電気が復旧したら火事になる!?通電火災の怖さと対策について

通電火災という言葉を知っていますか? 阪神・淡路大震災、東日本大震災では、地震の揺れによって発生した停電が復旧したことによる、電気製品が原因の火災が発生しました。今回は、地震の二次被害ともいえる通電火災についてご説明します。

通電火災とは、停電復旧時に発生する火災のこと

通電火災(復旧火災とも呼びます)とは、地震による停電から復旧した際に、停電前まで使っていて、スイッチがオンになったままの電熱製品が出火して引き起こされる火災のことです。電気コードの破損や、白熱灯・電気スタンド・電気ストーブ・オーブントースターなどが通電したことによって、落下物などに引火して火災を引き起こします。

1995年の阪神・淡路大震災では、神戸市で発生した建物火災157件のうち、35件が電気火災でした。2011年の東日本大震災では、本震による火災全111件のうち、約54%(※)が電気関係による火災でした。(※原因が特定できた火災のみ)

消防研究センター 地震後の火災防止について(注意喚起)※外部サイト

通電火災については、これら過去の震災被害の経験を活かして、関係各所で周知徹底されてきました。2016年の熊本地震では、通電火災の危険を配慮して、九州電力から事前の通電告知が徹底され、通電火災は0件だったという報告があります。2018年の北海道胆振東部地震では、政府や自治体がSNSなどから通電火災の危険性について呼びかけ、通電火災を未然に防ぎました。

火災の恐ろしさをいま一度認識する

こうして関係各所の努力により、地震後の通電火災のリスクは減りつつあります。しかし、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震といった、大規模で広域に被災する災害が起きた場合にはどうでしょうか? 大災害に備えて、通電火災の危険性をいま一度認識しておく必要があるでしょう。

これは通電火災によるものではありませんが、2016年の糸魚川市大規模火災では、一軒のお店の大型コンロの消し忘れが、147軒・約40,000平方メートルの大規模火災となりました。当時の気象状況などが災いしたこともありますが、現代の消防設備を以てしても、鎮火までに約30時間を要しました。巨大地震のもとでは、こうした大火災が発生する怖れがあります。

耐火性の高いマンションだから大丈夫という思い込みは捨てて、火災の恐ろしさを学び、自分たちで防げる通電火災に関しては絶対火災を起こさないという強い気持ちで対処していただければと思います。

通電火災を防ぐためには、ブレーカーを落とすこと

避難時は、ブレーカーを落とすことを意識付ける!

停電後の通電火災を防ぐためには、まずブレーカーを切ってから避難することを徹底する必要があります。住戸から一時避難するときには必ずブレーカーを切ってから避難するということをマンションの防災訓練に付け加えて、防災行動の基本としたいものです。

また、マンション内で被災生活を送る際に停電が発生した場合は、使用できない電気製品のプラグを一旦抜いておきましょう。通電の告知が来たときに、ひとつひとつの器具の破損状態を確認してからプラグに差し込み、異常がないか確認してから使うようにします。

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2019/08/08

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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