もし通り魔などの不審者が同じマンションに住んでいたら?証拠記録が防犯につながる!

同じマンションの不審者対策には、前兆の関知と記録が大切

世間を戦慄させた千葉県柏市通り魔事件の犯人は、路上で殺害された方と同じマンションの居住者でした。

この事件は、偶然同じマンションだったのかもしれませんが、多くのメディアから「もしマンションに不審者が住んでいたらどう対処したらいいのか」というご質問を受けました。マンション居住者の皆さんにとっても、人ごとではないと思います。

危機管理に役立つのは、「前兆の感知」と「記録」です。

たとえば、よく室内で奇声を上げている、ドアや壁をバンバン叩くなどの不審な問題行為があれば、日時と現象を記録しておいてください。

・発生日時
・どのような不審行動だったのかについて具体的記録を行う
・記録方法は、映像、録音、文書、いずれの記録方法でも可

文書の場合は、主観で記録するのではなく、第三者にも伝わりやすい客観的記録を心がけてください。

あまりにも頻繁に繰り返す問題行為であれば、管理組合に相談をあげます。決して、個人で相手にクレームを入れてはいけません。そこから、みんなで不審者への警告や、行為の抑制となる対処方法を考えることができます。

危険・迷惑行為は、記録が大切だというアドバイスは、以下の記事でもアドバイスしましたので、参考にしてください。

マンションの防犯お悩み~窓から植木鉢を投げる愉快犯への対処法~

ドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力)やストーカー行為もそうですが、器物破損、迷惑行為などの犯罪性が高いケースの場合にも、記録は有効です。もし犯罪性の高い行為であれば、管理組合を飛び越えて、一刻も早く警察へ通報してください。

行為の犯罪性について判断しにくい場合や、すぐに「110番」するのがためらわれる場合には、警察の相談ダイヤル「#9110」で相談してみてください。ここではそれぞれの相談内容に応じて専門の窓口を案内してくれます。

小さなヒヤリ・ハットから、犯罪の芽を確実に潰していく

些細なヒヤリ・ハットは、犯罪や危険に気付く小さな前兆の芽です。マンション居住者全員で、迷惑行為や不審者への注意勧告や情報共有を行うことで、みんなで関心を持って安全なマンションづくりにつなげていきましょう。

実は潜在的な危険がいっぱい!?機械式立体駐車場アンケート結果のヒヤリ・ハット

マンションの外で不審者を察知するには?

今回の事件は、帰り道で被害に遭われました。帰り道で、不審者かどうか判別する暇もなく突然襲われるという場合もありますが、通り魔や不審者には必ず予兆があります。

マンションのエントランスで出会った人が居住者か不審者かわかりますか?

帰り道やマンション内で、不審な行動をとる人から危険の前兆を感知するには、常にまわりの人や場所に関心を持つことです。

私が子ども達に防犯指導する際は、子ども達にわざと人通りの多い交差点を渡らせたあとで、「さっき交差点で右隣をすれ違った人の特長は?」と訊いてみます。ほとんどの子が、まわりの人に関心を持っていないため答えられません。これはきっと大人でも同じことでしょう。

ヘッドホンで音楽を聴いていたり、スマホを見ながら歩いていたりすると、まわりに迫る危険をすぐ察知できません。
自宅への帰り道が、よく知っている道だからといって、安全だとは限りません。
自転車や車に乗っているからといって、誰かに襲われないとは限りません。

皆さんがふだん「根拠のない安心」に頼っているのが問題なのです。この衝撃的な事件は、そのことを私達に教えてくれました。

通り魔の予兆を感知する方法

通り魔などのように、誰かを殺そうとする強い信念を持っている人には必ず異様な雰囲気を漂わせています。一般の人にわかりやすいのは、心身の状況が宿る「目」と、行動を予想させる「手」です。

刃物をどこかに隠し持っている場合は、どこか不審な様子があります。

・服装と合ってない鞄を持っている
・すぐ出しやすいように、バッグに片手を入れている
・上着に手を差し込んで隠し持っている

すれ違う人や後ろから歩いてくる人の目と手を見ることが、少しでも危険を察知する方法のひとつです。

また、通り魔的な犯罪者は、人の多い場所を選んで物色しています。人が多い場所でもそうでなくても、一人でいるときには常にまわりの様子に目を配るという習慣を身につけましょう。海外旅行では用心深く行動する人でも、日本では危険を察知する習慣を忘れていることが多いものですが、残念ながら日本でも、常に身の回りへの警戒心が必要とされる時代になってきたのです。


まわりに関心を持たないことが自分の隙をつくることにつながります。一人でも多くの方々が、マンションの外でも内でも、警戒心を持って過ごしてくださればと思います。

最後に、この事件によって命を落とされた被害者の方のお悔みを申し上げます。二度とこのような事件が起こらないことを切望します。

2014/05/07

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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