「国崎流!理想の防犯エレベーター」をマンションに!

マンションのエレベーターは、見知らぬ人と乗り合わせる可能性のある密室です。今回はマンション住民にとっての「理想の防犯エレベーター」のかたちを国崎流に模索したいと思います。

公共の場であるマンションのエレベーターは、危険性の高い場所

マンションのエレベーターは、公共の場。どんな人と乗り合わせるのかは、わかりません。

「見知らぬ人と乗り合わせた際に、常にどう行動したらよいかを考えておきましょう」というアドバイスは、この連載で何度か行ってきました。

マンションのエレベーター防犯、危険回避のチェックポイント

エレベーターに乗る際の防犯意識を持つことは最低限必要ですが、今回は、マンションのエレベーターの構造的な問題をチェックして、国崎流の「理想の防犯エレベーター」を検討・模索してみたいと思います。

皆さんも、お住まいのマンションのエレベーターをこうしてくれたら防犯面で安心できるのに、というリクエストがあると思います。居住者の皆様のリアルな不安や声を理解しながら、ご一緒に「理想の防犯エレベーター」のイメージを構築していきませんか?

「防犯優良マンション認定制度」によるエレベーターの基準

平成18年に、財団法人ベターリビング、財団法人全国防犯協会連合会および社団法人日本防犯設備協会の3公益法人が、警察庁および国土交通省の指導を得て「防犯優良マンション標準認定基準」を策定しました。

これは、全国統一基準により一定の犯罪防止に配慮したマンションを登録・認定するものです。この基準では、エレベーターは以下のように指示されています。

エレベーター

a. エレベーターかご内には、防犯カメラが設置されていること。
b. エレベーターは、非常時において押しボタン、インターホン等によりかご内から外部に連絡又は吹鳴する装置が設置されていること。
c. エレベーターのかご及び昇降路の出入口の扉は、エレベーターホールからかご内を見通せる構造の窓が設置されていること。
d. エレベーターのかご内の照明設備は、床面において50ルクス以上の平均水平面照度が確保されていること。
e. エレベーターかご内に防犯カメラが設置されていること、非常時にかご内から外部に連絡する装置を設置していること。
(国土交通省「防犯優良マンション標準認定基準」http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/07/070420/03.pdf

上記の基準が果たされていないマンションもまだまだ多いかもしれません。しかしこの基準だけでは、防犯面においては不満足だと私は考えます。

国崎が考える「理想の防犯エレベーター」

私が考える「理想の防犯エレベーター」は、とにかくオープンなものです。

外部の監視の目が常にあり、何か起こったときに外部の人がすぐかけつけられる、そしてそのことが犯罪抑止力になる、というものです。詳しくご説明していきましょう。

マンション敷地内のエレベーターの位置を目立つところに

これはマンションの設計段階から検討していただく必要がありますが、エレベーターの位置は必ず敷地内の中央、目立つところに配置していただきたいです。

たとえば吹き抜け構造の中央にエレベーターを配置するなど、今後建設されるマンションには防犯面でエレベーターの位置をよくよく検討していただければと思います。

エレベーターをシースルーに!もしくは終始監視できる場に

さらにいえば、すべてのエレベーターをシースルーにして、外から見えるくらいの方がいいくらいです。

もちろん既存マンションでそんなことはできないでしょうが、人の目に触れにくい密室を透明化して、常に外部の監視の目を保つにはそのくらいの発想転換が望まれます。

エレベーターの監視カメラの位置を前に

エレベーターの防犯カメラの位置は、なぜかかごの後方に設置されているものが多くあります。

エレベーターに乗り込んだ人たちは、常に出入り口に顔を向けて立っています。この位置では、せっかく設置した防犯カメラも、乗り込んだ人の後ろ姿を撮影するだけに留まります。

最新式のものでは、防犯カメラを出入り口の正面に設置して、乗り込んだ人の顔を撮影できるように配慮されています。また、防犯カメラのモニターをエレベーターのスイッチの上方に設置して、常にエレベーター内の人の動きがかご内でもモニタリングできるようになっています。これだと、犯罪抑止力につながりますね。

居住者が助ける! エレベーター内部とすぐ連絡をとれる体制づくり

エレベーターには緊急ボタンが設置されており、非常用ボタンを押すとすぐエレベーター保守会社または警備保障会社に連絡できるようになっているマンションが多いはずです。

しかし警備保障会社がすぐに駆けつけるとはいえ、何か起きてから現場に到着するのではロスタイムがあります。

できればエレベーターの非常用ボタンを押と、マンションの館内放送のようにスピーカーで全フロアに伝わり、ボタンが押されたらすぐ近くのフロアの居住者が駆けつけて助ける、そんな体制がとれれば防犯面で格段に有益です。

たとえばコミュニティの中で、エレベーターの異常を聞いたら駆けつける当番を設けるのもいいでしょう。皆で助け合う、それが集住のマンションならではの利点を活用できることになるのです。


他にも、エレベーターにつけてほしい機能はありますが、まず皆様のリアルな声を伺って、私たちなりにマンションの「理想の防犯エレベーター」像を探っていければと思います。ぜひ皆様の声をお届けください。

※ 写真はイメージです。

2013/04/15

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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