地震に強いインテリアを目指す「美防災」スタイルで、 美しく豊かなマンションへ!

防災の安全性×インテリアの美しさ=美防災!

「防災対策と美しいインテリアは、相容れない」と、思っている方はいませんか?

マンション・ラボ編集部でも、マンション防災の大切さを提唱し続けていましたが、「防災グッズはインテリアの雰囲気を壊してしまう」という声をよく聞きます。

ところが昨年のインテリアデザイン展「JAPANTEX 2013」で展示されていた「Pretty woman in the sweet room」ブースを見てびっくり!

パープルを主体にした女性らしいテイストのシックなインテリアでいながら、地震の際にも軽量で安心なミウラ折りの照明ペンダントや、落下物の衝撃を吸収するコルクの床、揺れても落下しない壁付けの寝室照明など、防災面にも隅々まで配慮した、美しいインテリアを両立していたのです。

これがインテリアコーディネーター町田ひろ子先生の提唱する「美防災」を体現したインテリアとの出会いでした。

「美防災」? これは興味深いキーワードです。

マンション・ラボ編集部は、早速インテリアコーディネーターの町田ひろ子先生に「美防災」についてお話を伺いにまいりました。

地震大国日本にこそ、災害に負けない「賢い美防災」提案を

町田ひろ子先生は、インテリアコーディネーターとして、そして町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミーの校長として、防災とインテリアを結びつけた「美防災」というコンセプトを提唱。

インテリアを学ぶ生徒たちに防災の大切さを教えると共に、広く一般の皆さんに対しても、防災を楽しく気軽に始めるアイデアをアドバイスされています。

二度の大地震体験で「備えあれば憂いなし」を実感。そのことをひとりでも多くの方に伝えたい!

町田先生が防災の大切を考え始められたきっかけは何でしょうか?

「日頃の防災の大切さを実感したのは、やはり2011年3月11日の東日本大震災がきっかけですね。

実はそれ以前に、祖母の代から住んでいた木造一戸建て数寄屋造りの我が家の耐震性に疑問を感じ、屋根瓦を取り替えるなどの思い切った防災対策を施していたのです。このおかげで震災のときにも、食器やガラスひとつ割れず、我が家は中も外もしっかり持ちこたえてくれました」と町田先生。

実は、1993年の北海道南西沖地震の際にも、セカンドハウスである北海道のマンションで防災の気付きがあったそうです。

地震後に駆けつけたマンションでは、棚のワインボトルなどはすべて投げ出されていたけれども、カーペットがクッションの役割をして、棚のガラス類は何一つ破損していなかったのだとか。

カーペットも防災の素材となる。その気付きが、その後の「美防災」を内装材の観点から考える上でも役立ったといいます。インテリアのプロフェッショナルだからこそできる防災アイデアが、町田先生の頭の中にはいっぱい詰まっているにちがいありません。

町田先生が手がけたマンションリフォームの事例集。インテリア写真集のようですが、隅々に「美防災」のコンセプトが体現されています。

「美防災10のポイント」と「住宅下着論」

著書『賢く美防災』には、以下のポイントが説明されています。

美防災10のポイント

『賢く美防災  災害に負けない豊かな住まいとインテリア』定価1,890円 発行:株式会社ぎょうせい

【1】ライフスタイルの見直し
【2】置き家具・家電を見直す
【3】収納を根本から見直す
【4】照明を見直す
【5】素材を見直す
【6】すべての部屋を再検証する
【7】避難経路を見直す
【8】飛び出し防止装置を有効に活用する
【9】引き戸建具の見直し
【10】非常用品を備える

全体的にいえるのは、やはりふだん防災のことを考えていない暮らしを徹底的に見直すこと。では、「美防災10のポイント」をマンションで考えると、どのような点に注意した方がいいでしょうか?

「美しさを備えた防災をマンションにも」と語る町田先生。

「一度にすべてのポイントを実行しなくても、少しずつでもいいと思います。マンションで地震に遭うと、落下した本や食器が凶器につながります。大切にしているバカラの食器でさえそうです。収納戸棚を見直して、背の高い家具は極力止めるべきでしょうね」

最近のマンションは耐震構造など、ハード面ではしっかり出来上がっていますが、内部のインテリア面でまだまだ防災対策が乏しいものです。

でもたとえば、照明を壁付けにする、軽い素材のペンダントに取り替えることで、簡単に『美防災』が取り入れられるのかもしれません。なにかひとつでも、今日からできることを考えてみたいものです。

「住宅=下着」ではなく、「住宅=美防災」

「美防災」を体現した渋谷のモデルハウスの「グレートパーラー」。中央の照明がミウラ折りの軽量ペンダントです。

「自分にとって居心地がいいお部屋は大切ですが、自分がまるで下着姿であるかのように、誰かお友達を気軽に招くことができない・呼べなくなってしまっていませんでしょうか。

そんなお宅のことを『住宅=下着』と呼びます。『美防災』にとっては、いつでも人を呼べるお部屋にするということは、片付けができている=防災もできていることにつながります。まずは誰かを招くことができるような、お部屋の片付けも、『美防災』への一歩ですね」

室内のどこかに「パントリーシェルター」スペースを設ける

床から天井まで作り付けの棚で二面を囲んだ「パントリーシェルター」。マンションならば、ウォークインクローゼットやパントリー部分にあたります。

町田先生の「美防災」を取り入れたモデルハウスが渋谷にありますが、こちらの防災面での最大の特長は、家の中央に「パントリーシェルター」があること。

「パントリーシェルター」は、ふだんはワインや貯蔵庫として機能しますが、ここに防災備蓄用品や救急箱、簡易マットレスなども収納されています。

すべて作り付けの棚で耐震ラッチが設置されていますので、地震の際に落下物の危険がない、家中で一番安全なシェルターとして使います。

「昔スイスに住んでいた頃には、一般家庭に普通にシェルターが設置されていました。冷戦時代の名残なのでしょうが、これには驚かされましたね。

シェルターは、家中で一番安全な場所を設けるということ。これをそのまま、地震の際の避難場所としてのシェルターとして機能できるように考えたのが『パントリーシェルター』の発想です。

しかも住まいの大黒柱として、モデルハウスでは耐震性を施して、家の中央に位置させています。マンションでも、パントリーやウォークインクローゼットに耐震・防災設計を施し、地震の際のシェルターとして使えるように考えればいいと思います」

(写真左)ふだん使う備蓄品も、揺れで飛び出すことがないようしっかり収納。/(写真右)この部屋で被災生活ができるように、家族分の簡易マットレスも収納。

確かに、マンションの部屋の一部を、安全なシェルターとして機能させるという発想は重要かもしれません。しかもそこに備蓄品があれば、室内の簡易避難所として安心ですね。

「パントリーシェルター」の詳細はこちらの動画でもご覧いただけます。

インテリアコーディネーターの卵たちが「美防災」アイデアを公開プレゼン!

ベストプレゼンテーション賞を受賞したプレゼンNo.5のインテリアコーディネーター専門科 2-Cクラス「SWECCO」の発表。

町田先生のインテリアコーディネーターアカデミーでは、毎年、生徒たちによる「美防災」公開プレゼンテーションが実施されています。

全国各地にあるアカデミーの学生たちが、その地域特有の防災知識を生かした美防災インテリアを提案。この公開プレゼンテーションから、商品化のアイデアが生まれることもあるのだとか。

「全国その地域毎に、先人の防災知識が口承で受け継がれているはずです。生徒にはそういった先人の知恵や伝統を、若い自由な発想でインテリアに取り入れるように指導しています。昨年は『伝統と革新』というテーマで実施しましたが、ユニークな美防災アイデアがいっぱい詰まっていました」

たとえば、ソファの後ろに備蓄用収納庫を設置したもの、和のスタイルの格子の飾り窓がいざという時に担架として使えるものなど、斬新なアイデアがいっぱい。そしてどのアイデアにも、日本らしい「和」の要素を取り込まれています。

「全国にある学校ですので、地域の特色や日本の和のよさを取り入れるように日頃から指導しています。特に防災は、「津波てんでんこ」のように、地元の先人の体験が役立つものですから、一人でも多くの方にその知恵や知識を紹介してほしいという強い思いもあります。

ここで『美防災』のコンセプトを学んだ学生たちが、いつかインテリアコーディネーターとして全国で活躍して、日本中に『美防災』の種を受け継いで根づかせてくれればと大いに期待しています」

町田先生が提唱し始めた『美防災』の種が全国で根づいていけば、災害に負けない安全な家が増えていくにちがいありません。あなたのマンションにも『美防災』の種を根づかせていきませんか? 何よりも大切な家族を守るために!

プロフィール

日本で初めて「インテリアコーディネーター」のキャリアを提唱。1978年に「町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー」を設立。現在、全国6校のアカデミー校長として、教育活動に務める。

また、一級建築士事務所・株式会社町田ひろ子アカデミーの代表取締役として、インテリア、プロダクトデザイン、環境デザインと幅広いジャンルのプロジェクトを400件以上手掛ける。日本と欧米の文化の架け橋となる「伝統と革新」が、1977年米国から帰国以来のポリシー。

また、町田ひろ子が提案するデザイントレンド「青山スタイル」では、インテリアコーディネート・リフォームを提供中。

町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー
http://www.machida-academy.co.jp

2014/03/11