これからのオンライン理事会を考える!深大寺レジデンスの導入事例

新型コロナウイルス感染症拡大防止のために3密を避ける対応は、マンションの理事会や総会にも大きな影響を与えました。活動を中止・延期する管理組合が多い一方で、積極的にオンライン理事会を実施するマンションも少しずつ増えています。今回は、いち早くオンライン理事会を実施した深大寺レジデンスの導入事例をご紹介します。

オンライン理事会とは?

PC、スマホ、タブレットなどのデバイスから複数人が参加できるオンライン会議。

オンライン理事会とは、マンションの理事がリアルにひとつの場所に参集することなく、 「STAY HOME」週間の実施と共に、テレワークのみならず、オンラインイベントやオンライン飲み会といった形で急速に浸透しました。

マンションの理事会や総会は、一箇所に大勢の理事や住民が集まって長時間話し合うという性質上、どうしても3密状態は避けられません。これを打破するのがオンライン理事会です。

導入したきっかけは、理事会の参加率向上とコロナ禍の3密対策

2020年3月からオンライン理事会を導入した深大寺レジデンス(2008年竣工)。

深大寺レジデンスは、総戸数570戸の大規模マンションです。

24名の理事が参集する毎月の理事会は、2〜2.5時間ほど要することがざらにあり、理事の物理的負担も半端ありません。期の始まりに理事にアンケートをとり、今期は第3火曜日の20:30〜開催で設定していましたが、さまざまな事情でやむを得ず欠席する理事もあり、理事会の参加率の向上が課題となっていました。

今回のオンライン理事会を推進した、深大寺レジデンス理事長の関根さん。

関根さん
毎月定期開催する理事会の出欠確認は、以前は紙やメールで申告しあっていましたが、1年ほど前から「調整さん」という日程調整Webツールを活用しています。
ただみんな仕事や家庭があるので、定時に集まることの難しさは常々痛感していました。理事メンバーの中からも「理事会はオンラインでも十分できるよね」という声もありました。
そのうちコロナになって「リアルに集まること自体が3密リスクになるならば」ということで、オンライン理事会を即決で採用することになりました。ほとんど反対意見はありませんでしたね。

オンライン理事会で使用したのは、ふだんから関根さんが使い慣れていたビデオ会議ツール「Zoom」です。初心者にもわかりやすく使いやすいと、いま人気のツールです。

オンライン理事会で、理事の参加率が88%に向上!

「オンライン理事会実施時には、Wi-Fiが入っている共有部パーティールームで私がスタンバイ。管理会社の支配人が管理員室のPCやスクリーンをセッティングしてくれました。どうしてもツールを使えない・使いたくないという方には、部屋の窓を全開にして距離を保って3密を回避しつつ、オンライン画面をスクリーンで見ることで、オフライン参加していただきました」と関根さん。

Zoomを導入して3月・4月に開催されたオンライン理事会は、第2回目にして全理事の88%にあたる合計18名が参加するという、過去最高の理事会参加率を達成しました。

深大寺レジデンスのオンライン理事会(理事総数24名)

2020年3月
合計15人出席(オフライン参加12名・オンライン参加3名)

2020年4月 理事の88%がオンライン参加
合計18名出席(オンライン参加16名・オフライン参加2名)

関根さん
小さいお子さんがいて家を空けられなかった方も、オンライン理事会なら自宅から参加できます。なんといっても、いままで参加したことのなかった理事が初参加したのは、大収穫だったと思います。「ふだん参加できていなかったのを心苦しく思っていたが、今回オンライン参加が出来て、うしろめたさが解消できて良かった」「参加する選択肢が増えるのは有り難い」という声を伺って、オンラインで実施して良かったと感じました。

オンライン理事会のメリットとデメリット

深大寺レジデンスのオンライン理事会開催で、関根さんが感じたメリットとデメリットは、以下のものでした。

<メリット>

・理事全員が予定を合わせていちいち参集しなくていいというハードルの低さ。

スケジューリングがラク(自宅から参加できるので夜でも問題ない)。

・それぞれ好きなデバイス(PC、スマホ、タブレット)で参加OK。

・Zoomの録画機能が振り返りに便利。録画データも2時間半で700MB程度で、意外と重くなかったため、今後アーカイブしやすい。

・リアルの理事会では、机をロの字に並べるため、真横の人の顔や表情までは見えなかった。オンラインだとすべての参加者の顔や表情が一覧で見えるため、意見をていねいに拾える。

・議題を画面共有するため、セキュリティが守りやすい(紙の配付資料のように個々の責任で管理する必要がない)。

<デメリット>

・デバイスの使用方法やZoomアプリ設定など、参加者にも管理会社にもある程度のITリテラシーが必要。

・音が聞きとりにくい場合がある(個々のマイクの設定の問題)。

・今回は自分がZoomの設定サポートなどができたが、オンライン理事会の設定サポートやファシリテーションのできる人が必要。

・複数人がひとつのログインPCを共有してつなぐ形は不向き(誰が発言しているのかわかりづらいため)。

・今回のようなオンライン+オフラインの混合はやりづらい。やるならば全員オンライン参加(1人1画面)がベストと改めて感じた。

また関根さんは、管理会社のITリテラシーも重要だと指摘します。

関根さん
マンション管理業協会が2019年に実施した「マンション管理トレンド調査2019」では、管理会社の34%がIT導入に関心がないという結果だったという記事を読みました。管理会社の担当者にもよりますが、管理会社のITリテラシーが低いことは大きな問題だと思います。インターネットがすでに導入されているマンションならば、オンライン理事会の導入はやりやすい。アプリのインストールや個人デバイスの設定、サポート、オンライン会議の司会進行にいたるまで、すべてがパッケージングされた便利なサービスが管理会社から提供されれば、さらに導入が進むと思います。

オンライン理事会の普及に向けて必要なことは?

関根さん
オンライン理事会は個別に参加するスタイルなので、設備的には個々に持っているデバイス(カメラとスピーカー付き)でOKです。管理組合としては、マイク、プロジェクタ、Zoom有料アカウントの購入を決定しました。さらに、管理規約に「理事会のビデオ会議参加およびオンラインでの電磁的決議を認める」という文言追加を決定しましたので、次回の総会で決議を採る予定です。

世界的な新型コロナウイルス感染症拡大という未曾有の出来事がきっかけとなりましたが、いまだけでなく、今後もオンライン理事会の可能性は広がっていくとお考えですか?

関根さん
スケジューリングのしやすさや利便性、参加率の向上という事実からも、今後オンライン理事会は継続していくでしょう。理事長の任期期間に、Zoomによるオンライン理事会の導入を実現出来て良かったと思います。大規模修繕工事委員会でも使っていきたいと考えています。
オンライン理事会導入もそうですが、マンションに住んでいて感じる「小さな不満」を、面白がって変えていく気持ちが大切です。変えていくことができる、それが集住というマンションの魅力ですから。今後はリアルで会った方がいい場合とオンラインで良い場合、上手な使い分けが大事だと思います。

アフターコロナの社会では、オンラインとオフラインを上手に使い分けていくことで、さらにマンションコミュニケーションの幅を拡大してくれるかもしれません。以前の記事でも、SNSを取り入れることでコミュニケーションが活性化したマンションの事例がありました。いまオンライン飲み会が流行しているように、デジタルツールは人と人の関係をぐんと近いものにする可能性を秘めていると言えます。

LINEやWEBシステムを積極的に取り入れているマンション管理士の深山州さんの事例紹介。
マンション理事会を効率化!SNSで手軽にはじめて、グループウェアでさらに便利に

関根さん
オンライン理事会を実施しているマンション同士をつなげてオンライン会議をすると面白いかもしれません。マンションは、他の管理組合とのヨコのつながりが少ない。オンライン会議はマンション同士がつながる可能性を広げてくれるコミュニケーションツールになるのではないでしょうか。


新型コロナウイルスの問題が、思いがけず導入を促進する結果となったオンライン理事会ですが、導入のハードルも低く、深大寺レジデンスの事例のように理事会の参加率が向上するなど、メリットの方が上回っているように感じました。マンション・ラボでは、今後もオンライン理事会を導入しているマンションを紹介してまいりますので、ご期待ください!

2020/05/22