おぢや震災ミュージアム そなえ館に学ぶ 防災のために必要な“つながり”のこと。

新潟県中越地震の記憶を伝えるために。「おぢや震災ミュージアム そなえ館」見学レポート

2004年10月23日17時56分。新潟県中越地方を震源としたマグニチュード6.8の直下型地震が発生しました。

震度7を記録した新潟県川口町や、震度6強となった小千谷市、山古志村、小国町、震度6弱の長岡市や十日町市などを中心に、甚大な被害をもたらした「新潟県中越地震」です。

「おぢや震災ミュージアム そなえ館」は、「新潟県中越地震」発生当時の状況や復興の過程、そして震災を経験した方々の体験談などにふれられる施設。震災から7年目を迎える2011年10月23日にオープンしたミュージアムです。

今回は、危機管理研究所代表の国崎信江さんとともに、「おぢや震災ミュージアム そなえ館」のある新潟県小千谷市へと向かいました。

「おぢや震災ミュージアム そなえ館」のエントランス。

関越自動車道の小千谷ICより10分ほど。「おぢや震災ミュージアム そなえ館」は、静かな住宅街に位置する「小千谷楽集館」の2階にありました。より多くの人に訪れてほしいとの思いから入館料は無料。「おぢや震災ミュージアム そなえ館」館次長の松本勝男さんに迎えられ、取材チームは館内へと歩みを進めました。

震災当日の様子を映像で再現する「17:56シアター」

エントランス部分のすぐ隣に設置されているのが、新潟県中越地震の様子を映像で再現した「17:56シアター」でした。大型スクリーンに映し出されるのは、震災当日の小千谷市の様子。のどかな山里を襲った直下型地震や、その後幾度となく発生した余震、そして突如として“被災者”となった小千谷の人々の不安……など。地震という災害の恐ろしさを、あらためて感じさせる内容でした。

被災直後の“3時間後”の状況を展示するスペース

続いては、展示スペースへ。松本館次長曰く「『おぢや震災ミュージアム そなえ館』では、震災発生後の小千谷の様子を“3時間後”、“3日後”、“3カ月後”、“3年後”と、4段階に区切って展示しています」とのこと。

実際に“3時間後”の部屋では、地震直後に発生した地滑りの様子や道路や建物の被害についての展示が行われていました。山間に集落が点在する小千谷では、地震によって21地区、431世帯、1772名が孤立を余儀なくされたそうです。

次の“3日後”の部屋では、“避難生活”に関する数多くの展示が行われていました。被災後1週間にわたって車での生活を強いられた方の体験談や、ビニルハウスを使用した避難所の様子など、当時の状況をリアルに感じさせる展示が並んでいます。

被災の“3日後”の状況を展示するスペース。

小千谷市内の避難者数は2万9243名。最大の避難所となった小千谷総合体育館には、一時期3000名もの避難者が集まり、状況は混沌としていたようです。

被災の“3カ月後”の状況を展示するスペース。

“3カ月後”の部屋には、仮設住宅での暮らしや大きな被害を受けた集落の集団移転や厳しい豪雪地域での避難生活についての展示が並んでいました。行政やボランティアの支援もあって、ようやく復興への希望を感じるのがこの時期なのだそう。

震災からの復興において、地域住民同士のつながりがいかに大切なものかを感じさせるパネルが展示されていたことも印象的でした。

被災の“3年後”の状況を展示するスペース。

こちらが“3年後”の部屋。小千谷の復興の過程を時系列に解説したパネルをはじめ、さまざまな展示が行われています。美しい棚田を取り戻す「小千谷市の棚田を守る会」や、伝統行事「牛の角突き」を再開させた「小千谷闘牛振興協議会」、被災した古民家を人々の交流拠点として再生させる「芒種庵(ぼうしゅあん)を創る会」の取り組み……など。

数々のチャレンジを展示する“3年後”の部屋は、一歩一歩進められる復興への希望で満ち溢れているかのようでした。

“3時間後”、“3日後”、“3カ月後”、“3年後”と時間を区切りながら、被災地の状況を展示するのが「おぢや震災ミュージアム そなえ館」の特徴のひとつ。時の流れとともに移り変わる小千谷の様子を見学してみると、大地震の恐ろしさや防災対策の大切さはもちろん、災害から復興する人々の力強さや、人と人の“つながり”の大切さを感じずにはいられませんでした。

新潟県中越地震の揺れを再現する「地震動シミュレータ」

“3年後”の部屋の隣にあるのが、「地震動シミュレータ」。これは、新潟県中越地震の波形をもとに再現された、震災当日の強烈な揺れを体感できるシステム。

実際に「地震動シミュレータ」を体験した国崎先生は「大地震発生の瞬間には、ほとんど何もできないと考えた方がいいでしょう。だからこそ、事前の備えが大切なのです」と言います。

被災直後の部屋の様子を忠実に再現した展示も。

さらに、「おぢや震災ミュージアム そなえ館」の館外では、被災直後の部屋の様子を再現にした展示も行われていました。この部屋は、集合住宅最上階の部屋(6階)のもの。食器やガラスが散乱した部屋の様子が、大地震の脅威を物語っていました。

以上「おぢや震災ミュージアム そなえ館」の見学レポートでした。続く後半では、同館館次長の松本勝男さんと危機管理研究所代表の国崎信江さん、マンション・ラボ編集部が「新潟県中越地震に学ぶべきこと」について話し合います。

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2013/08/28