水入りペットボトルが火災を!? 収れん火災の危険性

収れん火災をご存じですか? 火災原因としては、そう高い発生率ではありませんが、水入りのペットボトルや金魚鉢など、身の回りにある思いもよらないものから火災を引き起こす可能性があります。今回は、その事例から予防策までをご紹介します。

収れん火災とは?

燃えやすいものが近くにあると発火する

収れん(収斂)火災は、凸レンズや凹面鏡、またはこれらと同じ作用が働くものに、光が反射・屈折して一点に集まることによって引き起こされる火災です。
原理としては、虫眼鏡で太陽光を一点に集めて発熱させた理科実験と同じです。一点に集まった光の先に、燃えやすい新聞の束や衣類などがあると、数分後に出火したという実験結果も出ています。

水入りペットボトルでの発火発生は1分足らず

インターネット上にある「消防防災博物館」のコンテンツ「火災原因調査」では、福岡市消防局による「ペットボトルの『収れん』による火災事例について」で、火災原因を比較した詳細な実験結果が記載されています。
ここに報告されている事例では、ウッドデッキのテーブルに置いてあった水入りペットボトルがレンズの役割を起こし、テーブル上の新聞紙や殺虫剤のスプレー缶に着火して火災に至っています。スプレー缶の爆発音で気付いた近隣者が通報して初期消火を行い、大事には至らなかったようです。

福岡市消防局が火災原因を探るために行った実験では、虫眼鏡、ガラス玉、水入りペットボトル500mLのそれぞれで、収れんによる発火実験を行い、発火に至るまでの時間経過を発表しています。さまざまな条件も影響するでしょうが、ペットボトルは発火までに1分足らずという報告がなされています。

消防防災博物館

消防防災博物館 http://www.bousaihaku.com/
調べる>消防専門知識の提供>火災原因調査>季刊 消防科学と情報 火災原因調査シリーズ(50)・収れん火災

2010年1月には東京消防庁が、猫よけペットボトルの火災について注意喚起を行いました。マンションでは、バルコニーの植物の水遣りのために、水入りペットボトルを置いたままにしていらっしゃるご家庭をよく見かけます。直射日光の当たる場所に水入りペットボトルを放置したままにすることは危険ですので、今一度バルコニーに置いているものの安全点検を行ってください。

さらに怖いのは日頃何気なく使っている、マンションの室内を見渡してもすぐ見つかるような日用品が火災の原因となり得ることです。

収れん火災を引き起こす可能性のある身近な日用品

では、マンションにある身の回りの日用品でどんなものが収れん火災を引き起こす可能性が高いのでしょうか? 以下に主な収れん火災の原因になったものを挙げます。

・ 水を入れたペットボトル
・ 水を入れたガラスの花瓶
・ ステンレス製のボウル
・ 金魚鉢
・ 水を入れた透明なビニール袋
・ ガラスに貼り付けるタイプの吸盤
・ メガネ、凸面鏡、ルーペ
・ 水のたまったビニールハウスの覆い

バルコニーだけでなく、直射日光の入り込む室内にも、上記のものを何気なく置いたままにしていませんか? この機会に、室内に置いたままのものをチェックして一掃しましょう。

これまでに発生した収れん火災事例

収れん火災の報告例を一部ご紹介します。防災用の水を保存していたガラス瓶から発生した例もありますから、油断はできません。

非常用の水入り梅酒用ガラス瓶

●平成23年3月18日13時30分頃 東京都小金井市内
非常用として水を入れておいた梅酒用のガラス瓶に、太陽光線が当たり凸レンズとなって発生。

布団付近の水入りペットボトル

●平成22年1月8日11時35分 東京都目黒区
室内に敷いていた布団付近に水の入ったペットボトルを置いていたことによる、無人の室内からの火災発生。

収れん火災を予防するためにできること

収れん火災は、太陽の高さや日光の当たる素材、また季節や時間帯など、さまざまな要因の組み合わせで引き起こされる火災です。この夏場だけでなく、通年通して注意したいものです。

→(関連記事)冬場の室内で起こる収れん火災に注意しましょう

マンションで予防するためには、以下の点に注意してください。
・ 収れん火災を引き起こしそうなものを、太陽光が差し込む窓際やバルコニーなどに置かない。
・ 窓にレースのカーテンをかけて直射日光が差し込むのを避ける。
・ 室外機の上にものを置かない。

危険性を熟知し、注意すれば防げる火災です。ぜひ身の回りを見直しましょう。

※ 写真はイメージです。

2012/07/23

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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