熊本・大分地震に学ぶ!その2 エキスパンションジョイント

pixta_22344524_S熊本・大分地震を教訓に、マンション防災を考えるシリーズ。今回はマンションのエキスパンションジョイントについてです。

熊本地震で被災したマンションのエキスパンションジョイント

熊本地震から一夜明けた15日、「うちのマンション割れています」というコメントと共に、縦に亀裂が入ったかのように見えるマンションの衝撃的な写真のツイートが、ネットやニュースで取り上げられて不安を誘いました。

これは、2つの棟を渡り廊下で結ぶ部分のエキスパンションジョイントのカバーが壊れて、建物が分断したかのように見えただけで、実はエキスパンションジョイントが地震の衝撃を緩和して建物本体に被害を及ぼさないように作用した結果でした。エキスパンションジョイントは、地震の揺れの衝撃を分散・吸収させるための本来の目的を果たしたものだったのです。
被災されたマンションで、このことにより怪我をされた住民がいなかったことも幸いでした。

エキスパンションジョイントとは?

L字型やT字型のマンションなどで、構造上別棟の建物同士を接合する部分にすき間を持たせる工法。建物同士の躯体と躯体の間にすき間を持たせて、可動を許容する金物で接合するために一見外観は一体化して見えるが、地震の際にはエキスパンションジョイントが揺れの衝撃を分散・吸収して、それぞれの構造物にかかる力を伝達しないような役割を果たす。

熊本のマンション被害を参考にして、防災計画を練る

とはいえ、あのような衝撃的な写真を見ると、一般の方が動揺されても当然だと思います。自分のマンションはどのような設計がなされているのか、専門家でもない限りなかなか知り得ないことでしょう。

もしこのことを事前に知っていれば、ご自分のマンションであのような被害が起こったときに慌てないで済むはずです。

地震の際にはエキスパンションジョイント部分が壊れやすいことを住民が周知していれば、避難時にその近くを通らないよう、事前に安全な避難経路を計画しておくこともできます。
災害に遭った際に、マンションのどこの部分が危険なのか、建築の専門家などに話を聞いて、想定しておくことも必要でしょう。

災害時の被害を想定して、修理費用のシミュレーションも必要

また、エキスパンションジョイントの修繕は、意外に費用がかかります。他に居室へアクセスできる非常用階段などが無事であれば、今回のような共用部分の渡り廊下の修理に、災害時の応急修理制度が適用されない可能性もあります。その場合には、修繕積立金や、マンションで加入している地震保険でカバーしなければなりません。
どこが壊れるとどのくらいの費用がかかるのか?災害時の被害を想定して、修理費用のシミュレーションも必要となってくるでしょう。

以前の記事でもお話ししたように、これからの時代のマンションには、修繕積立金とは別枠で、防災積立金が必要になってくるのかもしれません。

マンション管理組合で「防災積立金」をはじめましょう

熊本・大分ではまだまだ避難所で、自宅再建の見通しが立たずにつらい生活をお過ごしの方々が大勢いらっしゃいます。あなたのマンションが地震に遭ったら? 熊本・大分地震を教訓として、いまからすぐに出来ることを考えてみませんか?

告知:熊本・大分地震被害支援金プロジェクト

国崎信江が理事長を務める一般社団法人危機管理教育研究所では、「熊本・大分地震被害支援金プロジェクト」を立ち上げました。皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。詳細につきましては以下をご覧ください。
http://kikyoken.or.jp/kikyouken_kumamoto_shien.pdf

2016/07/07

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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