[エジプト・アレクサンドリアのマンションライフ] ひとつの家に親世代と一緒に暮らすのが一般的

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アレクサンドリアってどんな街?

今回紹介するアレクサンドリアは、首都カイロに次ぐエジプト第2の大都市です。紀元前332年に、ギリシアのマケドニア王だったアレクサンドロス大王によってつくられました。歴史的に有名なのは、ヘレニズム時代に世界の学問の中心地だったアレクサンドリア図書館。残念ながら現在は残っていませんが……。その代わり、かつてアレクサンドリア図書館があったとされている場所には、2002年に「新アレクサンドリア図書館」が建てられました。建物は斬新なデザインで、街の象徴ともいえる存在です。

モダンな外観の「新アレクサンドリア図書館」。そびえるモニュメントも印象的。(C) Shutterstock

図書館でありながら、観光スポットにもなっている。(C) Shutterstock

図書館内には、モザイク画の断片などが展示された博物館やプラネタリウム、サイエンスセンターなどがある。

私の大好きな観光名所は「ポンペイの柱」。小高い丘の上に円柱とスフィンクスが残っています。しかし、その来歴、名前の由来や何のための建物だったかなどは、長い歴史のなかでわからなくなってしまいました。一説によると、これらは紀元前に建てられた神殿の一部で、のちに十字軍の兵士たちが1本だけ残った柱を見て、ローマの将軍ポンペイウスの墓跡だと勘違いし、「ポンペイの柱」と呼ばれるようになったとか。こうした謎がいくつも残っているのは、この街の魅力ですね。

ポンペイの柱のそばに鎮座しているスフィンクス。ここがエジプトであることを思い出させてくれる。

こんなアレクサンドリアは、エジプト最北の街。内陸にあるカイロとは違って砂漠はなく、眼前に地中海を臨む港街です。ビーチもあって、海岸線にはホテルが建ち並びます。アレクサンドリアは人気のリゾート地で、“地中海の真珠”と称えられるほど美しい街ですよ! もしかしたら、初めてこの街を訪れると、エジプトとは感じないかもしれませんね。でも、目の前の海底には、古代の石像などが沈んでいるんです。過去の地震と地盤沈下によって、かつての陸地が海になっていますからね。だから、今も新たな発見が続いている、歴史ロマンたっぷりの街なんです。

ここは海に面した地域ですから、内陸部のカイロなどとは気候が異なります。ときどき雨も降りますし、冬は寒くなることが多く、しっかり着込まないと風邪をひいてしまいます。一方、夏は過ごしやすく、街中には適度に緑も広がっているため、エジプトのなかでも暮らしやすい街だと思います。

マンション、お宅拝見!

マンションの外観。クリーム色や赤、オレンジといった色づかいはエジプトらしいもの。

アレクサンドリアは、エリアごとに住んでいる人たちの所得が異なります。私のマンションがあるエリアは、海岸線から2kmほど離れた住宅街で、周りは高層マンションばかり。おもに中東やヨーロッパから移ってきた人々が多く住んでいる、ランクが高めのエリアです。

マンションの広さは240㎡くらい。エジプトでは結婚するまで親兄妹と一緒に暮らし、結婚しても夫婦いずれかの親と同居するのが普通です。だから、どのマンションもある程度の広さがあります。一方、ほかの国のような “単身者用のマンション”とか、“核家族用のマンション”、“ディンクス用のマンション”はほとんどありません。ちなみに、私は妻と私の両親の4人で暮らしています。

部屋のなかのお気に入りは、なんといってもリビングルーム。スペースをゆったりとっています。一角には特注のソファセットを置きました。アレクサンドリアでは、家具まですべてセットにして販売しているマンションが多いと思います。でも、私はどうしても家具にこだわりたくて、あえて家具のないマンションを買いました。このリビングは、夕食後に家族みんなでテレビを見るなど、一家団欒の場所になっています。ときには友人をよんでパーティをしています。インテリアは友人たちにも好評です。

部屋のリフォームは基本的に自由にできます。よいデザインの部屋に仕立てれば、売却時に値段が上がることもあるんです。

リビングの一角にある家族の憩いの空間。ソファは地元の家具職人に特注したもの。

リビングのほかには、両親・私たち夫妻用の寝室にバスルーム、来客用のトイレがあります。エジプトは水洗いの文化なので、トイレにはウォシュレットのような役割をするシャワーノズルがついていることが多いです。ただ、街の水道整備が行き届いていないため、時々断水するのが困りものです。

木材と黒大理石によるシックなキッチン。

夫妻の寝室。落ち着いた白い壁により、涼しげで、落ち着いた空間となっている。

家族用のバスルームは明るく、洗面台などはモダンなつくりにした。

住民の共用スペースは、マンションによって豪華なところと、そうではないところの差が大きいと思います。立派なマンションだと、プールやジム、庭園などさまざまな共用設備がそろっています。私のマンションはそれほどではありませんが、エントランスの先に談話室があって、ほかの住人と話す場として使っています。

マンション1階の共用部分にある談話室。ふかふかのソファとテレビがあり、住民同士の交流の場になっている。

アレクサンドリアのマンション事情

アレクサンドリアで物件を探す方法はいくつかあります。一番のおすすめは“ツテ”に頼ること。特別なつながりがなくても、「家を探している」ことをいろいろな人に話していれば、そこから情報が伝わり、手頃な物件に出合えることが良くあります。

ただし、物件の種類や程度はあまり保障できませんし、いつ見つかるかも分かりません。気長に待つのがエジプト流です。もっと早く、確実にマンションがほしいなら、不動産屋さんに頼みましょう。手数料は高めですが、おおむね希望に沿った部屋を探してもらえます。

マンションには、中程度の物件でも、ほぼすべてに「ボアブ」とよばれる管理人がいます。これはその一族によって代々受け継がれている職業で、マンションの清掃や管理、警備もやってくれる、“マンション専属の何でも屋さん”といっていいでしょう。彼らのほとんどは敷地内に住んでいます。もしあなたが住みたい地域を決めているなら、その地域のボアブたちに相談をしてみましょう。物件の情報を教えてくれることがありますよ。

マンションの住人同士の仲は良いですけれど、特別な催し物をすることはありませんね。また、インターネット環境は、ネット先進国に比べると劣るかもしれませんが、普段使う分にはストレスなく使えます。インターネット・エジプト、スター・ネットなどが代表的な会社で、料金は月々1万円程度(2014年3月時のレートによる)です。

エジプトでは2013年にデモを発端とした政変が起きました。幸いアレクサンドリアは、カイロほどの影響はありませんでしたが、いまも平和とはいえず、治安は2013年以前よりも悪化していると思います。政変前、マンション価格は上昇傾向にありました。これはとくにアラブ系の富裕層などが買いあさっていたからのようです。現在は、勢いがだいぶ落ちてきたように思います。政変によって日常生活が大きく変わってしまったわけではありませんが、少しでも早く政情が安定し、誰でも安心して過ごせる国になってほしいですね。

【ライター】ムハンマド・カリム
IT関連会社勤務のプログラマー。奥さんと子どもの3人家族。クルージングが趣味。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。一部、見にくい写真もあるかと存じますが、ご理解・ご了承のほどお願いいたします。

2014/11/14