阪神・淡路大震災から20年、これから問われる「伝承」の課題。

写真提供:「阪神・淡路大震災『1.17の記録』」より

1月17日は、阪神・淡路大震災から20年。もう一度あなたのマンションの防災について考えてみませんか?

災害の教訓から未来に何を伝えられるのか?

今年2015年は、阪神・淡路大震災発生から20年となります。

当時を振り返るテレビやニュース、式典も数多く行われています。しかし、過去の災害を振り返って、すべて終わったような気分に陥っていてしまうことが心配です。今後、この災害の教訓をいかに語り継いでいくのか。教訓から得た知見を未来に伝えていかなければ、意味がありません。
また、災害を振り返るだけではなく、これからの課題にどう向き合っていくのか、一人ひとりの心に新たに刻み込み、行動に移していかなければなりません。

阪神・淡路大震災は、戦後初の大都市災害でした。
都市部ならではの火災延焼、倒壊家具による被害、避難所、トイレ問題、犯罪、幹線道路の遮断などさまざまな都市型災害の被害が続出しました。これらの課題について、迫る巨大災害を前に、被害軽減に資する解決策を考えていかなくてはなりません。

震災後20年経ったいま、震災を体験していない若い世代が増え、災害体験を語り伝えてくれる体験者の高齢化により、語り部として活躍されてきた方々が少しずつ減ってきているのも非常に心配です。阪神・淡路の各地でさまざまな記念式典やイベントが行われていますが、ぜひ若い世代の方々に参加していただきたいものです。

人と防災未来センター
http://www.dri.ne.jp/
阪神・淡路大震災20年メモリアル特別展示を開催しています。

「阪神・淡路大震災『1.17の記録』」
http://kobe117shinsai.jp
神戸市が阪神・淡路大震災の記録写真をオープンデータとして提供しているサイトです。今回の記事にも使用させていただきました。

日本の災害すべてをリンクさせるアーカイブ化を!

日本は災害が多い国土です。地震、津波、山津波、火山、これらさまざまな自然災害の体験、予防策、震災遺構などの情報を日本全体でリンクして情報共有してアーカイブ化していけば、もっと防災知識が一般の人々の中に浸透していくのではないでしょうか?

20年前の阪神・淡路大震災を風化させることなく、後世に伝えるためには、私達一人ひとりがどうしたらいいのか、真剣に考えて行動することがいまこそ求められています。

国や自治体・団体でこのような取り組みを行っていただくと共に、個人でも災害を風化させないためにできることはあります。
家庭で積極的な防災の取り組みを行って家族で話し合ったり、親から子へ災害体験を話したりすることが、日常で防災を語り継ぐ一助につながります。

また、子ども達が学校で受けてきた防災教育を親に逆に教えてあげることもよいでしょう。災害を体験した被災者の方々のお話を聞く機会があれば、ぜひ出かけて聞きにいってください。

災害の体験を、人から人へ、親から子どもへ、語り継いでいくことが、今を生きる私達の使命なのです。

死因のほとんどは、家屋の倒壊や家具などの転倒による圧迫死

2014年に実施したマンション・ラボのアンケートでも、51%の方がまだ室内の家具固定を行っていないという結果でした。内閣府の資料によると、阪神・淡路大震災の死者の死因のほとんどは、家屋の倒壊や家具などの転倒による圧迫死でした。戦前の木造住宅が密集していた地域で死者が多くでたという要因もありますが、家具の転倒・散乱が命を奪い、安全な逃げ道まで奪うのです。

都市部のマンションでいま震度7クラスの地震が発生した際に、家具の固定を行っていないことがどれほど危険なことでしょう。阪神・淡路大震災の教訓を学び、いますぐ自宅の家具固定を実施することが、過去の防災を未来に活かす行動になります。このことを一人でも多くの方々に伝えて実施していただきたいものです。

マンションの地震対策に関するアンケート結果

内閣府:阪神・淡路大震災教訓情報資料集【02】人的被害
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/hanshin_awaji/data/detail/1-1-2.html

過去の災害を振り返るだけではなく、これからどう行動するかが私達の課題です。本当の戦いは、災害から20年経ったいまから始まります。

3月には、国連防災世界会議が仙台で開催されます。これは世界の防災戦略と日本の防災ノウハウを、国際社会全体で共有する世界会議です。私も3月16日のシンポジウムに出席いたします。こうした機会を活用して、ぜひ防災意識を高めていただければと思います。

第3回国連防災世界会議 仙台 2015年3月14日(土)〜18日(水)
http://www.bosai-sendai.jp

未来の防災を強固なものにするのは、私達一人ひとりの防災意識の高さです。1月17日について考えるのをきっかけに、ぜひ皆さんのマンションでも防災の取り組みを活発化させてください。

防災カレンダー2015

国崎先生が監修された卓上防災カレンダー2015年が販売中です。
今年の防災カレンダーは、災害を忘れないための防災ダイアリーと、阪神・淡路大震災を忘れないためのコメントが記載されています。売り上げの一部は、被災地支援活動に寄付されます。ぜひお役立てください。

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1部1,250円(送料・税込)

2015/01/16

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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