台風・集中豪雨に備えて!マンション1〜2階住民は排水管逆流への備え、住民はコロナ禍に配慮した共助を


「令和2年7月豪雨」は、熊本県を中心に、九州、中部地方などの日本各地に甚大な被害を与えました。最近は「50年に一度の大雨」と言われるような大規模な集中豪雨が、頻繁に起こります。マンションでも、台風や集中豪雨による水害の備えを考えるべき時代となってきました。さらにコロナ禍の状況で複合災害への対策を考えなければいけません。

コロナ禍での複合災害発生時、防災活動は3密を避けて行動する

いま私たちは新型コロナウイルス感染症を防ぎつつ、自然災害に立ち向かわねばなりません。そのことが顕著になったのが、「令和2年7月豪雨」でした。圧倒的に人手が足りない被災地で、感染予防を考えると県外からのボランティアをお願いすることも容易ではありません。

7月には、私もPCR検査で陰性の判定を受けた上で、物資支援のために熊本へ入りました。コロナ禍の状況での水害です。熱中症にならないように、経口補水液、非接触型体温計、マスクなどを支援物資に追加しました。

新しい生活様式同様、これからの防災活動は新型コロナウイルス感染症に留意して行わねばなりません。防災活動時にも基本、新型コロナウイルス感染症予防対策として以下のことを徹底してください。

コロナ禍×水害の防災活動

・マスク着用
・必要な指示以外は喋らない
・換気
・物を触ったら手洗い(難しければ手指消毒)
・作業時は、薄手のゴム手袋着用

【自助】マンション1・2階の住民は、排水管の逆流に備えて排水口6ヶ所を水嚢(すいのう)で塞ぐ

マンションの場合、排水管の逆流ポイントは約6ヶ所。そこを重点的に水嚢(すいのう)で塞ぎます。


立地や構造にもよりますが、台風や集中豪雨でマンションが影響を受けやすいのは、低層階、特に1〜2階の住戸です。玄関やベランダからの浸水、川の氾濫による排水口への下水の逆流を防ぐために、以下の自助行動を行いましょう。

<1〜2階の住戸:排水口の逆流防止>

マンションの排水口は、主に「キッチンシンク、洗面所、洗濯機置き場、浴槽、洗い場、トイレ」の6ヶ所が考えられます。※それ以外の場所に排水口がある場合もありますので、ご自分の部屋の排水口の場所を確認しておきましょう。
・6ヶ所の排水口に水嚢(すいのう)を置いて塞ぎ、下水からの逆流を防ぎます。
・水嚢(すいのう)がない場合は、ゴミ袋を二重にして水を入れても代用できます。
・家族だけで手が回らない場合は、管理組合やマンション内の知り合いにお願いしましょう。

水嚢(すいのう)とは?
台風や豪雨による浸水をせき止めるために積み上げるもの。袋に土を入れる土嚢(どのう)もあるが、都会では袋に水を入れればすぐ用意することができる水嚢(すいのう)が便利。

台風・ゲリラ豪雨や浸水、マンションの水害への備えはできていますか?

<1〜2階の住戸:ベランダ、玄関からの浸水防止>

・市販されている簡易止水シートや止水シールを使って、浸水の可能性のあるベランダのサッシや窓、玄関ドアなどの出入口を防ぎます。

<1〜2階の住戸:その他>

・濡れては困る貴重品やアルバムなどは、あらかじめチャック式防水袋に入れておきます。国崎家では、今後家電などもチャック式の水嚢(すいのう)袋に入れてカバーする予定です。
水害時の備え:水嚢(すいのう)袋、土嚢袋、泥かき用スコップ、水を流すためのホース、防水・耐水製のライト、モップやスクイーザーなど。
水害の災害時に持ちだすものリストを作成:タオル、下着、着替えの服、カッパなど、地震のときの持ちだしリストに水害時に必要なものをプラス。持ちだしリストは、玄関の靴箱などに常時貼っておきましょう。

【共助】マンションのファーストミッションボックス「水害」編

「FIRST MISSION BOX®(ファーストミッションボックス)」は、災害が起こったとき、その場にいる人が初動の救助活動を迅速に実行できる、行動指示カードが入ったボックスです。自治体や地域活動グループ、民間企業を中心に広がっています。


危機管理教育研究所と長野県飯田市が考案した「FIRST MISSION BOX®」は、災害発生時に、誰であっても実行できる簡単な作業を指示したものです。

「FIRST MISSION BOX®」 ※外部サイト

災害発生時に、理事長や理事が一番先にマンションに駆け付けられる訳ではありません。
「FIRST MISSION BOX®」は、その場にいる人が指示カードを見て、防災計画通りに災害本部を開設する、各所に連絡するなどの行動をとることができます。

今回のような台風・集中豪雨の場合の「水害編」として、「FIRST MISSION BOX®」作っておくことをおすすめします。

たとえば、安全な上層階へ要支援者を移動させる、電気室や玄関に止水板や土嚢を設置するなど、最初にやるべきことを指示しておき、警報が発令されたときにすぐさま行動できるように、防災訓練で繰り返し練習しましょう。

「FIRST MISSION BOX®」水害編の指示例
※発災直後から、概ね15分〜30分以内に行うべき初動を絞り込みます。

・共用部に土嚢や止水板を設置する
・1〜2階の住民避難をサポートする
・低層階の要支援者を上層階へ移動させる 
・管理組合の重要な書類を上層階へ移動する

もしマンションの低層階が浸水したら?避難経路はある?

これからは毎年水害が起こりうる時代!?防災意識をリセットしよう

住んでいる地区のハザードマップを見直して、水害のリスクも視野に入れたマンションの防災計画が必要とされています。


ここのところ甚大な被害を引き起こす集中豪雨や巨大台風が毎年続いています。いままでマンションは水害に強いと思われてきましたが、地下や1階が浸水すれば停電や下水の逆流も考えられます。都市部には内水氾濫の可能性もあります。

昨年は、武蔵小杉のタワーマンションでの浸水の被災事例もありました。しかし以下の記事のように一致団結して、助け合うことができるマンションはどのくらいあるでしょう?

令和元年東日本台風で浸水した武蔵小杉のタワーマンションの被災当日からその後までの詳細な記録。
パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーは「100年に一度」の台風に、どう立ち向かったか?

自然災害は、決して他人事ではありません。台風になれば飛来物の危険も高まり、上層階の住戸が被災する可能性もあります。誰もが災害による被害に遭うかもしれません。マンションのどのフロアが安全なのかという問題ではなく、集合住宅としてみんなで協力して助け合うことが大切なのです。

地震、台風、集中豪雨、感染症、どういう災害が起こっても、集住の場としての助け合いこそが、大きな力となります。
これからは、毎年梅雨や台風の時期には何かしらの水害が起こる可能性があるという災害意識に変わっていくかも知れません。自衛意識を高めて、備えていきましょう。

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2020/08/14

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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