火災時の高層マンション、高齢者の避難に非常用エレベーターを活用

高齢者の避難に、高層マンションの非常用エレベーターを活用

2013年9月30日に、東京消防庁が「高層建築物等における歩行困難者等に係る避難安全対策」を発表しました。マスコミでも「高齢者らのエレベーター避難解禁」というニュースで紹介されたので、ご存じの方も多いと思います。

これは、高層マンションやビルの火災で、高齢者や障がい者などの歩行困難者が逃げ遅れるのを防ぐため、従来の階段を使った避難方法から非常用エレベーターを使った避難方法を指導するというものです。但し、安全な避難が確保できる建物の非常用エレベーターに限ります。

高層マンションの非常用エレベーターは、消防隊の救出活動専用

そもそも、非常用エレベーターはどんなものなのか、について理解されている人が少ないようです。

非常用エレベーターとは、建築基準法により、地上から31メートル以上、または地上11階以上(一部のマンションでは16階以上)の建築物に、一般用エレベーターとは別に、非常用として設置が義務づけられているものです。

非常用エレベーターは、災害発生時に消防隊が救出活動に使用することを想定されています。そのため、火災などで電源が遮断されても運転できるように非常電源から電気をとれるように設計されている他、すべてのフロアに停止でき、全フロアのエレベーターホールに、かご位置を示すインジケーターを設置しているなどが義務づけられています。

ふだんは居住者も利用されていますが、災害発生時には消防隊専用の非常用エレベーターに切り替わるということです。

11階以上のマンションで、エレベーターが2基ある場合、どちらかのエレベーターに、非常用エレバーターと明記されています。ご存じなかった方は、一度じっくりお住まいのマンションのエレベーターの表示を確認してみてください。

非常用エレベーターを活用した避難誘導は、あくまで歩行困難者のため

従来は、消防隊が救出のために使うことを前提としていた非常用エレベーターですが、今回の東京消防庁の決定により、高層フロアにお住まいの高齢者や障がい者などの歩行困難者が、非常用エレベーターを使って避難することができるようになりました。

これは、避難する方がご自身で非常用エレベーターを操作するということではありません。消防隊もしくは、防災センター要員講習修了者などの専従員による操作が必要です。

また、東京消防庁では、歩行困難者が消防隊の到着まで待機するための「一時避難エリアという区画」をフロア毎に設け、歩行困難者はこのエリアで消防隊が来るまで待って、非常用エレベーターを使って避難するという避難安全対策を推進していきます。

上記の歩行困難者の避難指導については、今後のマンションの防災活動でも積極的に採り入れていく必要があります。

マンションにおける「非常用エレベーターを活用した歩行困難者の避難指導」については、今後もこのシリーズで取り上げていきたいと思います。

マンションで「非常用エレベーターを活用した歩行困難者の避難指導」を行いたいという管理組合の方々がいらっしゃったらぜひ教えてください。一緒に最適な避難方法を勉強していきましょう。

※今回の決定は東京消防庁のみですので、東京都以外のマンションにお住まいの方については、各自治体の指導に従う必要があります。
※ 都内のすべての建物で非常用エレベーターを活用した避難誘導ができる訳ではありませんのでご注意ください。
※ 一般用エレベーターは、火災時に止まる機能がありますので、避難には絶対に使用しないでください。

詳しくは、東京消防庁のサイトをご覧ください。

東京消防庁
http://www.tfd.metro.tokyo.jp

平成25年9月30日発表「高層建築物等における歩行困難者等に係る避難安全対策」
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-yobouka/high-rise.html

2013/11/29

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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