竜巻が迫ったら、マンションでは「窓に近づかない!直線に逃げない!」

※写真はイメージです

竜巻の被害が相次いでいます。

9月初旬には、埼玉県越谷市や千葉県野田市、栃木県矢板市で戸建てやマンションが竜巻の被害に遭いました。

万一、竜巻が身近に迫ってきた場合に備えて、屋内や屋外での安全な避難方法を知っておきましょう。

竜巻は、いつどこで起こるのか?

竜巻は、季節を問わず、いつでもどこでも発生します。
特に9月から10月にかけての台風シーズンは、竜巻の発生数が多くなっています。9月の竜巻は内陸部で発生しましたが、沿岸部でも多く発生しています。

9月2日に埼玉県・千葉県で起こった竜巻突風の被害

今回は、被害の大きかった越谷市の様子を取材してまいりました。

埼玉県越谷市 竜巻の被害に遭った建物。

越谷市立北陽中学校の体育館。外のフェンスがねじ曲がり、屋根の中央部分が吹き飛ばされています。

2013年9月2日14時過ぎに、埼玉県越谷市、松伏町、千葉県野田市を中心に発生した竜巻の被害は激しいものでした。越谷市消防署によると、越谷市だけで全壊11世帯、半壊23世帯、一部損傷1039世帯(2013年9月8日現在)。

被害の大きかった第二学校給食センター。かなり大きな建物ですが、西側と南側が全部竜巻の被害に遭いました。

救急搬送依頼27名のうち、家屋の倒壊による怪我9名、割れたガラスによる切創8名、飛来物にぶつかった怪我4名、竜巻が去った後の片付け作業中による怪我3名、その他3名。ご自分で病院に行かれた方も多いので、実際にはこれ以上の負傷者がいました。

また、ほとんどの方が屋内で怪我をされており、崩壊した建物に閉じ込められた方が1棟、飛来物が周辺に集積して外へ出られなくなった方が1棟ありました。

(写真左から)越谷市消防署の内山さん、百木さん、大塚さんにお話を伺いました。竜巻はおよそ時速60km、越谷市の西から東までの6kmの距離を通過していきました。まさに、あっという間の出来事だったそうです。

【越谷市消防署の大塚さんの体験談】

当時、たまたま私は竜巻が通過した船渡に居ました。黒い雲と青い空が半々になり、またたく間に夜のように暗くなって、風が冷たくなって大粒の雨が降り始めました。
雷がまっすぐとタテに落ちてきて、ゴーゴーという異常な音が聞こえてきました。すぐさまそばの集会所に避難して、誰かが「竜巻だ!」と叫ぶ声で、竜巻の姿を見ました。初めての体験でしたが、竜巻の前兆といわれている事象がすべて当てはまりました。

現地を訪れて、竜巻の被害の大きさを実感いたしました。被害に遭われた方々には、一日でも早い復旧と怪我からのご回復をお祈りしております。

竜巻の情報は、インターネットからも入手できます。

▼防災科学研究所
http://www.bosai.go.jp
独立行政法人防災科学技術研究所のホームページでは、越谷市で発生した竜巻についての被害の現地調査および高性能な気象レーダーによる観測の結果を公開しています。

竜巻の予兆を知っておきましょう

越谷市消防署の方が体験されたように、竜巻が発生する際には予兆があります。竜巻が発生する前には予兆があります。以下のような変化に気付いたら、屋外にいたら頑丈な建造物の中や陰に入るなど、すぐに身を守るための行動をとってください。

・発達した積乱雲が近づいてくる
・周囲が暗くなる
・雷鳴が聞こえたり雷光が見えたりする
・急な突風と冷たい風が巻き起こる
・大粒の雨やヒョウが降り出す
・窓ガラスにパチパチと物が当たる音がする
・気圧の変化を感じる

竜巻が迫ってきたら?マンション室内で身を守る行動

もしマンションの室内にいるときに、竜巻が接近してきたら? 竜巻は、地震の際の避難行動とは異なります。特に以下の点に注意してください。

危険な窓の近くに近寄らない

特に注意したいのが、竜巻が迫っているのに、窓やカーテンを閉めようと危険な窓に近づいてしまうことです。竜巻は瞬時に襲ってきます。

最近、ツイッターや動画サイトに竜巻の写真や動画をあげている人を多く見ますが、撮影するために窓に近づくなどはもってのほかです。絶対にやめましょう。

窓から横に逃げる

周囲の物が巻き上げられて飛んでいるのが見えたなら竜巻が近づいていることを意味しています。既に風の強さも感じられているはずです。この状態では一刻の猶予もありません。埼玉から千葉へ抜けた竜巻は一直線に時速50~60kmで通過しました。

もし、窓の近くにいて命の危険を感じるようなら逃げる場所を探している余裕はありません。このときは、窓の脇に避難して、戸境壁や柱にぴったり体をくっつけて身を守ってください。その際、カーテンは窓に引くよりも自分の体に巻き付けて、ガラス片が刺さらないように守るとよいでしょう。

窓から垂直に避難しない

よくあるマンションの間取りは、玄関から一直線に廊下が続き、その奥にリビングとバルコニーの窓があるというものです。

たとえば、この間取りだと、バルコニーの窓が割れるとまっすぐに突風が室内を進みます。
竜巻で窓が割れた場合には、そのまままっすぐ廊下を直線に逃げると、窓ガラスを割って侵入する竜巻に間に合わずケガをすることも。逃げる余裕がないときは、遠くではなく窓脇の柱や壁に身を寄せるなど「横に逃げる」ことを覚えておいてください。

竜巻が遠くに見えて避難に余裕があるなら、トイレ、脱衣所、クローゼットなど窓のない場所に避難するのが最良です。

テーブルの下に入るのは危険、頑丈な物の傍で身を守る

上記のような間取りでは、キッチンのカウンター入口(食器棚や冷蔵庫の前を避けて)で、姿勢を低くしてうずくまるのも有効です。

逆に危険なのが、テーブルの下に逃げることです。このような間取りの場合、リビングの窓からテーブルが近く、下に隠れたところで竜巻の直撃に遭い、ガラス片が体に刺さってしまいます。

またテーブルも突風に飛ばされてしまう可能性があります。地震のように飛来落下物から身を守る目的とは異なりますから、とりあえずテーブルに、という固定概念にとらわれると危険です。

ご自分の部屋の間取りや家具の配置をよく頭に入れて、もし竜巻が迫ってきて窓ガラスが割れたら、どういう方向に避難するのが安全か、避難に余裕がある場合とない場合を頭でシミュレーションしておくとよいですね。

地震の防災グッズが役立ちます

避難方法は、地震の場合と異なりますが、地震のために用意した防災グッズはそのまま竜巻にも役立ちます。

ヘルメット:危険物や飛散ガラスの直撃から頭や顔をカバー。
室内履き:飛散したガラスから足を保護する。
応急手当用品:負傷した場合の応急手当。
飛散防止フィルム:バルコニーの窓ガラスやガラス扉の飛散を軽減。

気象庁の情報チェックをこまめに

毎日こまめにテレビやラジオから気象情報をチェックしましょう。竜巻の注意情報が出されたら、積乱雲など空の状態を気にするようにしましょう。予兆を感じたら、すぐに行動することが重要です。

なお、気象庁では、竜巻の発生確度を1時間後まで予測する「竜巻発生確度ナウキャスト」をホームページで提供しています。

気象庁 竜巻発生確度ナウキャスト
http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/


竜巻は、一生のうちでほとんど経験しない極めて希な現象といわれてきました。しかしこの頃の異常気象などで、竜巻などの激しい突風が発生しやすくなってきています。マンションも、その例外ではありません。

竜巻から正しく身を守る方法を身につけて、万一の際には安全に避難できるよう、常日頃から話し合っておきましょう。また、竜巻も、地震と同様に、備えが大切です。停電や断水に備えた防災用品の準備や飛散防止フィルムなどの事前対策をしましょう。

2013/09/13

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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