もし首都直下型地震が起きたら?マンション室内に避難エリアを!

半数のマンション居住者が、家具固定をしていない!

マンション・ラボで実施されたアンケート「マンション住民の地震対策、 積極的な取り組みが急務!」では、「家具固定をしていない」と回答された方が、51%もいらっしゃいました。

「大地震の際には室内の家具は凶器になる!」と、家具固定の大切さを繰り返し言い続けてきましたが、それでもまだ、半数の方が対策されていないことに大変ショックを受けました。

もし首都直下型地震が起こったら、マンションの室内で家具や電化製品は、まさに飛び交います。それが愛する家族の命を奪うことになったら?

・家具固定が面倒
・インテリアに合わない
・防災グッズが高い
・実行しようと思うきっかけがない
・いずれと思っていて何もしていない

防災対策をしない理由はきっとたくさん挙げられると思いますが、これまで身近に数々の大震災の事例を見聞きしてきて、被害の実態を知り、それに少しでも対応できる対策があるのです。どうかもう一度そのことを考えてみてください。

余震が怖くて玄関や廊下で眠った〜大震災の記録証言

阪神淡路大震災や新潟中越地震の被害者の体験者のお話を伺ったことがありますが、発災後にマンションの玄関や廊下で眠っていた方が多くいらっしゃいました。

度重なる余震が怖くて、子どもと一緒にマンションの廊下や玄関に布団を敷いて一緒に眠ったお母さん。

寝室の布団にガラス片が散らばっていて使えなかったので、押し入れの布団を引っ張り出して玄関で眠った人。

リビングだけかろうじて片付けて、みんな一緒にひとつの部屋、ひとつの灯りの下で眠った大家族。

ものやガラス片でぐちゃぐちゃになったマンション室内で、唯一被害が少ないのは、ものや家具が比較的置かれていない廊下や玄関だったのです。

マンション室内でここだけは安全!という避難エリアを設ける

本当は、室内すべてを安全な場所にしていただきたいのですが、せめてマンション室内でここだけは絶対安全というセーフティーエリアだけでも設けてください。

セーフティーエリアとは、以下の点がクリアされていることです。

・家具を置いていない
・ガラス類などの割れ物を置いていない、または飛散防止フィルムが貼ってある
・重い置き物など、万一の際に室内を飛び交って危険なものが置かれていない
・棚や家具の上から飛び出してくるものがない

本当は子ども部屋や寝室が安全ならいうことはないのですが、それも無理ということならば、廊下や玄関をセーフティーエリアにしてください。

廊下にガラス板の額を飾っていたり、本棚を置いたり、玄関にゴルフの道具や子どもの外遊びのおもちゃなどを置きっぱなしにしていませんか? 玄関や廊下は、マンションの避難経路。ここをセーフティーゾーンにすることで避難を容易にします。シュークローゼットが開き戸ならば、耐震ラッチなどをつけてものが飛び出さない対策を施します。

ここだけならば、今日すぐにでも防災対策ができますよね。

玄関や廊下で眠ってみる。親子で「災害体験」のすすめ

遊びながら非日常の生活を体験できるアウトドアもよいのですが、天候に左右されず、遠出の経費もかからず、荷物の支度もせずに気軽に災害の疑似体験をする方法を紹介します。

それは自宅で行う「災害体験」です。実施方法はとてもシンプル。たとえば、「避難所の体育館に寝る」「布団にガラスが散らばって寝られない」という状況を想定して、家族で廊下に寝てみるというものです。
寒くて、床が痛いというのが実感としてわかるでしょう。その体験から、より快適に眠るために何が必要かを考えることができます。

フローリングにそのまま眠るより寝袋の方が暖かい、新聞を床に敷くだけで底冷えが軽減されるなど、身近にある物を活用する知恵もでてくることでしょう。

お子さんが小さければ、「災害体験」もイベント的に楽しんでもらえますし、経験を積むことで不便なことに対しても臨機応変に対応する力をつけられます。お母さんも何を準備しておくべきなのか、体験することでいろいろなことが見えてくるはずです。気付きがあれば、そこから室内全体に防災対策を少しずつ広げていくこともできます。

何も防災対策ができていないというお宅は、まず玄関や廊下を安全な空間にして、「災害体験」の訓練をしてみましょう。

こちらのコラムも合わせてご覧ください。
経験が人の心を強くさせる〜マンションのお部屋で被災体験のススメ

2014/05/09

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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