[実例に学ぶマンション防災 1]マンション独自の防災マニュアル

地震防災に意欲的なマンションが増えています。マンション独自の「地震防災マニュアル」を作って万が一のときに備えるマンションをご紹介します。

■コープ野村北柏[千葉県柏市] (新築年1982年/141戸/10階建て)

大人数をまとめるには、事前の準備が欠かせない

地震防災マニュアル

約40ページにわたる「地震防災マニュアル」は、理事会や防災委員会のメンバー向けに作られた。居住者向けには、イラスト入りで簡潔にまとめた「行動マニュアル」を配布しています。

居住者数の多いマンションで、災害時に少しでも混乱を避け、住民をまとめる方法とは? その問へのひとつの答えが、地震防災マニュアルの作成です。

マンションに住む人々や各世帯のプロフィールは、年齢や家族構成、在宅時間などさまざま。それは地震が発生した際、混乱のもとにも。一方、マンションのメリットは、協力し合える手が多数あること。それを最大限に活かし、現場の統制をとるためには、マニュアルという形で平時から個々の役割や統率の取り方を明確にしておくとよいでしょう。

安否・避難確認用のマグネットシート

マニュアルの作成過程で必要性が明らかになって作られた、安否・避難確認用のマグネットシート。

「阪神大震災がマンション防災を考える最初の契機になったのです」と、「コープ野村北柏」第一期防災委員長のNさんは語ります。「防災計画を立ち上げようと意識が高まったのは、2007年の新潟県中越沖地震があってからです。その翌年に防災委員会を発足しました」

マニュアル作りは委員会のメンバーを消防班、救護班などに分け、各班でやるべきことを議論するところから開始。しかし、「統一性のある最終形にまとめるのに苦労していました」。そこで、つなぐネットコミュニケーションズが委員会に参加しながらマニュアル作成をサポートしました。

実用性に富んだ独自の地震防災マニュアルが完成したのは今年6月。今後、防災委員会の役割はマニュアルの浸透を図る啓蒙活動へとシフトしていくとのこと。「マニュアルをもとに、防災設備の充実や避難訓練の具体性も高めていきたいですね」

コープ野村北柏版「地震防災マニュアル」の内容
マニュアルに記されている項目の数々

■地震防災マニュアルについて
■活動の基本及び活動体制
1. 発災期(地震発生1日目)
(1)各住戸の活動
(2)災害対策本部の活動
2. 被災生活期(地震発生2〜3日目以降)
(1)災害対策本部体制の充実
(2)災害対策本部各班の活動
(3)各階の活動(各階リーダー、各階サブリーダー)
3. 復旧期(地震発生4日目以降)
(1)災害対策本部の縮小と解散
4. 避難行動(避難指示があった場合)
(1)避難指示
(2)各階からの避難行動
(3)避難確認
5. 避難解除行動(避難解除指示があった場合)
(1)災害対策本部の再設置
(2)マンションへの帰宅手順
■記載用様式集
様式‐1 階別災害時安否確認名簿
様式‐2 対策本部安否確認シート
様式‐3 救護所受付名簿
様式‐4 出入口管理シート
様式‐5 連絡依頼ステッカー
様式‐6 災害連絡カード
様式‐7 階別避難確認名簿
様式‐8 災害対策本部名簿(災害対策本部用)
様式‐9 災害対策本部名簿(掲示用)

地震防災マニュアルの一部を特別公開!

地震発生後の活動の流れ

地震発生後の活動の流れ

災害対策本部と各班の活動内容を、発災期(地震発生当日)・被災生活期(2〜3日目以降)に分けて示す。1ページに簡潔にまとめられていて、流れが俯瞰できます。

各住戸の活動

各住戸の活動

地震発生後にすべきことが、時系列に沿って示されています。チェックシート方式なので、一つひとつ確認ができます。マンホールトイレの設置場所も敷地内の地図を使って明記しています。

災害対策本部長の活動

災害対策本部長の活動

災害対策本部の初動内容を、職務や班ごとにまとめたページ。具体的に何をどうすればよいかが書かれており、それぞれの担当者には落ち着いて行動することが求められます。

避難指示、各階からの避難行動

避難指示、各階からの避難行動

行政から避難指示が発令されたときの各住戸の行動が場合別にまとめられています。自宅玄関が開かない・非常階段が使えないことなども想定。

マンション地震防災マニュアルのポイント

マニュアルの完成を目指し、防災委員会では毎回活発な議論が繰り返されたとのこと。

マニュアルの完成を目指し、防災委員会では毎回活発な議論が繰り返されたとのこと。

・マンションごとの設備や立地などを反映しているので信頼性が高い!

・被災時にやるべきことがはっきり書かれているので、安心を生みます。

・マニュアル作りを通じて、さらに必要な地震対策が見えてくるメリットがあります。

地震防災マニュアル作成サービスとは?

マニュアル作成支援サービスをてがけるつなぐネットコミュニケーションズの担当者が、詳しく解説します。

マンション独自のマニュアルが必要な訳は?

地震災害の際、住民の皆様が統制の取れた行動をすれば、被害を減らすことができます。地震防災マニュアルはその指針になります。非常用設備や理事会・防災組織の体制、立地条件、行政の対応などはマンションごとに異なるので、汎用的な内容だと機能しません。ですから、マンション一つひとつに専用の地震防災マニュアルが必要になるのです。

つなぐネットコミュニケーションズのマニュアル作成支援サービスの特徴は?

つなぐネットコミュニケーションズでは、国崎信江さんが代表を務めている危機管理教育研究所が制作・監修したマンション用の地震防災マニュアルのテンプレートをもとに、それぞれのマンションの事情や要望などを反映してカスタマイズしています。すべてを一から検討する必要がないので、短期間で、リーズナブルにマニュアルを作成できます。

コープ野村北柏版地震防災マニュアルの特徴は?

マンションの図面を使ったり、強調すべきことは朱字で記したりして、わかりやすさに配慮しました。テンプレートにはなかった行政から避難命令が発令された場合の行動についても記載しています。さらに、事前の備えに役立つチェックリストや調査シート、震災時に使用できる安否確認用シートなどの様式集も付いています。内容充実のマニュアルです。

2011/08/31