君は、この激しい地震の揺れに耐えることができるか?~地震サブトンで、過去の巨大地震を体験してみた ~(動画)

みなさん、こんにちは。マンション・ラボ編集部のIことイトーです。
今回の「やってみ隊」は、タイトルのとおり地震の揺れの凄まじさを皆さんに実感してもらい、家具固定の意識を高めてもらいたい!ということで企画しました。

ご協力いただいたのは、何度もマンション・ラボにご登場いただいている白山工業さんです。白山工業さんが開発した画期的な地震体験装置「地震ザブトン」は、非常にコンパクトでありながらも、過去の地震の波形をデータとしてインプットし、その揺れを忠実に再現できる最新の設備。今回は、揺れの激しさや種類の違いをわかりやすくお伝えするため、イトー自らヘッドカメラを取り付けて地震ザブトンで複数の巨大地震を体験した映像を、みなさんにご覧いただきたいと思います。

「まさか、こんなに揺れるわけないんじゃない?」と思う方もいると思いますが、とんでもない!本当にこれくらい揺れる可能性がありますので、ぜひご覧いただいて、ご自宅の家具固定などの意識を高めてもらえたらと思います。

今回ご協力いただいた黒田さん

1980年 熊本県水俣市生まれ
広島大学文学部 人文学科卒業
白山工業株式会社 経営企画部 企画グループ長

人事・組織開発コンサルティング会社を経て、2009年に白山工業へ入社。主力製品である地震計で観測された記録を広く役立てたいと、地震ザブトンの企画に携わり、製品化を担当。地震ザブトンを使って、防災訓練・教育・啓発の現場で、専門的な知見を分かりやすく伝える「揺れ体験教室」を継続している。教室の運営実績は200ヶ所以上、体験者は1万人を超え、2013年には地域安全学会にて技術賞を受賞。

地震ザブトンとは・・・?

100Vの電源で動く、室内専用の地震動シミュレータ。白山工業と東京工業大学の共同研究・開発を経て、2011年に製品化された。地震計で観測された記録を用いて水平2方向の揺れを正確に再現しながら、揺れと同期した室内被害映像を同時に体験させる可搬型の製品としては世界でも類を見ない。

まず、自治体などが防災啓発用の装置として導入を始め、最近では、マンションデベロッパーが免震効果を体験させ販促に活用するなど、活躍の場を広げている。また、製造元の白山工業は、専門スタッフが地震ザブトンと一緒に出張する「揺れ体験教室」を運営しており、国内外で実績を積み重ねている。2014年からは、企業内のBCP訓練や研修での利用が急増中。

「揺れ体験教室」のHPはこちら
http://www.hakusan.co.jp/zabuton/

①阪神・淡路大震災 JR西日本・JR鷹取駅(兵庫県神戸市)マグニチュード7.3 震度7

●揺れ体験の感想

編集部イトー:まず、いきなり激しく左右に揺れ出したのには驚きました。椅子に固定されていない状況なら、体ごと吹き飛ばされていると思いますし、家具も倒れたり飛んできてもおかしくない状態だと思います。特にタンスなどが倒れたり、テレビや椅子などが飛んできたら。。と思うと怖いですね。もし子供がこの地震に巻き込まれたら、と想像すると、ちょっと恐ろしすぎます。

揺れの時間は15秒ほどと、一見短く感じるかもしれませんが、実際に揺れているさなかでは長く感じました。何も考えられず、ただただ揺れから本能的に身を守ろうとするだけしかできないですね。この揺れの恐ろしさは、大地震を体験した人でなければ絶対にわからないですね。自宅、家具固定強化します!

黒田さん:イトーさん、あま〜い!!この地震ザブトンは縦揺れがないので、実際にはもっとこわいんですよ!神戸に地震ザブトンを持って行くと、ほとんどの方が「こんなもんじゃなかった」とおっしゃいます。そこで、じっくりとその瞬間の話を聴いてみますと、どうやら「強い突き上げのあとのことは何も覚えていないし、考えている余裕なんてなかった」らしいのです。中には、「はじめの縦揺れで柱のホゾが抜けて家が崩れた」というお話も聞きますので、それほど強い衝撃だったんでしょうね。

しかし、イトーさんが言ってくれたように、ここでは敢えて、一瞬にして直径1mほどの円を描くような大きな横揺れに注目して欲しいのです。この大きな横揺れこそが、家具をふっとばし、多くの家をなぎ倒した被害の要因だと考えられるからです。さらに言うと、これは地上レベルの揺れですから、もし建物の2階だったとしたら、もっと複雑に激しく揺れているはずです。

②東日本大震災 防災科学研究所・K-NET茂木(栃木県芳賀郡)(マグニチュード9.0 震度6強)

●揺れ体験の感想

編集部イトー今度は東日本大震災の栃木県での揺れを体験したわけですが、細かい縦揺れがずっと続いたあと、徐々に激しくなっていくのがとても怖いですね。しかも揺れが長い!いつ終わるのかと、身を守りながら不安になりました。同じ揺れでも鷹取の揺れとはまったく違いますね。

鷹取よりも身を守る余裕が少しあるような感じはしますが、とにかくずっと揺れているのは精神的にも厳しいですね。「きっとおさまるだろう」と思っていたらどんどん激しくなっていく。。「やばい!」と思った時には時すでに遅し。。というパターンで被害にあう人が多い気がします。どんなに小さな地震でも安心しないで、しっかり身の安全を確保する習慣や心構えが必要なんだとあらためて感じました。

黒田さん:これは地震ザブトンのメニューの中でも、非常にめずらしく、ジワジワ来る怖さがありますよね。今体験してもらったのは、約3分間の観測記録のうち一番強く揺れていた75秒間ですから、本当はもっと怖かったでしょうね。実は、同じ北関東のとある施設の防犯カメラがとらえた震災被害映像を見る機会がありましたが、ほとんどの方が小さな揺れのうちには身を守る姿勢を取っていません。おしゃべりをしていたり、心配そうに上を見上げたり。そのうち大きな揺れになると足がすくんで動けない様子で、もはや隠れる場所も見当たらないのです。

そこに、もし天井が落ちてきたら?3分間、本当に揺れに耐えられるのか?想像するとこわいですよね。このように、激しい揺れでも、小刻みだと建物は倒れにくいのですが、天井や壁・空調設備・配管などの非構造部材に大きな損傷が出るようですので、油断は大敵です。小さな揺れのうちに、恥ずかしがらず勇気をもって身を守る行動をとることがとても大切です。

そして、沿岸部では、この長い揺れの後に津波が来ます。実際には「グラっと来たらすぐ津波!」ではないようです。3分間ほどの揺れに耐えて、ケガをせず、家具や什器に通路や出口を塞がれなければ、逃げることができるのです。したがって、津波避難以前に、家が丈夫かどうかの点検と家具転倒防止対策をしておくこと、揺れの時間を津波到達時間から引き算して現実的な避難訓練をしておくことが、とても重要だと考えられます。思っているよりも避難に使える時間はかなり少ないのです。

③東日本大震災 超高層ビル高層階(東京都新宿区)(マグニチュード9.0 震度6弱)

●揺れ体験の感想

編集部イトー続いては東日本大震災の新宿高層ビルでの揺れを体験したわけですが、これまでとまったく違いますね。まず揺れ幅が大きいこと。長周期地震だけに、上層階では大きな揺れがあったと聞いてはいましたが、相当横に大きく振られる感じですね。都心に多いタワーマンションなどでは、窓ガラスを突き破り、落ちたりしてしまう危険性もあるのではないでしょうか。特に小さなお子さんや高齢の方などは、何か固定されたものにつかまらないと、部屋の端から端まで飛ばされてしまい、思わぬケガをしてしまう。。。ということもありえるのでは。

さらに、とにかく揺れている時間が長く、ゆっくりゆらゆらとした揺れがいつまでもおさまらないので、船酔いのような気分の悪さや、いつ終わるかといった不安が募る一方ですね。激しくはないのですが、とにかく揺れ幅が大きく長く続く揺れに、直下型とは違った恐怖を覚えました。

黒田さん:そうです。これが噂の「長周期地震動」による高層階の揺れで、両振幅で1m50cmほどの大きさです。テレビでもよく、揺れる高層ビルを外から撮影した映像が出ていると思います。ちょっと信じがたいですが、こんなにも揺れているんですね。ですが、実際にはもっと怖いと思いますよ。なぜなら、固定していないコピー機やピアノ・テレビ台など、キャスターのついた重量物がものすごいスピードで走り周りますし、自分自身も転がりまわるほどのスピードで室内まるごと揺れてしまうからです。

そして、もうひとつ注目してほしいのは、振幅が大きくなる前、つまり揺れ始めの挙動です。地面の揺れのリズムと、建物のもつ揺れのリズムが合っていないせいか、初めはかなり複雑に前後左右に動き回っているのが分かります。目隠しをして体験すると、本当に酔ってしまいます。

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2015/05/19