誰でも美味しい野菜ができる!マンションの一室で栽培される、IoT(Raspberry Pi)を使った野菜作りをレポート!

とあるマンションの一室で、IoTを使って野菜栽培をしている方がいると聞き、取材してきました。
とっても興味深くて、マネしたくなること間違いなし! ぜひご覧ください。

IoTを使った野菜作りの仕組みときっかけ

IoTを使って、自室で野菜栽培をしている栁澤重守さんと愛犬のウィンリィー。

編集部
いきなりですが、こちらのIoTを使った野菜栽培キットは、どこかでセット販売しているものなんでしょうか?

IoTを使った野菜栽培のキット。すべて自作!

パイプの穴からは、おいしそうなクレソンが育っていました。

栁澤さん
いえいえ、全部自分でつくりました(笑)。パイプ式のラックは市販されてますけど、そこに熱帯魚飼育用のウォーターポンプやカメラ、室温・湿度・気圧・CO2・水温などのセンサー、植物育成ライト(赤青LED)などを組み合わせました。仕組みとしては、カスタマイズしたアプリを使って、植物にパイプで水を循環させて、成育環境をコントロールして栽培している感じです。

栁澤さん作のパイプ式ラックを使ったIoT×野菜栽培キット。水は常に循環していて、自動制御のLEDランプで光を照射し、照度や温度などを制御する仕組み。

設置されたセンサー。室温、気圧、CO2、水温、湿度、照度までがモニタリングできるそう。気圧が高い日は植物が水をよく吸収するので減りが早い!という状況などが把握できる。まさにIoTの力!

カスタマイズしたアプリ。スマホからIoT栽培キットの遠隔操作&監視が可能となっている。これなら不在時にも状態がわかってすぐに対応できる。

編集部
すごい仕組みですね!そもそもどうしてIoTを使って野菜をつくろうと思ったんですか?

栁澤さん
脱サラしようかと思って。冗談です(笑)。
まあ、実家が野菜づくりをしていて馴染みがある、ということが大きいですかね。あとは、IoTを使った農業って5〜6年前から流行していたし、農業ってどうしてデータ管理してシステム化できないのかな?っていう疑問もあったんで、ちょっと試しにやってみようという感じでした。
とりあえず始めてみて、わからないことがあったら都度調べる。その繰り返しでいまのシステムができました。いまも改良しつつ、ですよ。

IoT化のメリットとは?

栁澤さんが参考にした書籍。こんなマニアックな専門書がすでにあったとは!

編集部
IoT化してみて、よかったことってなんでしょう?

栁澤さん
最初は、IoT化すればラクして無農薬野菜をつくれるかなーと思って始めました。でも、いまはちがいます。IoT化すると「光が不足したら緑が薄くなる」「液体肥料を与えると成育がぐんと良くなる」という、こうしたらこうなるという結果が目に見えてわかるんですよ。そうなると、野菜の育つ様子が気になってしょうがなくなって(笑)。自動化のためだけじゃなく、かっこよくいえば「野菜たちの声を聞く」ためのツールかな。

編集部
IoTで野菜の水耕栽培をすると、栄養価も変わるんですか?

栁澤さん
まだそこまではやっていませんが、水耕栽培用肥料で野菜の栄養素を変化させることもできます。たとえば腎臓病患者さん向けの低カリウムレタスや、苦みの少ない低硝酸ほうれん草をつくることもできるみたいです。

アイスプラントが自宅でつくれるなんて!

編集部
「野菜の声を聞くため」ですか!カッコイイですね!
ちなみにこの装置をつくるのに、費用はどれくらいかかりましたか?

栁澤さん
じつはこれ、全部アマゾンと「100均」で入手できるアイテムばかりなんです。総額3万円ちょっとくらいかな?

編集部
もっとかかっている印象がありましたが。

栁澤さん
ランニングコストも、電気代が1か月1,000円いくかどうかです。

「今日のひよこたち」という件名で、成育写真メールが1日4回、夫婦2人のメアド宛てに自動送信される設定。取得したデータは、すべてクラウドへも保存しているので、見たい時にクラウドへアクセスすれば「ひよこ達(野菜)」の様子がどこでも確認できます。

編集部
ちなみに、奥さまはこのIoT野菜システムについてどう思われているのでしょうか?

栁澤さん
最初は大反対でしたね(笑)。でも、食べられる野菜をつくるならいいよってことになって。いまや自分で収穫して料理に使っています。

編集部
実は、奥様には別途メール取材をしたところ、このような感想をいただきました!

【栁澤さん(妻)の感想】

IoTのことはよくわからないんですが、野菜についての夫婦の会話が増えましたね。毎日ちょっとずつの成長が楽しいし、食べられるというオマケ付きですから。
夕方17時半には自動的にLED電気が点くシステムなので、帰宅途中に明かりの灯っている窓を見ると、なんだか野菜たちが帰宅を待っていてくれるような気がします。暮らしの中に野菜があることで、確実に生活に楽しみが生まれたように思います。

編集部
野菜のある暮らし。なんだかいいですね。夫婦仲にもいい効果が出てきそうです(笑)。ところでちょっと気になることが。実は私は虫が苦手なんですが、室内だから大丈夫なんでしょうか?

栁澤さん
去年の12月から始めたところなので、まだ夏を経験していませんが、いまのところ見たことはありませんね。

編集部
ちなみにいままでにどんな野菜をつくりましたか?

栁澤さん
小葱、クレソン、バジル、アイスプラント、フリルレタス、大葉、ブロッコリースプラウト、二十日大根、シマトウガラシ、ロマネスコカリフラワーなど。水耕栽培なので、葉もの野菜は相性がいいですね。

IoTでできた野菜はおいしい?

すくすく育つ野菜たちが、まるで子どものような存在になっているのかも!

編集部
IoTでできた野菜の味っていかがですか?

栁澤さん
ぜひ食べてみてください!スーパーで売っている野菜と比べて苦みも少なく、やわらかい気がしますね。

その場で採れたてフリルレタスをいただいてみることに。味を知るために、そのままでいただきます!

編集部
あ、おいしい!フリルレタスがやわらかくてシャキシャキして、なんだか甘みが強い気もしますね。

栁澤さん
自分が植えた種から芽が出て、大きくなっていく。一日一日の成長をずっと見守っていますからね。「自分たちがつくった野菜」だから大切に食べるし、美味しく感じる。「次はこんな食べ方をしてみようかな」と2人で考えるのも楽しい。バジルは、自分で生地から打ったピザに載せたりしてね。

いつでもバジルが収穫できるって、めちゃくちゃ嬉しい〜。

編集部
育てる楽しさ=食べる楽しさにつながっているんですね。いいですねえ。うちの子どもも喜びそうだな〜。

野菜の自給自足も夢じゃない?マンションの共用部でIoT野菜を栽培しよう!

こんなIoT野菜栽培が共用部分に誕生したら楽しそうー!

編集部
ちなみに、こういうIoT野菜栽培のキットをつくって、マンション共用部分に設置したら、住民みんなで利用できそうじゃないですか?

栁澤さん
全然アリだと思いますよ。いまは実験的に自分で試しているところですが、実はコンパクトなIoT野菜栽培キットとして商品化できないかなと考えていて。野菜の成長過程が目に見えてわかることが、このキットの楽しさです。
たとえばシニアホームにIoTキットを導入して野菜を栽培して販売すれば、身体が弱っているシニアにもできるし、仕事ができて生き甲斐にもつながります。マンションであれば、エントランスホールとかみんなに見える場所で育ててみたいですよね。住民のコミュニティ形成にもなりそうですし。

編集部
マンションで野菜をつくって食べることができたら、すごくハッピーになりそうですね。それに子ども達の夏休みの観察記録なんかにもなりそうだし。やってみたいマンションもあるんじゃないですかね? 
今度仲良しのマンションに話してみようかな?それこそ、村おこしならぬ「マンションおこし」で、「●●マンション産のIoT野菜」なんてできたらいいですね。収益化できちゃったり(笑)。

栁澤さん
それ、おもしろいっすね! 協力しますよ!

編集部
ぜひぜひ! 栁澤さん、今日はありがとうございました!


IoTってなんだかとっつきにくいイメージがありました。でも、栁澤さんの「野菜づくり」は違っていました。野菜の様子をいつでもチェックできたり、知識さえ学べば誰でも美味しい野菜ができるというテクノロジーの力。それによって暮らしが豊かになっていく様子が、お話からよくわかりました。
今度は栁澤さんに「IoT野菜装置」の作り方をもっと詳しく聞いて、自分でも試してみたくなりました! IoTには、工夫次第でまだまだ無限の可能性があるんですね。これからもどんどん紹介していきますので、お楽しみに!

2019/04/05