これからのリノベは、防災もマスト!「防災×リノベーション」を考える

地震が起こったら? 机の下に潜るよりも、ポールに掴まる方が安全

国崎:常々、特に高層階のマンション居住者には、お部屋に手すりを付けてくださいね、と言っています。机の下に潜るよりも、固定された丈夫なモノに掴まる方が体を守るのには有効です。

手すりは介護みたいで嫌だという方には、大黒柱のように天井から床までポールが一本通すというのはいかがでしょう。ふだんはオブジェのようなインテリア性の高いポールが部屋のまん中にあって、いざというときにはそこに掴まれるというもの。

設置するのは、家具の近くではなく、何もない安全な場所がいいですね。室内のデッドスペースのような場所でもいいです。

白崎:なるほど、なるほど。そういうオブジェ的なものに、デザイン性と機能性を附加してあげると良いのですね。

国崎:いままでの防災はモノをなくすことが、安全性追求だといわれてきました。でも、増やすべきものもある、というのが私の持論なんです。危険なモノは減らす、落下物から頭を守れる柔らかいクッションなどの安全なモノは増やす。いまお話ししたポールや手すりは、いざ地震が発生した際に、自分の体が飛ばされないように守ってくれますから。

非常時に役立つ足元灯を各部屋に配置する、コンセントの設計は大切

白崎:他にはどんなことが考えられますか?

国崎:新築のマンションですと、廊下にひとつ足元灯が設置されている場合が多いようです。これを廊下や各部屋に設置すれば、いざというとき防災用品として機能します。普段は足元灯として事故防止に、地震や停電時は懐中電灯にと、普段使いしているものが災害時にも役立てば便利だと思います。

私は自分の家をつくるときに、足元灯を意識してコンセントをどこに配置するかかなり計算して配置しました。

白崎:特にここには付けておいた方がいい、という場所はありますか?

国崎:まずは寝室。手の届く場所にあると理想ですね。他には、段差があるところ、避難通路となる廊下、灯りがないと危険で歩けない部屋には、設置することをお勧めします。

白崎:普通、標準的な生活動線で考えてコンセントを配置しますが、そこに防災視点の発想がプラスされればクイックに取り入れられる「防災×リノベ」ですね。

国崎:私は防災の視点で間取りを考えるのが好きです。たとえば、マンションによっては、小さいウォークインクローゼットがちょこちょこと各部屋についていますが、それをひとつに集約して、出入り口がいくつもあるというウォークインクローゼットができれば閉じ込めに遭いにくい空間になります。

部屋には一般的に一つしかドアがありませんが、ウォークインクローゼットがつながっていれば、二つの導線を持たせることができます。

国崎先生の自宅の防災対策を紹介した著書『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』

白崎:導線の経路数が多ければ多いほどいい訳ですね。

国崎:自宅を建てた際のコンセプトが、閉じ込められない・行き止まりにならない部屋で、私はまさにそれを実践しました。実際に生活してみると、安心感だけでなくとても暮らしやすくて、家族からの評価も高いです。

白崎:そうですね。リノベーションで人気のアイランド型キッチンも、導線が多い開放型だから、独立型のキッチンより、防災面で理にかなっているのですね。

寝室の床を収納に、ベッドをマットレスに、お洒落な「防災×リノベ」

国崎:最近は、「バリアフリー」の考えから「バリアアリー」という考え方もあるんですよ。バリアがあった方が高齢者も気をつけて歩いて元気になるという発想です。

おしゃれな旅館では、和室に上げ底をしてベッドを置いた洒落たスタイルも増えてきていますよね。寝室を床上げしてそこにマットレスを置いて寝るというシンプルなスタイルにすることで収納スペースも確保できてモダンな印象になります。お洒落な「防災×リノベ」になりますよ。

白崎:ああ、それはニューヨークのジャパニーズスタイルみたいな面白い空間になりますね。

国崎:マンションには階段がないけれど、段差がある階段箪笥の収納スペースを造りつけ家具としてリビングに設置するのもいいですね。
段差を利用して大人は読書できる、子どもはそこを上り下りして遊べる。イコール収納にもなります。

白崎:そう考えていくと、意外に簡単に防災が実現しやすいですね。

国崎:子ども部屋も、ぜひ安全な場所にしてほしいです。たとえばベッド一個分の寝る場所だけにして、そのベッドが子ども部屋の仕切りになっているというもの。子供部屋はベッドだけで、引きこもれない。

うちは子どもが三人いるので、三つの子ども部屋をつくったんですが、寝る・勉強・遊ぶ部屋という目的別にしました。しかもどこからでもアクセスできるように導線も二つ以上設けています。普通の二段ベッドは倒れやすいのでお勧めしませんが、うちは引き出し式の二段ベッドにしました。こういうものがあれば、子どもの成長後は、お客様用ベッドや収納にもなります。

白崎:引き出し式二段ベッドはいいですね。

国崎:お子さんが小さい間は、リビングに子どもベッドがあってもいいと思います。キッチンからもリビングからも、お母さんの目が届いて寝かせておくことができるから。リビングと子供部屋を一体化させちゃうんです。

白崎:さすがにお子さんがいらっしゃるから、お母さんらしい視点ですね。

国崎:もう、そんなことばかり考えているんです。御社に転職しようかな(笑)。

白崎:ぜひぜひ(笑)。すごいアイデアがいっぱいですね。

国崎:子どもの居場所を安全にするというのは、とても大切です。ファミリー層への訴求アプローチを、いろいろアイデア出していければと思いますね。

白崎:リノベーションをされる方は、いまはディンクスだけど、2〜3年後には、子どもがほしいとおっしゃっている方が多いですしね。

リノベーションで大きな間取り変更を施せるという絶好の機会に、防災の視点を入れていけば、「防災×リノベ」意識が一般に浸透していきますよね。我々もぜひ安全な住まいづくりのお手伝いができれば、こんなにいいことはありません。

国崎:リノベーションの目的って、まさに自分仕様にしたいからですよね。防災も、押しつけでなく、自分仕様のものがあってもいいと、私は思うんです。

大切にしたいのは、暮らしやすさや心地よさ。それが無理をしない、自分仕様の「防災×リノベ」になると思います。

白崎:「防災×リノベ」が浸透して、中古マンションの資産価値自体も高められる。これからは、そんなバリューになっていくといいですね。

リノべる。の考える「防災×リノベーション」アイデア案

対談を受けて、リノべる。白崎さんが、「防災×リノベーション」のスケッチを描いてくださいました。

POINT 1.アウトドアな生活

アウトドア好きの旦那さんが家の中でも楽しく過ごせるように、ウッドデッキのような床や、外壁のような壁の小屋を作りました。奥さんは小屋の間から光と風が行き渡る気持ちのいいキッチンで趣味の料理を楽しむことが出来ます。

POINT 2.フレキシブルな間取り

小屋の中に置かれるのはベットと浴室、物置のみ。ライフスタイルが変化しても必要な場所は小屋の中に置き、その他の場所は家具を動かすだけで自由にレイアウトできます。
バルコニー側のリビングを夏は涼しい北側に移したり、子供が独立したら、本箱と机を置いて書斎にしたり、模様替えするように間取りを変えられます。

POINT 3.安心できるくらし

生活の中で一番無防備になってしまうベットルームと浴室は小屋の中にあるので地震が起こっても大丈夫です。寝ているときに家具や本が倒れても、小屋の壁が守ってくれます。小屋の壁には懐中電灯や非常電話、防災グッズを収納しています。

防災×リノベーションのラフ

A、B箇所の詳細イメージとそのほかのアイデア

いかがですか?
対談でもお話に出た、ウォークインクローゼットにもなるフレキシブルな空間(小屋)や、地震が来た時に体を支えるための捕まる所(ボルダリングのホールド)、寝室のマットレス下の床下収納など、防災のポイントを実現しながら、アウトドアテイストの楽しいリノベーションアイデアをご提案いただきました。
リノベーションのメリットを活かした「防災」を意識した住まい、マンションに住むみなさんのご参考になれば幸いです。

リノベーションEXPO JAPAN 2013

リノベーションEXPO JAPAN 2013
http://www.renovation.or.jp/expo2013/

リノべる。株式会社では、この秋に全国で展開されている「見て、聞いて、学ぶリノベーション〜リノベーションEXPO JAPAN 2013」に出展されています。今回お話いただいた「防災×リノベ」のアイデアスケッチも、会場でご覧いただくことができるかも!? ぜひチェックしてみてください。

2013/10/10