「揺れる高層住宅を守れ!」中央区のマンション防災への取り組み

いざ実施!防災マニュアルに則った防災訓練をタワーマンションで!

中央区が防災マニュアル策定を手伝った、月島のタワーマンション「ファミール月島グランスイートタワー」で防災マニュアル検証訓練が実施されるということで、マンション・ラボ編集部も取材にお伺いしました。

1階ロビーに設置された対策本部。色分けされたビブス(ベスト)で担当班がわかるようになっています。黄は対策本部、オレンジは物資斑、緑は安全斑、青は情報斑、赤は救護班、ピンクはフロア委員。

今日の防災訓練は、策定した防災マニュアルの実証訓練です。防災マニュアルに則った全戸一斉防災訓練に参加した住民は、100名ほど。理事の方も驚くほどの参加数です。皆さんの期待度が伺えます。

■防災マニュアル検証訓練プログラム
時間 行動 担当
9:00〜 防災委員集合
(対策本部・救護所設営、防災倉庫鍵準備等)
9:50〜 訓練事前アナウンス
10:00 地震発生(震度6強)
10:00〜10:10 ①各フロアでの活動 各フロア委員
10:10〜10:35 ②ブロック毎の活動
③対策本部の設置
ブロック長
防災委員会
10:35〜10:40 ④訓練講評 理事長・防災委員長
10:45〜12:00 ⑤長周期地震動シミュレーターの体験
⑥ケガ人の搬送
中央区防災課
防災委員会・業者
フロア毎に安否確認と防災倉庫の解錠を行う

地震発生の合図と共に、フロア委員が居住者の安否確認。居住者の皆さんが一度廊下に出て、指示を仰ぎます。この訓練で初めて互いに自己紹介した同フロアの居住者の方もいます。訓練をきっかけにフロア居住者同士が知り合うというのも、今回の防災訓練の目的のひとつでもあります。

また、こちらのマンションには、フロア毎に防災倉庫が設置されています。防災倉庫の鍵を持った担当が下のフロアから順次鍵を受け渡して倉庫を解錠。居住者の皆さんが、防災倉庫の中にどんなものが備蓄されているのかを再確認しました。

ピンクのビブスの方がフロア委員。マニュアルの指示に従って、フロア毎に設置されている防災倉庫のチェック。安否確認を行いました。

指示を待っているあいだに、同じフロアの皆さんにお話を伺いました。

「うちは3階だったので、東日本大震災の差には何も壊れなかったけれど、高層階の方はどうだったのか、そういう情報共有はまだまだできていませんね」。

「部屋の家具固定はまだできていません。やらないといけないと思いつつ…」。

「地震による停電で電気が止まるのが怖いですね」。

また、こうやって同じフロア同士の顔と名前を知り合うことができたのもよいことだと口々におっしゃっていました。大規模なマンションの場合には、顔見知りをつくることが、防災への一歩といえますね。

実際に触って確かめる防災用品の展示

2階フロアでは、これからマンションで今後導入を検討している防災用品が展示されており、説明を聞きながら居住者が実際に触って試すことができました。

防災スタッフが居住者の80歳の女性を「楽楽おんぶ」でおんぶしてみました。救助される方も安定感やどのくらい安心できるかを確かめることができます。この方は、自宅用に購入することも検討されていたようです。

壁面に貼られた防災用品の展示用説明書きは、居住者の女性が書いてくださったもの。わかりやすい文字とビジュアルで効果的でした。

「地震ザブトン」による地震のシミュレーション体験

今回の防災訓練の最後に、1階ロビーに設置された「地震ザブトン」で、居住者は地震の疑似体験も行いました。


地震ザブトン」とは、複雑な地震の揺れを再現する、コンパクトな自走式可搬型地震動シミュレーターのことです。正面の大型ディスプレイによって地震の際のまわりの様子を見ながら、専用の椅子に座って地震の揺れを体感できます。

体験できる揺れは14種類。地震の種類によって、その衝撃の種類も異なります。もし本当にこの揺れをマンションで体験したらどうなるのか。自分の頭の中に、具体的なイメージがシミュレーションできます。

東日本大震災や阪神・淡路大震災の揺れを再現した動きを体験した居住者は、「すごい衝撃で安全な椅子に座っていても頭をぶつけそうになりました。とにかく凄かった」、「横揺れだけでも十分怖かった」と口々に感想を述べていました。その様子を見て、お父さんに体験を勧められた小さいお子さんは「やっぱり怖いから止めた」という反応も。

マンション・ラボでは、次回この「地震ザブトン」についても詳しくご紹介する予定です。

「どの程度の地震から対応するべき?」皆さんからさまざまな質問が

訓練終了後に、居住者の皆さんから積極的に質問が飛び交い、質疑応答が行われました。

Q.フロア委員が連絡のために階段を移動すると、災害時の混乱のもとでは?
A.各階の連絡は、情報担当が行い、階段への人の殺到は避けるよう誘導します。

Q.備蓄倉庫の、水と防災トイレの数が少ない気がします
A.水と防災トイレは、各戸で7日分用意していただくという前提で、マンションでは最低の3日分を用意しています。

Q.どの程度の地震規模からこのような行動を行うべきですか?
A.震度5強クラスの地震への対応を想定しています。

こうした具体的な疑問が湧き起こるのも、皆さんが真剣に防災訓練に取り組んでいる証拠です。検証訓練の結果や居住者からの意見などは、再び防災マニュアルに反映され、さらにブラッシュアップして、自分たちのマンションに合った防災マニュアルづくりが進められることでしょう。

最後に管理組合や中央区防災課の皆さんにお話を伺いました。

蓮見理事長
「防災倉庫の鍵の問題や防火扉の開閉など、当初想定していなかった思いもよらないことがわかったというのが、検証訓練の効果でした。これらは今後の課題として解決していきたいと思います。参加者の人数も多く、皆さんの関心度の高さを実感しています」。

富田防災委員長
「マニュアルを作成してから初めての防災訓練で、わからないことも多く、皆さんからたくさんの質問を受けましたので、反省すると共に今後に生かしていきたいと考えています。また、この訓練は同じフロアの居住者同士でコミュニケーションをとる、よい機会にもなりました」。

中央区防災課 遠藤課長
「今回の防災訓練を18階から1階ずつ拝見し、皆さんの真剣な取り組みに感心いたしました。マンションの防災マニュアルづくりの推進は中央区の重要な課題の一つです。1棟でも多くのマンションが、それぞれ独自に防災に努めていただければ、地震の際にも安心な町づくりにつながります。今後も皆さんの防災面でのサポートを行い一緒に、安全な中央区をつくっていきたいと思います」。


自治体とマンションが防災対策に一緒に取り組むことで、さまざまな他のマンションの事例を共有できたり、共通点を見いだしたりすることができます。今後はこうしたマンション防災への取り組みを、自治体やマンションの枠を越えて、横の連携を図り、日本全国で共有していければ、マンション防災はもっともっと強固なものになることでしょう。

マンション・ラボも、今後さまざまな自治体のマンション防災への取り組みをご紹介していきたいと思います。

2014/04/21