フランスでも広がるAirbnb。経済効果は2兆5000億円にも!

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旅先で現地の人たちの個人宅を借りる“民泊”のプラットフォームAirbnbは、あっという間に世界に広がっています。

年間8300万人以上の外国人観光客が訪れ、世界1位の観光客数を誇るフランスでは、2012年にサービスがスタート。報道によると、Airbnbの物件数は5万を超え、世界の都市の中でもっとも多いそうです。

フランスでもéconomie collaborative(シェアリング・エコノミー)のひとつとして注目を浴びていますが、法律面と照らしあわせると、解消できていない複雑な課題もあります。日本では賛否両論があるようですが、フランスでの事情を調べてみました。

Airbnbの利用者やホストのプロフィール

Airbnbが昨年11月に発表したフランスにおける経済効果についてのレポートを見てみると、ホストやゲストのプロフィールが紹介されていました。

・Airbnbによるフランスへの経済効果は2兆5000億円、1万3300人の雇用支援につながった。

・2008年以降、フランスへの旅行者650万人がゲストとしてAirbnbを利用。現在フランスのゲストのリストは、13の地方、1万1000以上の市町村に広がっている。

・2014年9月から2015年8月まで、390万人がフランスでAirbnbを利用。また410万のフランス人が旅先でAirbnbを活用。

・フランスにおける平均的なホストは、貸し出すことで年間1970ユーロの収入を獲得。40%以上が、ホストとしての収入によって家に住むための費用をまかなっている。

・フランスのホストの平均年齢は42歳。4分の3近くの学歴は大学卒業レベルで、半数がフランスにおける平均収入以下。

・ホストのほぼ4分の1が自由業または経営者で、退職者は13%。

Airbnbは、「フランスのホストは定期的に部屋や家を貸し、この収入によって生活が支えられている人が多い」「ゲストたちは、平均より長く泊まり、より多く消費し、多くの人が再び訪れたいと思っている」などとし、ホテル産業にマイナスの影響を与えることなく、現存する観光産業を補完する役割である」とまとめています。

また新聞各社の報道によると、平均滞在日数は4.2日(ホテルは2.3日)だそうです。

ホテル業界との関係

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日本で懸念されているのは、旅館業法との関係や外国人旅行客のトラブルへの懸念、それに伴う近隣住民との課題など、さまざまあります。

フランスでも、ホテル業界が反旗を翻した例がありました。フランス国鉄SNCFが2015年12月、Airbnbとの提携を解消したのです。

両社が提携していたサービスとは、2016年2月末までにAirbnbのホストに登録して、200ユーロ以上の部屋または家を貸し出せば、フランス国内の電車チケットが当たるというもの。Airbnbにとっては新しいホストを増やすことができ、SNCF側にとってはコストを抑えて旅行をしたい客層をつかみこむことができる、という狙いがあったようです。

しかし、さまざまな報道をみると、ホテル業界は「収益の5%しかフランスに申告せず、わずかな雇用しか生み出していない外国企業のAirbnbと、国から出資を受けているSNCFが提携することができるのだろうか?」と反論。SNCFはすぐに記者発表をキャンセルし、提携を発表した4日後に、Airbnbとの提携解消を発表しました。Airbnb側はこうした指摘は間違っていると反論し、提携解消を問題視していました。

Airbnb側も、ホテル業界や行政との摩擦を避けるためか、歩み寄りも見せています。利用者数が多いパリでは、2015年10月から、予約時に宿泊税をAirbnbが直接徴収し、パリ市に納税するようになったのです。それまでは、ホストが利用者から徴収して納税するよう推奨されていましたが、納税する人はほとんどいなかったようです。

宿泊税の金額は、ホテルの場合はランクによって変わりますが、AirBnbの施設は“無階級の観光用家具付き施設”というカテゴリーに分類され、金額はパリ市では1泊0.83ユーロです。

Airbnbは、宿泊税の徴収をフランス全土で実施したいとしていますが、3万6000の市町村ごとに税金の額が設定されているため、簡単に実現できることではないようです。

法律上の問題は?

部屋やアパルトマンが空いていたらホストになってみるのもいいかな、と考えますが、自分のアパルトマンを旅行者に貸すことは法律上、許されているのでしょうか。

市町村ごとに異なる決まりがあり、あいまいな部分も多いようですが、基本的にパリでは、自分がオーナーで主要の住居を貸す場合、貸すことができるのは年間4カ月以内。賃貸アパルトマンの場合はもちろん、事前に許可されている場合のみで、“又貸し”は基本的には禁じられています。2014年には、オーナーの許可を得ずにAirbnbを通して又貸ししたとして、オーナーに2000ユーロの支払い命令を受けた人もいました。

フランス人のとらえ方

0401_3「自分の家やアパルトマンを一般の人に貸す」という感覚については、フランス人は日本人より抵抗はないのではないでしょうか。

パリのアパルトマンの家賃は高いので、ルームシェアをしている学生は多いですし、子供が巣立って空いた部屋を貸している人もいます。また「8月にバカンスのため家を空けるので、借り手を探している」という連絡は、毎年のように友人や知り合いから受け取ります。知らない人に貸す不安は、それほどないようですね。

また、「日本に旅行に行くので、その間、アパルトマンを交換してくれる人は東京にいない?」と尋ねられたこともありました。私の印象ですが、フランス人は自力で旅をする発見・冒険型の旅が好きなので、現地の人たちと同じ生活を体感したいと考える人も多いのです。ですから、Airbnbのような民泊は、ホテルでは味わえない、現地の人たちとの交流の場としての意義があると感じているようです。

世界でもっとも観光客が多いフランスですが、パリはホテル料金がとにかく高い! 3つ星ホテルなら2万円はかかるでしょう。世界的なイベントも多いですから、Airbnbの利用者数はさらに増えていくことが予想されます。フランス政府は2020年までに外国人観光客の受け入れ数1億人という目標を掲げていて、伝統的な旅行業界とシェアリング・エコノミーとの共存を図るための議論も行われています。日本と同様、法整備も検討されているようですので、今後の変化にも注目していきたいと思います。

日本での民泊事情についてはこちらの記事をご覧ください。

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2016/04/04

プロフィール

三富 千秋

パリ在住のフリーライター。パンや菓子、料理など食の話題を中心に雑誌や食専門誌に発信しているほか、フランス人のライフスタイルについてのコラムも執筆。フランス人の日常生活をさらに知るべく、フランス各地で取材中。


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