都内マンションの耐震化促進に取り組む、東京都マンション課の活動を追う

東京都の都市整備局に、マンション課という部署があるのをご存じだろうか? その大きな目的は、老朽化マンションが増大する首都圏の問題解決のため、マンションの維持管理から建替え、耐震化までを円滑に実施することにある。今回は、東京都 都市整備局内 マンション課の役割の中から、耐震化促進事業についてお話を伺った。

老朽化マンションの耐震化や建替え促進が防災力の高い都市づくりに!

老朽化マンションの増大は、大都市の自治体の大きな問題だ。特に既存マンションの耐震化促進が叫ばれている昨今、老朽化マンションの耐震化や建替え促進は緊急課題でもある。

そこで開設されたのが、東京都の都市整備局 住宅政策推進部マンション課である。先にマンション・ラボの記事で「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化」をご紹介したように、東京都では主要道路に面した建築物の耐震診断の実施を義務付けて、その促進に努めている。

さらに東京都の住宅政策推進部住宅政策課では、災害等の停電時でもエレベーターや給水ポンプの運転に必要な最小限の電源を確保することで、都民がそれぞれの住宅内に留まり、生活の継続を可能とする性能を備えた住宅「東京都LCP住宅」(LCPとは「Life Continuity Performance:居住継続性能」の略)の普及を促進するため、東京都LCP住宅情報登録・閲覧制度実施基準」を定めている。東京都のみでなく他自治体でもこうした取り組みは増えている。

大阪市役所では、「防災力強化マンション認定制度」を推進している。21世紀の都市の防災力を強固なものにするためにも、やはりマンションの防災面を強化する各自治体の取り組みは必須といえる。マンション課は、こうした防災時代の要請に応じて生まれた課だといえるだろう。

・東京都の事例記事
大地震から首都・東京を守るための、「東京の決断」とは?

・大阪市の事例記事
マンションの防災力強化を行政が支援 ~大阪市役所・防災力強化マンション認定制度~

・東京都 住宅政策推進部住宅政策課
東京都LCP住宅情報登録・閲覧制度実施基準」について

耐震化を急ぐ必要がある旧耐震基準のマンションは、全体の2割!

東京都のマンション課の役割は、マンション管理、マンション耐震化、マンション建替え、都市居住促進と、大きく分けて4つある。
その中でも、マンション耐震化に関しては、助成事業や普及啓発事業を推進している。都内には、分譲マンションが全部で52,600棟あり、そのうち旧耐震基準のマンションは、全体の2割以上に当たる11,600棟を占める。阪神・淡路大震災では、旧耐震基準の建物が多く倒壊・崩壊したという報告がある。旧耐震基準のマンションに関しては、建築構造上の耐震性が心配されており、耐震診断を実施して、必要に応じて補強工事を実施することが望まれている。マンション課では、これらマンションに対して、耐震アドバイザーの派遣を行い、耐震診断や改修補助などを実施している(※)。

NGばかりではない! マンションの安心を得るための耐震診断

平成23年度における耐震アドバイザーの派遣は100件、耐震診断は96件・6,600戸、改修助成は1,000戸にのぼる。やはり3.11以降、耐震アドバイザーの派遣や耐震診断件数は増加しているそうだ。
自分の住んでいるマンションの耐震診断と聞くと、「もし悪い結果が出たらどうしたら?」と、不安に感じる人も少なくないだろう。しかし実際に耐震診断を行ってみたら、大きな問題点がなかったり、逆に今のうちに対処しておくべき点が見つかったことで大事に至らなかったり、というケースも少なくないという。また、住まいの安全性が確認できてやはりマンションの耐震診断は、人間の健康診断と同じ。マンションとして良好な状態を維持するために、早めのチェックを怠らないことが肝要なのだと言えるだろう。

耐震改修の具体的な実施例—マンション耐震化のすすめ

しかしマンションの耐震診断や改修には、費用や時間もかかると心配されている方も少なくないだろう。マンションの耐震診断の手順や具体的な改修内容については、以下のパンフレットに詳細に説明されているので、関心のある方はぜひこちらもご覧いただきたい。

特に耐震改修の方法では、たとえば一階開口部の耐力を向上させるための壁の補強や、外部補強といった事例が紹介されており、改修に対する具体的なイメージが掴めるはずだ。

耐震化促進に向けた積極的な取り組み〜マンション啓発隊の活動

今年度から、マンション耐震化の必要性やその緊迫性を広く都民に知らせ、その相談や疑問に答えるべく、「マンション啓発隊」というユニークな取り組みを行っている。

これは、東京都の職員、地元区市町の職員、建築士等の専門家が3人一組となった「マンション啓発隊」が、緊急輸送道路沿いだけでなく、都内全域の「旧耐震基準」分譲マンションの管理組合を直接個別訪問するというものだ。訪問先の管理組合に耐震化の資料を配ったり、耐震化費用への助成制度を紹介したりする他、住民の疑問にも専門家が的確に答える。また、地域ごとにセミナーを開催し、併せて耐震化への疑問に答える個別相談会も実施している。「マンション啓発隊」は、いわば草の根運動的な地道な取り組みといえる。こうした地道な活動から、耐震化の完了していない旧耐震基準のマンションを一戸でも減らしていこうという、東京都の積極的な姿勢が感じられる。

2012/08/17