も、シミュレーション技術を使ってわかりやすく提供していく必要があるでしょう。作る側・売る側も、住民も、知るべき土地の情報を理解すれば、住み続けられるまちづくりになっていくのではないでしょうか。

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管理費が「0」のマンション!/住民経営マンション「ブラウシア」管理組合
住民は株主になってマンションが自分で稼いでくれ、管理費「0」円のマンションになれれば、ずっと住み続けられるのではないでしょうか。また、シニアが1人になっても、コミュニティがあるから1人の孤独を感じないマンション、どの時代でも新しい人が入居したくなる魅力的なマンションづくりをブラウシアは目指しています。その意味でも管理組合の組織力は重要だし、いま我々が手がけているブランディングづくりもその一助になると信じています。

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みんなでマンションの亀裂を探そう!/「まちづくりサザエさん」掛田 薫さん
持続可能なマンションを楽しく考えるために、たとえば「すべての人に健康を!」というテーマで、位置情報ゲームのように「みんなでマンションの亀裂を探そう!ついでにみんなで修繕しちゃおう!」というイベントを、お遊びっぽくやってみるのもいいかもしれません。自分たちの住むマンションに関心も持てるし、修繕を通して愛着も湧きます。そうやって、長く住み続けられるマンションを目指したいですね。

要配慮者を受け入れる住宅を確保する/「YouTuber大家さん」越水 隆裕さん
賃貸でいうと要配慮者(高齢者・外国人・1人親など)に家を貸してくれる大家さんはまだまだ少ない。超高齢社会では外国人居住者も高齢者も増えていきます。要配慮者に理解のある大家さんが増えて、要配慮者を受け入れてくれる住宅を確保できる社会になりたいですね。

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多言語化と本気の訓練を!/「SUUMO編集長」池本 洋一さん
越水さんのおっしゃる通り、これからの社会は外国人居住者が増えていきます。もう実施しているマンションもありますが、外国人居住者に向けてさまざまな言語で説明を明示するのは、絶対必要なことだと思います。また防災訓練も、一度自宅のブレーカーを落としてみるとか、本気じゃないと、本当の意味での訓練にはならない。本気の訓練で災害に備えていかばければ。

住民全員がSDGs屋号を持つ!/「ドローン&マッピング教授」古橋 大地さん
マンションの住民それぞれが、17のSDGs目標と紐付けて自分の部屋の屋号にします。たとえば「SDGs No.9のワナタベです」と、住民同士の自己紹介にも使えるし、一人ひとりがその目標について深く学び考えることができます。

課題をつなげてサステナブルマンションを!/「SDGsスーパー高校生」菊池 隆聖さん
SDGsは、どれか1つの目標を実現するだけでなく、実はつながって解決していくことができます。いま皆さんからお伺いしたひとつひとつの課題「情報共有(SNS)」「住宅確保(外国人)」「防災訓練(本気の訓練)」も、たとえば外国人居住者がSNSを活用することで翻訳機能が使えて情報共有できるし、SNSを通じて防災訓練にも参加できます。このように、すべてのSDGsの目標や課題はつながっていることが多いので、ぜひ課題をつなげて解決していければと思います。最終的には、皆さんがおっしゃっているように、コミュニティが一番重要です。コミュニティがサステナブルマンションをつくってくれるのではないでしょうか。

グラフィックレコーディングで、みんなのSDGsアイデアをわかりやすくまとめてくださった千葉晋也さん。グラフィックレコーディングの手法を理事会に取り込めると楽しそう!

オンライン理事会・総会はアリ?ナシ?

今回のサミット登壇者もリアル参加+オンライン参加でしたが、まったく違和感はありませんでした。理事会も、こんな風に一気にオンライン化していくのでは?

伊藤編集長

4月に実施したアンケート結果から、「理事会開催を急遽中止した」「総会は委任状/議決権行使書で意見表明してもらった」「理事会をZoomで行う予定」など、コロナ禍が管理組合活動にも影響を及ぼしていることがわかりました。一方、いち早くオンライン理事会を実施している先進的な管理組合さんもいらっしゃいます。オンライン理事会や総会について皆さんはどう考えますか? その可否についてご意見を伺えますか?

アンケート:新型コロナウイルス感染などの非常時にも有効!?オンライン理事会など、マンション管理組合運営のIT化に関する調査レポート

「小杉タワマンITリーダー」本平 基さん

オンライン理事会への希望はありますが、現時点では管理規約上難しいのと、ITリテラシーの低い住民をどうカバーするかが課題です。リアルで総会を行いつつZoomでオンライン中継も同時開催し、オンライン参加者にも議決権や質疑応答時間があるように配慮すればいいのかな。また、事前に動画で議題を説明して、事前議決・質問の収集でも良いかもしれません。
やりたいことをカバーできるオンライン総会ツールがあって、デジタルサイネージに簡単に掲示物を登録・削除できて、拡大・縮小・閲覧はタッチパネルで簡単にできる仕様だと、ITリテラシーの低い住民にも使えていいですね。

「YouTuber大家さん」越水 隆裕さん

アリ。時代的にも今オンラインで物事を進めることは、やるべきひとつのスタンスだと思いますし、「オンラインであれば」と言うことで参加する方もいるのではないでしょうか。オンラインだからこそ意見を言える!という部分もあると思います。
僕自身は賃貸の立場で言わせていただきますが、家賃の回収がクレジットカードでできるシステムまたはアプリの開発が進むと良いと思っています。手数料の問題もあり、なかなか業界でも進まない分野なのですが。

「まちづくりサザエさん」掛田 薫さん

アリ。理事会の効率化や参加のしやすさにつながりますから。

「ドローン&マッピング教授」古橋 大地さん

アリ。ただし、声の大きい人の意見だけをピックアップしないように、バランス感覚が必要です。課題は、投票の仕組みだと思います。みんなが使いやすい投票サービスで、インターネットでの意思決定に向いた制度を取り入れた仕組みだと理想的です。

「地震ザブトン」パイロット 黒田 真吾さん

アリ! 現在はアナログ理事会で参加数も少ない状況で、オンラインにすることで参加数が多くなるかはわかりませんが、委任状を集める手間などは効率化できそうです。私もマンションの理事・監事を務めたことありますが、出張が多く、総会前の打ち合わせに参加できませんでした。出張先などの遠隔から理事会に参加できると、仕事で忙しい人も取り込みやすいかも。ただし、理事会メンバーのほとんどが70歳オーバーなので、オンライン化に必要な機材、設定、人員の準備が大変そうですね。

「港区のマンション防災ジェンヌ」久保井千勢さん

個人的には、アリ。ただし理事長や理事の構成によって、オンライン総会が開催可能か否かは、毎回違ってきそう。もともとITやSNSに拒絶反応を起こす人は、より一層拒絶する傾向が高いですから。そうした回覧板世代とSNS世代との間を埋めるサービスがあれば。それぞれに利便性が違うので、SNS未満の方や回覧板世代を置いてけぼりにしないようにしたいですね。

「SDGsスーパー高校生」菊池 隆聖さん

アリ。住民だけでなく外部の人からの知識を得たりすることが出来たり、コロナで外出自粛規制がある中でも対応することが出来ますから。

住民経営マンション「ブラウシア」加藤 勲さん(防災委員長)

「ブラウシア」ではオンライン理事会や委員会をすでにスタートしていて、今後どのように運用していくのか協議を重ねています。オンライン理事会の開催には管理規約改正が必要で、そのためには総会の開催が必要です。そこでブラウシアでは現在、理事会を成立させる過半数の理事のオフライン出席を維持しながら、それ以外の人数をオンラインで出席させる理事会で当面は凌ぎ、全員オンライン参加が可能となる環境を整備しています。次回総会開催時には、オンライン理事会が可能になるよう、管理規約の改正を予定しています。

「ブラウシア」管理組合のオンライン理事会の本格的導入から効率的運用までの話は、こちらの記事で!

オンライン理事会の本格的導入から効率的運用フェーズへ!ブラウシア管理組合の導入事例

オンライン理事会のメリットと注意点

皆さんの意見からメリットと注意点を以下にまとめてみました。これから導入を検討しているマンションの方々の参考にしていただければと思います。

オンライン理事会のメリット 注意したい点
・オンラインだからこそ意見を言える
・理事会の効率化や参加のしやすさにつながる
・仕事で忙しい理事も、出張先などから参加しやすくなる
・住民だけでなく外部の人からの知識を得られる可能性がある
・ITリテラシーの低い住民をどうカバーするか
・議題の話し合いのバランス感覚が必要。
・議決にはみんなが使いやすい投票サービスで、インターネットでの意思決定に向いた制度を取り入れた仕組みだと理想的
・ITに抵抗がある回覧板世代と、SNS世代との間を埋めるサービスが必要
・オンライン理事会の開催には管理規約改正が必要
伊藤編集長

皆さんご意見をありがとうございます。ブラウシアさんは、すでにオンライン理事会を開催中ということで、取材もさせていただきました。
また、深大寺レジデンスさんという大規模マンションで導入された事例記事も紹介していますので、興味のある方は両方の記事をご覧いただければと思います。

これからのオンライン理事会を考える!深大寺レジデンスの導入事例

リアル参加者の皆さんとオンライン参加者の皆さんで「ハイ、スマイル!」。リアル&オンラインの可能性を体感したイベントでした。皆さん、ありがとうございました!


2030年のマンションを考えると、世界規模で課題解決を図るSDGsの実現、ITツールの活用など、やるべきこと・やりたいことは山積みです。すでに、オンライン理事会の実践など、新たなツールを取り入れて進化している管理組合も増えつつあります。
マンションコミュニティや管理組合も、良い意味で常に改善・改革していきたいものですね。

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2020/07/09