熊本地震での経験を踏まえて、2018年4月に環境省から「人とペットの災害対策ガイドライン」が改訂配付されました。以前のガイドラインとはどのように違うのかについてご説明します。
2018年4月に改訂された「人とペットの災害対策ガイドライン」
2013年に環境省が策定した「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」が、熊本地震での経験を踏まえて、2018年4月に改訂し、名称も「人とペットの災害対策ガイドライン」と変更されました。
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→環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」(外部リンク) |
私も検討委員会に参加して、「人とペットの災害対策ガイドライン」策定のお手伝いをさせていただきました。
いまや爬虫類から哺乳類まで、さまざまなペットを飼っている方がいらっしゃいます。新しいガイドラインでは、救護活動の対象となるペットの範囲を「犬や猫などの小型の哺乳類と鳥類などを指す」と明確にし、すべてのペットが対象ではないことを記載しました。
以前のガイドラインとの違い—飼い主さんへの自助啓蒙
違いは、以前のガイドラインから主語が「人とペット」に変化したことからわかるように、災害時の対応は飼い主さんによる自助が基本ということです。
ペットの救護は飼い主さんが責任を持って行い、自治体は被災者である飼い主さんを救護するという観点から支援します。
また熊本でのペットとの同行避難の体験事例を始め、東日本大震災などの多くの事例を紹介すると共に、一時預かりボランティアの誓約書、行方不明動物受付票、同行避難登録票などのすぐ役立つ書式例を資料として付けています。
WebからPDFで閲覧できますので、ペットを飼っている飼い主さんであれば、ぜひ一度お読みください。また、マンションのペット委員の方にも役に立つ内容となっています。
ペットの救護は自助、飼い主が責任を持って対応策を考えて
「環境省からガイドラインが策定されているのだから、ガイドラインに沿って自治体が何かしてくれるはずだ」と誤解している人が多いようですが、ペットの救護は自助です。
災害時に行うペットの同行避難や安全は、飼い主の責任。自治体は、ペットを持つ飼い主を支援します。
家族と同様に、万一災害が起こったときに、ペットで困ることを事前に情報を入手し、その対策について十分に飼い主さんが考えて準備をしましょう。
まずは、ペットが自宅で死負傷しないように、家具の固定やガラスの飛散防止対策、迷子対策などを行い、慣れた自宅で継続して過ごせるようにライフラインの代替え用品や食料、トイレなどの備蓄にも力を入れましょう。 ペットがいるからこそ、家庭の防災力が向上したという良い環境になることを願っています。
以下の熊本でのペットと防災の事例記事も、ぜひ参考になさってください。
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→熊本・大分地震に学ぶ!ペットと防災、意識の広がり |
2018/07/10