妄想マンション 防災×テクノロジー前編〜ドローン、段ボールジオラマ、気象予報、マンション各界で活躍する防災4達人登場!

これからのテクノロジーの発達で、日本のマンション防災はどのように変わっていくのか?
今回の妄想マンションは、それぞれの専門分野で活躍中の防災の達人4名をお迎えして、「防災×テクノロジー」をテーマに、マンション防災の未来について激しく妄想してみました! 
前編では、それぞれの皆さんのユニークな活動をご紹介します。

防災の4達人が集まって、妄想マンション談義

段ボールジオラマやドローンが持ち込まれて、一気に防災基地のような雰囲気に!

猪股さん
今回は、独自の視点で防災に関わる4人の方、ドローンバード主宰の古橋大地さん、ジオラマ推進ネットワークの上島洋さん、気象予報士の赤坂大樹さん、マンション防災支援を行っている岡本満子さんをお迎えして、「防災×テクノロジー」をテーマにした妄想マンション談義を行っていただきたいと思います。

猪股有佐さんがふだん持ち歩いている防災グッズは、メガネ、薬、マスクなどのすぐ役立つものばかり。

猪股さん
今日はお願いして、皆さんが日頃お使いの防災関連ツールを持参いただきましたので自己紹介がてら、それらを説明していただきます。私も、ふだん携帯している防災グッズを持参しました。ちょっと中身を出してお見せしますね。

一同
おおー! ちゃんとしてる!

赤坂さん
今日ここで災害が起こったら、猪股さんが一番助かりそうですね(笑)。

経済活動にも影響を与える気象情報を予測する赤坂さん

気象予報士の仕事の傍ら、段ボールジオラマ防災授業を行っている赤坂大樹さん。

猪股さん
赤坂さんは気象予報士がお仕事なんですね。

赤坂さん
民間の気象予報会社で、気象予報の原稿を作成しています。よく皆さんがニュースで見る天気図やコンピュータのシミュレーション結果を元に、予報記事を考えます。

赤坂さんが気象予報の仕事で使う天気図。

赤坂さん
気象予報のデータって天気予報のニュースだけに使われている訳ではなくて、農業・工業・流通のさまざまな分野で活用されています。たとえば建設現場での事故を防ぐために、風向きやアメダスのデータを使って、「何ミリ以上の雨量で、どの位事故が起こりやすいか」というようなことを分析しています。

岡本さん
建設現場では、天気の悪い日は工事をしないんですね。

赤坂さん
特に現場では、雨の日には避けたい作業などもありますしね。我々の社会では、気象データがさまざまな分野で活用されています。仕事以外では、上島さんが代表を務める防災ジオラマ推進ネットワークで段ボールジオラマの防災授業を行っています。

目で見てわかる!地形への理解を深める段ボールジオラマの上島さん

段ボールジオラマ防災授業を行っているときのユニフォーム姿の上島さん。

猪股さん
赤坂さんが活動している防災ジオラマ推進ネットワークの代表理事が、上島さんですね。防災ジオラマとはどんなものか、ここにお持ちいただいています。

上島さん
段ボールジオラマは、等高線に沿って切り抜かれた段ボールパーツを積み重ねて、自分の住んでいる地域の地形を、目で見て、触って理解できるものです。高低差が一目瞭然で、子どもでも簡単に作れるし、自分達の手で組み立てることで、防災意識を高めることができます。地域のコミュニケーションツールとしても活用していただいています。

段ボールのジオラマキットは、東日本大震災後の石巻とのつながりがご縁となって、石巻で梱包資材を取り扱う今野梱包さんが提供しているそうです。

上島さん
実は防災ジオラマ推進ネットワークを始めるまで、防災は門外漢だったんです。でも素人ならではの目線で、感じ方や楽しみ方を伝えられるはずだと信じてやっています。
防災ジオラマは、防災はもちろん、商店街や川がどこにあってという位置関係を知り、街を深く知ることにもつながります。

岡本さん
ふだん、自分の住んでいる地形を上から俯瞰で見ることがないから、子どもだったらいつまででも遊んでいられるんじゃないでしょうか? 楽しそう!

上島さん
防災だけじゃなくても、地域の写真サークルが段ボールジオラマに撮影ポイントを示して写真展示をすることもありますし、段ボールジオラマのワークショップでおじいちゃんが戦争の話を喋って子ども達が聞いているということもあります。最終的に防災につながれば、段ボールジオラマの使い方って無限大だなと感じています。

マンションに特化した防災対策・サービスを提供する岡本さん

仕事の業務で、数々のマンションのマンション防災を担当する岡本満子さん。

猪股さん
岡本さんは、お仕事でマンション防災を担当されているということですね?

岡本さん
はい。マンションの管理組合さんや防災委員の方達と一緒に、防災マニュアルづくりやマンション向けの防災のお手伝いをしています。最近のマンションは構造自体が堅固なので、地震の際には避難所へ行かず、マンション内被災生活をするための備えや対策についてもアドバイスやサービスのご提供をしています。

カードを選ぶことで、独自の防災パスポート(防災マニュアル簡易版)を作成できる無料ツール「防災パスポート」などをマンション向けに提供しています。

猪股さん
最近のマンションではどういうものを備蓄していますか?

岡本さん
マンション全体としては、ライフラインが途絶えたときの発電機や照明などの機材、救助道具などですね。水や食料の備蓄より、住民の皆さんのために役立つものを優先して備蓄するようにアドバイスしています。防災倉庫は設置されているけれども、中が空っぽなので、どういうものを揃えればいいのかというご相談などもあります。
住民の皆さんの防災意識もマンションによって違いますので、マンションの防災を自分ごと化していくのはなかなか難しい課題ですね。少しでも防災に関心を持っていただくために、楽しめる防災訓練の企画などを心がけています。

マッピングとドローンを防災活動に役立てる古橋さん

古橋大地さんにドローンを持参いただきました。意外にコンパクトでびっくりです。

猪股さん
古橋さんは、青山学院大学の教授であり、災害ドローン救援隊DRONE BIRDも主宰されています。

古橋さん
大学では、自由に編集・活用できる地図情報のデータベースをつくる市民参加型の「オープンストリートマップ(OSM)」の研究や実践、つまり地図を作ること・使うことを教えています。大災害が起きた時には、ドローンを飛ばして、通行できる道・通行できない道を示した災害時の地図「クライシスマップ」を、世界中にいる「マッパー」と呼ぶボランティアの人々と協力し合いながらリアルタイムで作成します。今日も早めに着いたので、この辺りの登録されていない場所を、地図に入力していました(笑)。

オープンストリートマップで、川崎市溝の口周辺を三次元地図として表現した例。

猪股さん
オープンストリートマップには、誰でも参加できるものですか? 

古橋さん
基本的には、スマホがあれば誰でもできます。必要な情報さえ集めれば、現地にいなくても地図はすぐにできるんです。そのことは2010年のハイチ地震で痛感しました。当時ハイチの地図はなかったのに、2000人以上のマッパーが世界中から自発的に関わって、1週間ほどで救援活動に活用できるハイチの地図ができあがりました。

多摩川河川敷で行った東京都総合防災訓練で、ドローンで空撮した画像。

猪股さん
素晴らしいですね。地図はみんなで自由に作れますが、国内でドローンを飛ばすには制約がありますよね?

古橋さん
航空法の問題や飛行時には上空のヘリが飛ぶ高度までは飛ばさないなど、ルールづくりが課題のドローンですが、大災害時にクライシスマップを作成するなどの緊急を要するシチュエーションでは、ドローンが最適の手段です。土砂崩れで人が入れないエリアや浸水エリアにも入って情報を収集することができる。一刻を争うクライシスマップの作成には欠かせないツールです。DRONE BIRDでは、ドローン操縦士の育成と、収集した画像をもとにした迅速なマッピングを行っていくことを目的としています。
一方で災害だけでなく、ドローンを使ったイベントや地域振興にも役立ててもらって、我々の活動を身近なものとして捉えてもらえるように積極的に活動しています。

いかに防災を身近なものにするか?

分野は違っても共通するテーマは防災!お互いにいろいろな面で刺激になったのでは?

猪股さん
皆さんのお話を伺っていると、それぞれの立場から、いかに防災を身近なものにするかということに配慮されているようです。やっぱりどこか、防災というと堅苦しいイメージがありますよね。次回・後編では、防災×テクノロジーをベースにした妄想マンションについて、4人の皆さんに自由に発想していただきたいと思います。皆さんの妄想が楽しみです。

【今回ご協力いただいた皆様】
上島 洋さん
一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワーク(外部リンク)代表理事。東日本大震災後の石巻とのつながりをきっかけに、より身近なアプローチのジオラマキットを活用した防災教育プログラムの構築・提供を行う。熊本地震での事例をもとにした『おいしいミニ炊き出しレシピブック』(外部リンク)の制作にも参加。
赤坂 大樹さん
気象予報士、防災士。(株)ライフビジネスウェザー(外部リンク)で気象予報部の業務に携わる傍らで、一般社団法人防災ジオラマ推進ネットワーク(外部リンク)のメンバーとして段ボールジオラマ防災授業を行う。

岡本 満子さん
(株)つなぐネットコミュニケーションズ(外部リンク) マンション防災支援「BOU-UP」担当。マンションの防災マニュアルづくりや防災訓練などの支援活動を行う。
古橋 大地さん
災害ドローン救援隊DRONE BIRD主宰(外部リンク)。青山学院大学(外部リンク)地球社会共生学部 教授、マップコンシェルジュ株式会社(外部リンク)代表取締役、、クライシスマッパーズ・ジャパン(外部リンク)代表、世界防災減災ハックフェス Race for Resilience(外部リンク) 代表、HOT – Humanitarian OpenStreetMap Team(外部リンク)メンバーなど、地図情報コンサルティングを主業務としている。

ファシリテーター
猪股 有佐(いのまた ありさ)さん
不動産系広告会社に勤務する傍ら、都市部におけるコミュニティ形成の研究や、イベント運営などを行うパラレルワーカー。銭湯を中心としたまちづくりを行う。

後編はコチラ

2019/01/15