11月末に、六本木ヒルズのオフィスで火災が起きたニュースを覚えている人も多いことでしょう。乾燥した冬×太陽の光が差し込みやすい高層ビルという要素が重なると、思いがけない収れん火災を引き起こします。もし条件が重なれば、マンションでも起こりうることです。
水晶玉が引き起こす!?収れん火災
ニュースのオフィス火災は、水晶玉に光が集まってじゅうたんなどが燃えたのではないかという話でした。真偽のほどはどうあれ、この時期は、マンションでも収れん火災に注意したいものです。
窓から差し込んだ太陽光が凸面鏡やペットボトルなどに収れんし、まわりの家具や可燃物を燃やしてしまう収れん火災事故は、実際に起こっています。
「収れん」は、一箇所に光を集めるという意味です。理科の授業で、虫眼鏡で太陽光を一点に集めて発熱させる実験をしたことがあると思いますが、これが収れん火災にあたります。
凸レンズ状の透明な物体、凹面鏡状の反射物などが収れん火災を引き起こす原因となりますが、身近にある意外なモノが収れん火災を引き起こす事例が、数多く報告されています。
以前の記事でも、水入りペットボトルが収れん火災を引き起こすという「消防防災博物館」の調査について紹介しました。
11月から1月にかけての太陽の位置が原因で引き起こしやすい
冬になって、マンションの窓から差し込む太陽の光が、部屋の奥まで届くようになったことに気づきましたか?これは、冬場の太陽の位置が夏に比べて低くなり、太陽光が部屋の奥まで差し込むようになってきたためです。
太陽光が差し込んだ場所に、収れん火災を引き起こすものがあれば、乾燥した空気の室内ではあっというまに火が広がってしまいます。
まず、太陽光が室内のどのくらいの位置まで差し込んでいるか、そのまわりに収れん火災の原因となるものを置いていないかどうか、確認してみましょう。
収れん火災の原因になる、身近なもの
・凹面鏡
・老眼鏡替わりのルーペ
・ステンレスのボウル
・水の入った花瓶
・金魚鉢
・水晶玉
・水の入ったペットボトル
・窓に貼り付けた透明な吸盤
こんなものが火災を引き起こす?と思うかもしれませんが、最近インテリアとして人気のサンキャッチャーに付いた水晶玉も注意が必要です。
以下の春日井市の火災予防ページでは、外に干した布団にも収れん火災が起こりうる実験を紹介していました。
高層ビルが連立している都内では、ビルの反射光から収れん火災を引き起こした事例も報告されています。もし、まわりに太陽光を反射させる建物があるようでしたら、そこから差し込む光の届く範囲にこれらのものを置いていないか確認してください。
火の気がないところに火災を引き起こす可能性がある収れん火災。自分で知らない間に原因をつくっている可能性があります。なるべく日中は窓のカーテンを閉めて、原因となるものを置かないよう、予防に努めていただければと思います。
※写真はイメージです
2015/12/28