[マンション火災]怖いのは炎じゃない?室内で発生する有毒ガスの危険性

防火設備が整ったマンション火災で、炎よりも怖いのは、実は有毒な煙です。今回は、室内の物から発生する可能性のある有毒ガスの種類についてご説明します。

住宅火災の死者数は建物火災全体の約9割

消防庁の「平成23年1月〜6月における火災の概要」によると、総火災件数は27,557件、そのうち建物火災は13,892件となっています。また住宅火災の死者数は、建物火災全体の約9割を占めています。
住宅火災の発火源別死者数では、発火源が判明しているもののワースト5が、「たばこ、ストーブ、こんろ、電気器具、マッチ・ライター」。これら発火源に注意するのはもちろんですが、それ以外にも、家庭内には有毒ガスが発生する可能性のある製品が数多くあります。

たばこなどの発火源が、室内のモノに燃え移り、有毒ガスが発生

火災で怖いのは、火よりも煙です。煙には一酸化炭素などの有毒ガスが多く含まれています。火災で発生する有毒ガスの種類と特性は、東京消防庁消防技術安全所の杉田直樹氏による記事「火災時に発生する一酸化炭素などの燃焼生成ガスについて」(日本損害保険協会発行『予防時報233号』掲載)において詳細に説明されています。

火災で発生する有毒ガスの種類と特性

※ 出典元:東京消防庁消防技術安全所消防技術課 庶務係主任 杉田直樹「火災時に発生する一酸化炭素などの燃焼生成ガスについて」表2より転載(日本損害保険協会発行「予防時報233号」2008年4月掲載記事)
日本損害保険協会
リスク情報専門誌「予防時報」

こうした有毒ガスは、パソコン、布団、ラグマットなど、家庭内にある身近なモノが燃えることから発生します。また、これらのガスが複合して発生する場合がほとんどです。

炎がなくても有毒ガスの煙から致死するケースも!

いきなり首がしめられたようになり、意識不明に

特に恐ろしいのは、一酸化炭素ですが、吸い込むと体が麻痺して動けなくなったり中毒死に至ったりします。火災で室内に取り残された死亡者のほとんどは、避難の途中で有毒ガスを吸い、体が動かなくなってしまったものと思われます。一酸化炭素中毒の怖さは、いきなり首を絞められたような状態に陥ってしまうという表現があるように、まさに目に見えない煙のために、意識不明に陥ってしまうのです。

火災時の煙の流れ方

煙は、初期火災から大量に発生し、天井に向かって上昇し、横に広がり徐々に下がってきます。横に流れる煙の速さは大人の歩く速度より若干速いですが、たとえば窓が一ヶ所でも開いていたり、階段などの縦方向に煙が進んだりするときには、驚異的な速さになります。気密性の高いマンションでは、炎が発生しなくてもボヤなどによって有毒ガスが発生し、その煙を吸いこんで死亡される方もあります。

煙は高温の気体ですので、吸い込むと気管、気道、肺などにやけどを負って呼吸困難に至ります。さらに煤(すす)が発生し、これを吸い込むと気管にべったり貼り付いて、このことにより窒息する場合もあります。このように、煙が人体に与える害は非常に大きいものです。

口と鼻を覆って低い姿勢で逃げる!

もし、室内で火災が発生してしまったら、まず初期消火ですが、数分経って煙が発生したら、口と鼻を覆って低い姿勢になって避難しましょう。ゴミ袋などが身近にあれば、その中の空気を吸うなどしながら逃げる方法もあります。

・ 煙を見たらすぐ逃げる。
・ 避難時には、火災現場の扉をなるべく閉めて、煙を閉じ込める。
・ マンション内で火災が発生したら、炎がなくても煙が発生している可能性もあるので、まず外へ避難する。

「マンション火災で怖いのは、何より煙なのだ」ということを徹底的に頭に叩き込んで、ぜひ煙発生時の避難方法など、消火訓練を怠らないようにしてください。

あわせて、以下の記事もお読みください。
[マンション火災]屋内消火栓の種類と使用方法を知る

※ 写真はイメージです。

2012/04/23

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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