テレワークは業務効率アップ!? コツをおさえて上手に向き合う

新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大により、急にテレワーク(情報通信技術を活用し、場所や時間にとらわれない働き方)を余儀なくされた方も多いのではないでしょうか。慣れないツールを使って在宅で仕事をする環境に戸惑うことも……。今回は、すでにテレワークを実施している会社にお勤めの方に、実際の取り組み状況をうかがいました。

【今回お話をうかがった方】

川上 賢一 さん(40代)
担当業務:ITインフラ系企業 総務部 部長
通勤時間:都内オフィスまで1時間
家族構成:本人・妻・小学4年生・小学1年生

テレワークで仕事をすると、どんな一日?

―最近はテレワークのニーズが高まっていますが、貴社では2019年からテレワークの取り組みをされているとうかがいました。実際にどのように進めているのでしょうか。

川上さん:
自社のテレワークは2018年から実験的に導入されており、2019年から本格導入となりました。現在は、総務部、情報システム部、人事部が横断で、社員のライフスタイルに変革を起こそうというプロジェクトを進めており、その一環で「テレワーク・デイズ」という企画も実施しました。オリンピック期間にテレワークとなることを想定して、今のうちにテレワークのトライアル期間を設定し、実際にやってみる、というものです。

―積極的にテレワークを取り入れていらっしゃるのですね。実際に川上さんがテレワークをする際は、どんなスケジュールなのでしょうか。

川上さん:
私のテレワークの一日の様子をご紹介するとこちらです。今回はサテライトとして使えるワークプレイスを検討するため、敢えて自宅外でのテレワークに取り組んでみました。

Time 行動 詳細内容 通勤時との相違点
6:00 起床 朝食、日課のシャワー、身支度を整える。
ニュースを見て、ゴミ出し。
テレワークの日に限って、なぜか家族が普段より早起き。
7:20 パソコン起動
7:30 業務開始 普段から使用している「Teams」(マイクロソフト社のグループウェア)を立ち上げ、業務開始を報告。
メールチェック・レスポンス、各種承認対応を実施。
通勤時は7:30に家を出るので、時間効率アップ。
普段は出かける時間なので、家族に遠慮して、部屋の隅でパソコンに向かう。
9:20 図書館へ移動 最寄りの図書館の開館時間を目指して自宅から移動。 ラッシュの通勤に比べてストレスのない、徒歩移動。
9:30 図書館で業務開始 図書館のブース型デスクにて、業務を再開。 ブース型デスクにはコンセントもあり、快適な室温+静かな空間が確保できる。1人で集中して業務を実施するには最適な空間。
午前中に時間が確保できたので、事前に決めていた業務予定を午前午後でスイッチ。集中して取り組みたい、社内向けポータル記事を作成。
仕上げたデータをTeamsへアップロードし、プロジェクトメンバーへ意見を求めた。
(インターネットへの接続は社用携帯からテザリングで)
静かな環境で集中してできたので、短時間でイメージしていたものを作ることができた。
12:30 昼食 普段よりは少し遅めのランチ。 仕事のペースに合わせて昼食時間を調整できる。
休憩しながら調査 休憩を兼ねて統計資料の閲覧。休憩時間を利用しながら読んでみる。 テレワークの場所に図書館を選んだ目的の1つでもある、資料閲覧の時間を確保できた。
14:00 午後の業務開始 午前中に予定をしていた、資料の修正作業を対応。 1日の就業時間である7.5時間を大幅に超えないように、合間に休憩を挟みながら業務時間を調整。
合間にTeamsで部内メンバーのステータスを確認しながら、チャットで会話。部内メンバーの状況も確認。 社内の状況を自分の目で見ることができないので、チャットで確認。オンライン上で様子がわかり、大きな問題はない様子にひと安心。
17:30 業務終了 Teamsでメンバーとチャットをし、業務状況の確認をして、この日の業務は終了。 みんなでチャットを始めると、途中で脱線することはあるが、いろいろなやり取りがあり、普段の会話とは違った一面を感じることができる。
17:40 帰宅 明るい時間に帰宅。 普段と違った景色を楽しめた。

テレワークを取り入れると、マネジメントしやすく生産性も上がる

―個人で仕上げる必要がある業務に集中して取り組めたようで、充実していますね。実際に、テレワークに取り組むとどのようなメリット・デメリットがあったのでしょうか。

川上さん:
まず単純に、往復2時間の通勤時間が削減できたのは、時間の効率化、心理的負担の面から、メリットが大きいです。その他のメリット・デメリットについては、次のような点が挙げられます。

【メリット】
・業務内容・取り組む姿勢の明確化

テレワークは基本的に事前申請のため、あらかじめ業務内容・成果を明確にし、上長や部内に共有する。テレワーク当日に改めて取り組み業務内容を申告し、終業時に状況報告をする。その結果、テレワークの際は、取り組む業務内容が明確になり、取り組み姿勢も見えてくる。マネジメントの立場としては、メンバーが実施している業務を明確に把握でき、マネジメントしやすい。予定表に入っている内容よりも、詳細な進捗内容を把握する事が可能となる。

・生産性の向上

個人で作業するものに関しては、1人で集中して実施する事で効率が上がるものが多いので、生産性が上がる。

・コミュニケーションの効率化

他の人の予定表やTeamsのステータス(個人で設定)を確認した上で、最適なコミュニケーション手段(チャット、メール、電話等)を利用し、アクションを起こすので、相手に迷惑をかけずにコミュニケーションが取れる。

【デメリット】
・社内の状況・雰囲気の把握が難しい

部内メンバーとはチャットができるが、役員や他部署の状況など、普段は同じフロアで様子を確認していることが、できなくなり、総務の業務特性として、やりにくさを感じる。特に、自然災害や今回の新型コロナウィルスなどの大きな事象等が発生した場合、社員への素早い対応を求められるが、テレワークでは情報を得にくく、社内での対応より遅れが生じる可能性がある。

・時間管理の意識改善

テレワークは一人で集中する業務になるため、予定時間をオーバーして業務を続けてしまう事が多くなる。普段よりも時間管理の意識を高める必要がある。

テレワーク活用のコツは、業務の組み立て方とICTツール

―通常時の仕事をする上で、業務によってテレワークを取り入れることは、メリットが大きいようですね。今後、テレワークを進めるにあたり、課題となることはどんなものでしょうか。

川上さん:
一人で集中したい業務のときは、テレワークだと効率が上がると感じています。そのためには、通常の業務でも同じですが、日々の業務を効率的に運用できるよう組み立てる必要があります。月→週→日ごとに、目標をブレイクダウンして、その日の業務のゴールを設定する際に、テレワークにすると効率がよくなるものを週単位などでまとめておくと、業務パフォーマンスの向上にもつながるのではないかと思います。

また、現状ではICTツールを社員全員が同じように活用できているわけではないので、スケジューラーに業務内容を入れることを皆が徹底し、Teamsで相手のステータスをチェックしてからコミュニケーションを取る、チャット機能を活用する、などの運用が普及すると、時間や場所を選ばずにスピード感のある業務が可能になるのではないでしょうか。実際にチャット機能を使うと、社内では口頭で話してメモを残し損なうことも、履歴が残るので共有しやすいですし、同時にいくつかのチャットを進めることができるので、時間効率も上がります。ただ、急にテレワークだからと言って慣れないICTツールを使うのは、逆に時間効率が悪くなります。普段からスケジューラーに業務内容を入れて共有しておくなど、ICTツールを使い慣れておくと、テレワークとなっても柔軟に対応ができるのではないでしょうか。

―普段から、業務効率を考えて仕事を組み立て、ICTツールを活用することで、テレワークでできる業務範囲が広がりそうですね。実際にテレワークを行っている方のお話をうかがうと、イメージが具体的になってきます。ありがとうございました。


■まとめ

通勤時間を大幅に削減できるテレワーク。自宅や近隣で仕事ができると、数時間を有意義に使うことができ、大きなメリットです。また、ICTツールのチャット機能を使えば、上司や同僚への相談も気兼ねなくでき、孤独感もなさそうな上に、業務の組み立てによっては生産性も上がる様子。在宅が推奨さされているこの機会に、テレワークを取り入れてみると、業務効率アップにつながるかもしれません。

(文 衣笠可奈子)

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