防犯とコミュニティの関係づくりは「つかずはなれず」から

お住まいのマンションで、あなたは何人の居住者の顔を覚えていますか? 防犯でも防災でも、いざという時に役立つのは「つかずはなれず」のコミュニティの構築です。顔見知りになるために、すぐできるきっかけづくりをアドバイスします。

マンションの不思議な心理、同じフロアの人と顔を合わせたくない?

玄関のドアを開けて「さあ出かけよう」という時、もし同じフロアの人が出かける物音がしたら、あなたはどういう行動を取りますか?

□ 1 同じフロアの人が先にエレベーターを使うまで室内でやり過ごす
□ 2 フロアに出て挨拶をして、一緒のエレベーターに乗る

不思議なことにマンションでは、同じフロアの人と顔を合わせたくない意識が無意識に働くのか、1番目のように、わざと出るタイミングを外してやり過ごす人が多いようです。
このように同じフロアの人に出会うせっかくの機会を自ら見送るのは、防犯の面でも防災の面でも残念なことです。

以前マンション・ラボが実施したマンション内での交流に関するアンケートでは、マンション内のご近所付き合いを「必要」と回答した方は82%。いざという時助け合える「つかずはなれず」の関係づくりに関心が集まっているというアンケート結果でした。

いざという時、あなたはマンションコミュニティにどれだけの顔見知りがいますか?

地震発生! 避難した公園で顔見知りの人が誰もいない不安

マンション・ラボ編集部が取材した「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」の語り部の高田トシさんは、阪神・淡路大震災の時の体験を来場者に語り継ぐ大切な役割を行っています。マンションに住んでいた高田さんは、震災が発生して近くの公園に逃げた時、そこには誰も顔見知りがいなくて非常に心細い思いをしたと語っておられたそうです。地域のコミュニティのつきあいがなく、マンションコミュニティにも顔見知りが少なければ、マンション居住者の皆さんの誰もがそのような状況に陥ることでしょう。

阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター


語り部として協力されている地域の皆さんから、阪神・淡路大震災の体験を伺うことができます。

阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター
http://www.dri.ne.jp/

生活スタイルが多様化している現在、コミュニティの共同イベントに参加する機会も少ない上、生活時間が異なれば、マンション居住者にまったく出会わないという人も多いはずです。このままでは、マンションという集住環境の利点はまったくありません。防犯や防災に役立つマンションコミュニティを考え直してみませんか?

マンションコミュニティに顔見知りをつくるために時間帯をあわせてみる

まず、マンションコミュニティで顔見知りを増やすために、「つかずはなれず」な関係を構築する努力をしましょう。よく出会うようになれば、顔を知って挨拶を重ねるようになります。笑顔の挨拶がきっかけで、少しずつ会話も発展していくはずです。では、良く出会うためにはどうしたら良いのでしょうか。

住民同士がよく出会う場所、エレベーター。駐輪場や駐車場も○

居住者と出会う機会を多く持つには、人の出入りが多い生活時間帯に行動することです。たとえば、子どもの登校時間や出社時間など、居住者と多く出会いやすい朝の時間帯を選んで、エレベーターに乗ってゴミ出しをするのも有効です。週末のお昼前後も、遅い時間からゆっくり買い物やお出かけなどで行動を開始する人も多いでしょうから、エントランスや駐輪場、駐車場なども、居住者と顔を合わせやすい場所といえるでしょう。

いきなりイベントに参加したり、積極的にコミュニティ活動を行なうのはハードルが高いでしょうが、日常生活の中で居住者と出会う接点を増やす努力をすることは、「つかずはなれず」のいい関係づくりに役立つはずです。ぜひ、明日から実行してみてください。

※写真はイメージです。

2012/07/19

プロフィール

国崎 信江

危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。文部科学省地震調査研究推進本部政策委員、防災科学技術委員などを務める。講演活動を中心にテレビや新聞など各メディアでも情報提供を行っているほか、被災地域で継続的な支援活動も行っている。

おもな著書に『大地震対策 あなたと家族を守る安全ガイド : ビジュアル版』(法研)、『震度7から家族を守る家: 防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『マンション・地震に備えた暮らし方 (地震防災の教科書)』(つなぐネットコミュニケーションズ)などがある。


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