高層マンションが連立する港区のマンション防災への取り組み

港区は、区民の約9割が集合住宅の居住者です。区内には超高層マンションも多く、マンション防災への積極的な取り組みが進んでいます。

自治体が推進するマンション防災から、皆さんのマンションでも活用できるヒントやアイデアを学びませんか? 港区防災危機管理室防災課の方々にお話を伺いました。

港区の「マンション防災ハンドブック」や DVDを防災対策に活用

今回お話を伺った港区防災危機管理室防災課の皆さん。写真右奥:亀田課長、中央:主任 阿部さん、左:主任 遠藤さん。

港区は、平成20年度に「港区 高層住宅の震災対策に関する基本方針」を策定。平成21年度には「区内高層住宅の実態調査」を行い、「高層住宅の震災対策啓発用DVD“必ず来る大地震 今!備えること!”」を製作して配布し、高層住宅の防災対策に取り組んできました。

DVD「必ず来る大地震 今!備えること!」のパッケージ。ドラマ仕立てで、災害への備えがある場合と備えがない場合の高層住宅での被害の違いを訴えています。区民には無料でDVD貸し出しを行っています。

平成22年度には、防災アドバイザー派遣制度を開始。高層住宅などで、居住者相互の「共助」による体制や、組織づくりの推進や防災計画をつくる際に、防災アドバイザーを派遣してアドバイスを行っています。

「やはり東日本大震災が、区民の意識的にもさらに防災の取り組みを加速させたといえます。区は、一人ひとりが備える“自助”、地域で助け合う“共助”、区の支援や補助を活用する“公助”の3つの基本理念を基に、災害に強い港区をつくりあげていきたいと考えています」と、防災課 課長の亀田さんは言います。

またマンション全体で必要なエレベーター内チェアや階段避難車などの防災資器材を購入する際には、マンションの防災組織が申請をすれば、一定額の助成をするなど、マンション防災組織への支援も行っています。なかでも区民にとって嬉しいのは、家具転倒防止器具を一定額分まで無償で支給していることです。

「首都直下地震が発生した場合、都内では約7,000人が家具の転倒・落下が原因で死亡または負傷すると予想されています。室内の家具が凶器にならないためにも、家具の固定を徹底していただきたいのです」と亀田さん。

家具固定がマンション防災の基本。他の自治体でも、家具固定器具の斡旋や助成金がでる場合もあります。皆さんも一度お住まいの自治体の支援制度を調べてみてはいかがでしょうか。

マグニチュード7.3の想定!いざというときも「自宅で生活」が基本

「港区の被害が最も大きいと予想されるマグニチュード7.3の東京湾北部地震では、家が焼失・倒壊し、生活の場が無くなる区民約3万3千人が、区立小中学校等の区民避難所に避難してくると想定しています。共同住宅の住民が一斉に避難所に避難するとキャパシティオーバーになる可能性がありますので、建物がしっかりしており、焼失・倒壊の恐れが少ない共同住宅については、共同住宅内に留まるようお願いしています」。

そのためにも、港区で配布している「港区 高層住宅の震災対策 マンション防災ハンドブック」にあるようにマンション内での防災組織づくりや災害時の活動計画を考えることが大切になってくるのです。

50ページほどもある「港区 高層住宅の震災対策 マンション防災ハンドブック」。高層住宅に配布しています。

ハンドブックでは、5フロア毎の基本単位をつくり、居住者同士で助け合う仕組みづくりのアドバイスなど、マンション防災が具体的にわかりやすくまとめられています。

防災訓練の機会に、地域とマンションの連携を

港区は、マンションの防災組織が実施する防災訓練を支援しております。特に芝浦港南地区は、高層マンション建設が続いたことで人口が急増しており、マンション毎の防災訓練が活発に行われている地域です。マンションだけでなく、地域の自治会や町内会との連携もとりながら、防災訓練や地域のお祭りをきっかけにして徐々に交流が深まっているようです。

また、汐留のマンションでは、地域の夏祭りにあわせて防災訓練を行うと、人も集まりやすいという気付きがありました。お祭りにあわせて毎年防災訓練を実施していくことで、地域のいろいろな課題が見えてきて、翌年はこうしよう、ああしようといった展開へもつながっています

平成23年10月には「港区防災対策基本条例」を制定。港区・区民・事業者が一体となって、防災に取り組み、災害に強いまちづくりを推進しています。

港区内の防災情報をスマホでチェックできる「港区防災アプリ」

ちなみに港区では、スマートフォン(iPhone/Android対応)向けの「港区防災アプリ」が無料配布されています。港区内の津波避難ビルの位置や液状化マップなどを、確認することができます。

「津波浸水深の3Dイメージ」なども利用できますので、区民の方や区内の学校・会社に通っている方は、是非チェックしてください。
港区公式ホームページ/「港区防災アプリ」

最近は各自治体でこうしたスマートフォン用の防災アプリを配布しているので、ご自分のお住まいの自治体のホームページで調べてみるといいですね。防災アプリを使って、家族で地域の防災情報を共有しておきたいものです。

自分なりの安全マージンを設けて行動する大切さ

自分の安全を守るための余裕を普段から持つことが大切です、と亀田さん。

「これは個人的な意見ですが、危機管理には、自分なりの“安全マージン”を設けることが大切だと思います。

よく横断歩道で青信号を待っているときに、車道のラインのギリギリのところで立っている人がいます。少しでも早く信号を渡りたいという人間心理がそうさせてしまうのですが、歩道に立つときは少しでも車道から離れるなど、安全性を確保するための余裕、すなわち“安全マージン”を設けて常に行動することが、万一災害が起こった際に、自分やご家族の身を守ることにつながるのだと思います。

災害に備えて、“安全マージン”を考えて、どんな行動をとることができるのか、ぜひご家庭で話し合っていただければと思います」と亀田課長。


秋には港区の5つの地区の総合支所毎に、総合防災訓練が行われます。マンションにお住まいの方も、ぜひ一度地域の防災訓練に参加してみてください。参加すると防災グッズがもらえるようですよ。
港区公式ホームページ/防災訓練に参加しましょう

2014/07/04