IoTでマンションの騒音問題が解決?学生寮での取り組みが面白い!

マンションでの騒音問題、なかなか解決するのは難しいですよね。そんな問題を解決するためのヒントになりそうな面白い取り組みを学生寮で行っていると聞き、さまざまなIoT事業やプロジェクトを手掛けるand factory株式会社にお話をうかがいました。

IoTを導入した学生寮とプロジェクトについて

「チェルシーハウス国分寺」の寮生が集う交流の場、広々としたリビングです!

今回IoTを導入した「チェルシーハウス国分寺」は、学びの場づくりを行う特定非営利活動法人NEWVERY(ニューベリー)が運営する学生寮です。20以上の大学・短大・専門学校から男女50人程度が入寮し、門限や管理員もなく、シェアハウスのように自分たちの生活や学びの場は自分たちでつくるという意識のもとで暮らしています。

チェルシーハウス国分寺 ※外部サイト

このプロジェクトは、IoT事業の実績を持つand factoryと、学びのコミュニティづくりに実績を持つNEWVERYが協力することで、共同生活の課題をIoTによって解決するだけでなく、学生の共同体験を通じてIoT機能やその利用方法を洗練させて、次世代のビジネスを創出することを目的としています。つまり学生たちにとっても、学びの機会ということなのですね!

特定非営利活動法人NEWVERY ※外部サイト

まずは、今回のプロジェクトに大きく関わったお2人に、IoT導入後の状況について聞いてみました。

【導入前のお話はこちらでご覧いただけます】
IoTで共同生活のトラブルが予防できるってホント!? 未来のマンションにも役立つ実験についてきいてみた!

「IoT学生寮プロジェクト」を担当したand factory株式会社の石井 裕さん。

IoT実装作業を担当した寮生の藤江涼太さん。東京農工大学で情報工学を学んでいます。

【今回のIoT実装における工程とand factoryの役割】

今回の「IoT学生寮プロジェクト」は、単にand factoryが学生寮にIoTを導入するのではなく、企画・プログラミングや機器の設置までを「チェルシーハウス国分寺」の学生と共に実行しました。

■STEP1 課題の抽出
学生寮に住む学生たちに共同生活における困りごとやIoTへの期待をヒアリングし、解決すべき課題の優先順位を精査。

■STEP2 実装案の企画、UI/UXデザイン
STEP1で抽出した課題に対しIoT活用によるソリューションについて学生のアイディアを基にブラッシュアップし、機器の選定なども含めて実現可能な方法を企画。

■STTEP3 プログラミング、機器設置のサポート
STEP2で企画した内容を基に、プログラミング方法についてand factoryのエンジニアが随時アドバイス。コードを書く作業は学生が担当。

学生寮に導入された3つのIoT機能とその効果とは?

—学生さんが課題の抽出からコードまで書いたというのがオドロキですね!では、具体的に実装された機能について教えてください。

and factory石井さん
学生寮の共用スペースに実装したIoT機能は3つあります。
①騒音アラート機能
②IoT照明による音声調光
③天気情報の見える化
これは、実際に住む寮生のアイデアを取り込んだものです。寮生は、デバイス探しやプログラミングコードを書いてIoT実装を担当するなど、とても活躍してくれました。
3つの機能について、寮生の藤江君に紹介してもらいましょう。

①スマートスピーカーによる騒音アラート機能で静かな環境を

ディスプレイに映っているのは、藤江さんたち寮生から提案したプレゼンテーションシート。騒音アラート機能は、みんなが集まる共用スペースの騒音が基準値以上になると測定デバイスが検知して、スマートスピーカーが「静かにしましょう」などのアラートを発します。

寮生 藤江さん
共用スペースのリビングダイニングに人が集まると、つい夜中まで盛り上がって大声になりがちですが、深夜の大声での会話に、面と向かってうるさいと言えない寮生もいたようです。共同生活だから人間関係も考えると、なかなかそこまで言えません。
そこでスマートスピーカーと騒音を検知するデバイスを活用しました。騒音検知レベルに合わせて3段階のアラートを用意し、日中はアラートを出さず、静かにして欲しい夜間にアラートを発します。問題は、携帯の電源をとるためにスマートスピーカーの電源を抜いてしまう寮生がいることですね(笑)。これからの課題です。

and factory石井さん
騒音アラート機能は、頭ごなしにメッセージで注意しても聞いてもらえないこともあります。「静かにしましょう」とたしなめるのではなく、もっと能動的な呼びかけメッセージにしていくといいかもしれません。今後使いながらブラッシュアップしていくとよいですね。
騒音を検知するデバイスは、温度・湿度・気圧・二酸化炭素濃度も測定できるので、室内の換気タイミングのアドバイスや、心地良い部屋環境づくりなどにも応用できます。課題解決だけでなく、心地良い住環境をつくりだすことにも活用していけますね。

②照明のIoT化で、共用スペースの照明の消し忘れを防ぐ

照明の消し忘れが頻繁に起こっていた共用スペース。スマートスピーカーとIoT照明を連携させて、音声操作と調光を可能にしました。

寮生 藤江さん
共用スペースでは、照明の消し忘れが頻繁にありました。寮内のあちこちに照明スイッチが分散していて、照明のオン・オフが面倒なことにも原因があったので、スマートスピーカーによる一括音声操作を実装しました。おかげでこまめに照明を消すようになりました。
意外なことに、寮生にはリビングの照明のカラーを変えるモードの反応がよかったですね。寮の運動会イベント後の打ち上げパーティで、クラブモードの照明にして評判がよかったです。

リビングスペースの照明のカラーバリエーション。これならパーティの雰囲気が盛り上がること間違いなしですね。

③玄関照明の色の変化で、天気情報を把握

天気情報データベースとIoT照明を連動。降水確率や紫外線指数によって、玄関の照明の色を変えて、天気情報を見える化しました。

寮生 藤江さん
寮は全室相部屋です。リビングのテレビが共用なので、好きなときにニュース番組が見られません。天気予報を聞かないで出かける学生もいます。
玄関に設置したIoT照明の色で天気情報がわかるので、出かけるときに傘が必要なのか、紫外線の強さはどうなのか、その場で判断できます。学生寮だから、みんな自分の生活は自分で面倒をみています。雨が降る前に洗濯物を取り込むとか、一日晴れだから干したまま出かけるとか、事前判断ができるようになったのは、地味だけど役立つ情報です。

寮生からのアイデアで、さらに便利な機能追加を目指す

チェルシーハウス国分寺は、キッチンをシェアして自分で料理をするスタイル。他にも、共用冷蔵庫、ランドリールーム、スタディルームなどを寮生でシェアしています。キッチンにモノが出しっぱなしだとか、誰が置いたモノなのかわからないという、共同生活ならではの悩みがあります。

——チェルシーハウス国分寺は、今後もさらにIoTを実装していく予定ですか?

寮生 藤江さん
そうですね。女性からは「お風呂の順番待ちがスムーズにできると嬉しい」という要望が出ています。他にキッチンをきれいにしたい、冷蔵庫内の私物がわかるようにしたいという声もあります。アイデア出しだけでも参加したいという寮生もいるので、and factoryのみなさんや寮生のみんなと話し合って、今後もアップデートを重ねていきたいと思います。

——今回の実装で気付いたことや学生さんとの連携で感じたことはありますか?

and factory石井さん

集住環境である学生寮にIoTを導入したことで、スマートスピーカーが騒音に対する注意を代理で言ってくれる、照明の消し忘れを解決する、雨が降る前に洗濯物を取り込めるために天気予報情報を見える化するなど、意外と人間臭い課題が浮き彫りになった気がします。
今回一緒に実装までやってくれた学生たちは、わからないことは自分でスマホで調べて行動に移す習慣が身についていて驚きました。1を説明するだけで100のアイデアが出てくるくらい、好奇心旺盛で発想が柔軟です。 私たちも彼らを見習いつつ、今後も一緒に連携していきたいと考えています。

チェルシーハウス国分寺を運営する特定非営利活動法人NEWVERY(ニューベリー)佐藤志保さんにも、今回のand factoryさんとのプロジェクトについてお話を伺いました。

—寮生である学生も参加するIoT学生寮というのがユニークでしたね?

NEWVERY佐藤志保さん

NEWVERYは、共同生活を通して学びの場になるようなかたちで学生寮を運営しています。寮生も、コミュニティ活動やシェアの概念に関心が高く、寮の内外のイベントにも積極的に参加しています。
今回のように、自分たちが暮らす共同生活の場の課題を解決して心地良く暮らすために、and factoryさんという専門家集団と一緒に、プログラミングや体験の場づくりを設計できたことで得たものは大きいと思います。学校で習っていること以上に実践的な学びを得たのではないでしょうか。

—学生寮へのIoT導入から、マンションでのIoTサービス提供につながりそうでしょうか?

and factory石井さん
寮生たちは、生まれたときからスマホやNetがあるデジタルネイティブ世代です。IoT導入にあたっても抵抗感なく使いこなせて、住空間の実証実験としても最適な場でした。彼らがIoTを使いこなすことで、共同生活の暮らしに根ざしたリアルなIoTサービスが生まれてくることに期待しています。将来的には住空間でのIoT機能の実装につながっていくと思います。

マンション共用部分でIoTを活用できそうなアイデアとは?

マンション全体でIoTが導入されたら、マンションの課題解決にもつながるのでは?

チェルシーハウス国分寺でのIoT事例を伺い、編集部でマンションでの展開を考えてみました。

・マンションの騒音問題解決に活用!

スマートスピーカーが、そこを代弁する第三者的存在となって人間関係の仲介役になるというのがおもしろいですね。

マンションのゲストルーム、パーティルーム、エントランスホールなど、共用部分での騒音アラートに使えるだけでなく、専有部分の住戸にも基準値以上の騒音が出たら注意を促すスマートスピーカーが標準設置されたら、マンションの騒音問題解決になりそうな気がします。ちょっと難しいかな?

・天気予報などの生活情報掲示板として活用!

玄関の照明の色で天気情報を伝えるというのは、いいアイデアでした!
色や形で、ひと目で分かるようにする「情報の見える化」って大切です。照明の色で伝える他に、エントランスホールにデジタルサイネージやお天気情報ロボットがいたりしてもおもしろいですね。

・エレベーターの混雑状況などを事前に教えてくれる

タワーマンションなどでは、朝の通勤時間帯などにエレベーターがなかなか来ない、来ても混雑していて乗れない、といった不満もあると聞きます。そんな時、IoT化でエレベーターの位置や混雑状況がわかったり、空いている時間帯などをスマートスピーカーで教えてくれたりすれば、ストレスも解消できそうな気がします。

・楽しめるIoT機能を実装!

今回のIoT学生寮プロジェクトで興味深かったのは、パーティーモードの照明が人気だったこと。やっぱり人は、楽しめるものをいち早く受け入れます。
騒音アラートも、and factoryの石井さんが指摘されたように、騒音を注意するだけでなく、ポジティブな楽しめるアドバイスだと受け入れやすくなりそうな気がしました。
マンションのコミュニティ力を高める、楽しいIoT機能を探してみたいと思いました。


「IoT学生寮プロジェクト」の導入事例を詳しく伺えたことで、マンションという集合住宅の共用部分でのIoT化についても具体的にイメージすることができました。

もちろん共用部分へのIoT実装は、新築マンションの場合はデベロッパーさん、既存マンションの場合は管理組合の領域ですが、マンションIoTパッケージみたいなものがあれば、導入のハードルが下がりそう! 今後もマンションライフに役立つIoTアイデアを探していきたいと思います!

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and factory株式会社 ※外部リンク

Smartphone Idea Companyとして、スマートフォンが持つ事業可能性に対して取り組む。最先端のIoT空間を楽しめる体験型宿泊施設スマートホステル「&AND HOSTEL」を全国で展開。「未来の家プロジェクト」、「IoT学生寮プロジェクト」など、未来を見据えた協業プロジェクトを推進中。オフィスには、国内外30以上のIoTデバイスを常時展示した、近未来のIoT空間を体験できる「スマートショールーム」を開設している。

※「&AND HOSTEL」および「スマートホステル」はand factory株式会社の登録商標です。

2019/02/08