災害時だからこそ気をつけたい!食中毒対策

災害時には気が動転し、目の前で起きたことやライフラインの途絶で制限された環境の中で、一つのことをこなすのに精いっぱいという状況になり、さまざまな点に気を遣うことが難しくなります。

しかし、ひとたび対応を間違えれば2次被害を招く恐れもあるのです。たとえば衛生状態の悪い中で食事を作ろうとすれば、食中毒などのリスクが高まります。

今回は、その食中毒について考えてみましょう。

集中豪雨の救援物資や、防災訓練の備蓄品で食中毒に!

平成24年8月京都府南部地域で集中豪雨が発生した際、大雨で孤立した宇治市の炭山地区で救援物資のおにぎりを食べた住民が食中毒に陥りました。

原因はヘリで救援物資のおにぎりを被災地へ運ぶまでに、ブルーシートで覆われたまま2時間野外に放置され、その間に黄色ブドウ球菌が感染増殖したためでした。

宇治市 記者発表資料「おにぎり」による食中毒事象の概要(平成24年8月19日)

また、町内会の防災訓練の際に配布した防災備蓄品のクラッカーが腐っていたために食中毒となった出来事もありました。原因は、高温多湿な備蓄倉庫で保存されていたクラッカーのオイルが酸化してしまったことにありました。

マンション内の備蓄倉庫などはまだ温度管理がなされていますが、外に設置された防災倉庫に保存された備蓄食料は、危険が高いといえるでしょう。長期保存ができる防災食料といっても、適正な保存環境に置かれていなければ意味はありません。

五感を使って食品の異常を感知する

それでなくても、災害時は食中毒が起きやすい環境になります。私達はつい、食品の消費期限の数字だけを見て判断しがちですが、日頃から、以下のように五感を駆使して食品の異常を感知できるようにしたいものです。

・ 見る:変色、ねばねば、固まっている。
・ 触る:ぽそぽそ、どろどろしている。
・ 味 :酸っぱい味がする。
・ 臭う:腐ったような変なニオイがする。

徹底的に衛生面を気にした防災炊き出し訓練を行ってみる

最近は、防災炊き出し訓練を行っているマンションも多いと思います。

お祭りなどのイベントを兼ねて、楽しく炊き出しをするのもいいのですが、たまには実際の災害時の炊き出しを想定して、水が使えない状態で炊き出しを行う防災訓練を行ってみてはいかがでしょうか。

ふだんの調理では、手を洗ったり食品を洗ったりして洗浄水を多く使います。
そうした洗浄水が一切使えないと仮定して、炊き出しを行う場合どうしたらいいのか、皆で知恵を絞って考えてみましょう。

【徹底衛生の防災炊き出し訓練】

<調理時の注意>

・ 衛生面:マスク、シャワーキャップまたは三角巾、エプロン、ビニール手袋除菌剤・抗菌剤を使用して調理します。

・ 代用:牛乳パックはまな板がわりに使えます。使ったあとには燃料にもなって便利です。食品を切るときも包丁ではなく、キッチン鋏を使います。ビニール袋を使って調味料と食材を和えるなど、なるべく直接手に触れないように工夫します。

・ 器:プラスチック容器を使って、ティッシュで拭き取って、除菌スプレーをします。汚れを拭き取ったティッシュは燃料としても使えます。紙皿は、ラップを敷いたとしても繰り返し使うほど強くないので、プラスチックまたはアルミ食器をお勧めします。

<食材の管理方法>

・ マンションの各戸から食材を持ち寄る場合には、クーラーボックスに入れて頻繁に開閉しないようにします。

・ すぐ使える食品や傷みやすい食品と、数日間保存できそうな食品は別々のクーラーボックスに分けて保存します。

・ おにぎりのように、せっかく作ったものはなるべくそのまま放置しないようにします。残り物をまた後で食べる場合には、念のために一度火を通す事を徹底してください。とにかく加熱を徹底してください。

<大勢に配る前に検食を>

・ 学校給食では、校長先生などがまず食べて「検食」をするのが普通です。食中毒予防のためにも、大勢で同じ調理品を食べる際には、誰かが「検食」をしてから配るようにするとよいでしょう。

上記のようなルールで炊き出しを行ってみると、防災意識の向上に役立つはずです。

いざという時に役立つ!常備しておきたい薬

災害に備えて防災備蓄品を用意している人は多いと思います。食中毒に備えて、下痢止め、整腸剤のほか、痛み止め、胃薬、便秘薬などもあれば、いざという時に役立ちます。持病の薬の他に、こういった薬も常備しておくといいでしょう。


食中毒は、高温多湿の夏だけでなく、冬や秋・春にも起こっています。一年を通じて衛生管理を徹底する習慣を付けることが、災害時にもきっと役立つはずです。

※写真はイメージです。

2015/07/22

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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