マンションバルコニーや窓からの子供の転落事故ゼロを目指して

高層階からの子供の転落事故死が、5月だけでも4件ありました。マンションにお住まいの家庭にとっては他人ごとではありません。この悲しい事故を起こさないために、大人ができることを考えましょう。

子供の転落死、5月だけで4件発生

今年5月11日には、北九州の11階建てのマンション屋上から小3男児が転落死。屋上につながる門扉は施錠してありましたが、子供がすり抜けられるスペースがあったということでした。

5月16日には、大阪府八尾市の13階建てマンションの12階の部屋のベランダから小3男児転落死。自分の部屋へ入ったあとの出来事で、ベランダには自転車が置いてあったそうです。

5月27日には、北九州のマンションの12階の部屋のベランダから、3歳の女児が転落死。ベランダの高さは、約1.2メートル。リビングにあった高さ60㎝のキャスター付きの台が柵の近くに移動していたということでした。

またこれはマンションではありませんが、5月30日には愛媛のホテルの12階の窓から1歳児が転落死。室内には窓と同じ高さの出っ張りがあり、お子さんは直前までそこで遊んでいていたとのことでした。うっかり窓が開いてしまったのかもしれません。

ざっと見ただけで、こんなにも痛ましい子供の転落事故死が相次いでいます。自室の事故でお子さんを失ったご両親のお気持ちを考えると、言葉もありません。

これまでの記事でも、子供の転落事故に関して予防策をお話してまいりました。
マンションのバルコニーや屋上からの転落事故を防ぐために

今一度、皆さんの室内を見回して、転落事故防止対策が万全かどうかチェックしてください。子供の転落事故は、大人が注意することで必ず未然に防げるはずです。

子供だから大丈夫と思い込まない!

5月の転落事故死を見ていても、幼児から小学生の児童まで幅広い年齢の子供が誤って転落しています。また、1歳だからまだ大丈夫という思い込みは事故の元です。施錠されていても、1歳児の手に届く場所に鍵があれば、鍵を開けることができます。

これは実際にわが家で起きたことですが、子供が1歳の時に子守りを義母にお願いしていました。バルコニーで洗濯物を干していた義母は、子供がバルコニーに出ないようにと窓を閉めました。そのとき、子供がお風呂場から腰かけ椅子を持ってきて、窓のクレセントをいじって施錠してしまったのです。

「鍵を開けて」と義母が頼んでも理解できないらしく、にこにこしているだけの子供。1時間近く外へ閉め出された義母は、近所の方に助けを求めて中へ入ることができました。「もし、このような状況の中で、地震、火事、事故が起きたらと思うとぞっとした」と義母は言っていました。

幼児でも、窓のクレッセント錠の位置に手が届けば施錠・開場は可能なのです。施錠してあるからといって安心はできません。鍵が届かなかったら、足台になるものを引っ張ってきて開けようとします。

小学生低学年のお子さんですと、クレセント錠は容易に開けられます。子供は好奇心旺盛です。窓に何か飛んできたり、下でなにか音がしたりしたことで、バルコニーの外へ関心が移ります。ヨコにあるオモチャのケースや、外にある植木鉢を足台にする可能性もあります。

転落事故予防策

子供の転落事故を予防するには、まず子供が一人でバルコニーに出られないための措置、そして室内の予防対策の徹底に尽きます。

一人でバルコニーに出ないための措置

・バルコニーへ出る窓や腰高窓には、子供の手の届かない位置に補助錠を付ける。施錠の徹底。
・バルコニーに転落防止柵を取り付ける。
・バルコニーに、足台になるもの(台、植木鉢、自転車など)を置かない。
・網戸だけにするのも禁止する。
・絶対に子供をバルコニーで遊ばせない。
・腰高窓への転落防止策の設置。
(市販の窓用転落事故防止柵もありますが、中途半端な高さだとそこを足がかりにしてよじ登ってしまう可能性もありますので注意してください)

室内の危険度見直し

・寝室やリビング、窓のある部屋に容易くよじ登れないか。足台があれば容易く窓によじ登れないか、危険度をチェックする。
・寝室の場合は特にベッドで跳ねて遊んでいて窓の外に落ちてしまわないか。家具の配置や事故の可能性について検証する。
・窓際に家具を置かないことを徹底。

小さいお子さんのいるご家庭は、上記ポイントで室内をチェックし直してみてください。

転落事故は、大人が目を配ることで防げるはずです。子供から目を離さない、一人にしないことを徹底し、できる限り事故につながる可能性のあるものを排除しましょう。

2015/07/28

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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