今知っておきたい、マンション地震保険の基礎知識

東日本大震災をきっかけに、マンションの地震保険の検討・見直しをしている方も多いはず。今回は、マンションの地震保険に関する基本情報を、簡単に整理してみました。そこから見えてきたのは、「地震保険は、被災後すぐの生活費をまかなうもの」だということです。

東日本大震災では、総額8470億円を超す地震保険が支払われています

東日本大震災に係わる地震保険では、2011年5月26日現在で44万件以上、総額8470億円を超す保険金の支払い(※)が行われています。今回の震災に関しては、保険金の総額は一兆円規模に達するとも予想されています。

>>社団法人日本損害保険協会「東日本大震災に係る地震保険の支払件数、金額について(2011年5月26日現在)」のデータによる

マンションの地震保険、知っておくべき基本

地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失による損害を補償する地震災害専用の保険です。地震保険は任意なので、同じマンションでも加入している人・加入していない人がいることでしょう。地震保険でカバーできることや基本条件を整理してみましょう。

・地震保険の対象は居住用の建物と家財。
・地震による火災・破壊・埋没または流失による損害を補償。
・地震保険は、火災保険に付帯する契約。地震保険のみで加入できない。
・保険会社が異なっても、基本の地震補償は一律の内容。
(補償内容を上乗せするための特約などは各保険会社によって異なる)
・地震保険の保険料は、保険対象である建物の構造、所在地によって異なる。
・耐震性が高いマンションなどには割引制度がある。
・税務面では、所得控除制度がある。

マンション地震保険は、共用部分と専有部分に分かれる

マンションの建物には、共用部分と専有部分があります。マンションの地震保険は、以下の区分となります。

・ 共用部分:マンション管理組合で契約
・ 専有部分:所有者が契約(住戸の家財部分の保険も含む)

漏水建物の共用部分について地震保険に加入しているかどうかは、お住まいのマンションの管理組合に問い合わせてみるとよいでしょう。

ただし、マンションの管理組合が地震保険に加入していたとしても、その補償対象はあくまで共用部分のみ。専有部分の被害は対象外となるため、各住戸それぞれで保険契約を検討する必要があります。

マンションの区分所有者個人が加入する地震保険は、専有部分および家財が補償対象です(自家用車や一定の貴金属・宝石・有価証券などを除く)。

地震保険の世帯加入率は23%

地震保険の加入は年々増加していますが、依然として23%という低い水準です。ネックになっているのは、やはり保険料の高さと補償金額の不十分さ。保険料は、地震が発生しやすいと予想されている地区ほど高い金額設定となっており、建物は5,000万円、家財は1,000万円が保険金額の限度です。

>>参考資料「地震保険普及状況の推移(PDFファイル:15KB)」
※ 世帯加入率:当該年度末の地震保険契約件数を総務省の住民基本台帳に基づく世帯数で除したもの

地震保険は、被災後すぐの生活費をまかなうものだと考える

地震保険に加入するかどうかは、個々の状況や考え方次第です。補償される金額が低く設定されている地震保険は、万一被災した場合の当面の費用をまかなうものであり、地震対策の自助努力のひとつだと考えた方がいいかもしれません。各家庭で、地震保険に関する情報を収集し、十分に納得がいくまで検討されてみてはいかがでしょうか?

マンションで地震保険を検討するためのポイントを掲載

「マンションみんなの地震防災BOOK」では、地震保険のしくみや、加入する・しないの考えどころについてもご紹介しています。こちらもぜひご一読ください。

「マンションみんなの地震防災BOOK」(つなぐネットコミュニケーションズ)

2011/06/10

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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