[モンゴル・ウランバートルのマンションライフ] マイナス40度の寒さはセントラルヒーティングで快適に

ウランバートルってどんな街?

草原に囲まれたモンゴルの首都ウランバートル。かつては「フレー」とこよばれていましたが、1924年に社会主義国家のモンゴル人民共和国ができたとき、“赤い英雄”を意味する現在の名前に変わりました。街全体は9つの区に分かれていて、そのうちの6つの区で都市部が形成されています。

街の郊外に出ると、はるか地平線の彼方まで荒涼とした草原地帯が広がっている。

かつては旧ソ連と親交の深い社会主義国でしたから、現在でも街の各所にソ連風の構造や色づかいの建物が残っています。これらはコンクリートを多用して、質実剛健で実用本位。“大きさ”と外見の“威厳”が特徴の建築で、「社会主義リアリズム」を表現しているといわれます。また、街全体のつくりも、道路や建物などが計画的に配置されていて、俯瞰すると整然とした印象をもつはずです。

政府の建物にあるチンギス・ハンの銅像。モンゴルでは国家創建の英雄として称えられている。(C) Shutterstock

ただし、今では資本主義経済が導入されて、経済的にも急激な成長を遂げています。街中にはさまざまな言語の看板や新しい建物が建ち並び、やや煩雑になってきています。

ウランバートルの街中では旧ソビエト風が特徴的な建物を数多くみることができる。(C) Shutterstock

もっとも一歩街の外に出れば、そこには昔から変わらない大草原が一面に広がります。草原には今も「ゲル」という伝統的な移動式住居で遊牧生活を営む人々がたくさんいます。モンゴル帝国より積み重ねられた歴史の重みと、経済が成長し続ける力強いエネルギーを感じられるのが、このウランバートルなんです。

マンション、お宅拝見!

建設ラッシュで新築マンションは続々と完成しており、マンションが密集しているエリアも増えてきた。

私が暮らしているのは、都市部を形成する6区のひとつ、ハンウール区に建つ12階建てマンション。ベージュとグレー、それに赤が組み合わさって、なかなかモダンでかわいらしいデザインです。建物自体は築浅で、完成と同時に購入しました。部屋の広さは120㎡ほどです。ウランバートルにあるマンションのなかで広さ的には中の上といえるくらいですね。

玄関を入ってまっすぐ行くとリビングがあり、その両隣に両親と私たち夫婦の寝室があります。トイレと浴室は1つずつ。私たちの寝室の向かい側にも部屋がひとつあり、現在は私の書斎として使っています。将来、子どもが生まれたら、書斎は子ども部屋にするつもりです。

リビングはバルコニーと大きな窓でつながっていて、夏になると心地よい風が入る。

モンゴルでは湯船につかる習慣はないが、シャワーを浴びる場所として、浴槽があることが多い。

夫婦の寝室。フローリングやベッドなど木を多用し、暖かみのある雰囲気となっている。

ちなみに、モンゴルでは冬場になると気温がマイナス40度近くにもなりますから、しっかりした暖房設備はマンションの必須要件です。その条件をクリアするために、ウランバートルのマンションはほとんどがセントラルヒーティングになっています。

これは簡単にいえば、「お湯のパイプライン」のこと。モンゴルでは、国が主導して石炭火力で電気をつくっているのですが、発電と同時にタービンを使ってボイラーでお湯を沸かしています。そのお湯を市内の建物に流しているんです。おかげで、冬には暖房をあまりつけなくても快適に過ごせます。これはうれしいポイントといえますね。

このマンションを選んだ理由はいろいろありますが、窓と屋根のついた広いバルコニーが決めてでした。じつは近年、ウランバートルでは大気汚染が社会問題になっているんです。これは、クルマの排気ガスだけではなく、ゲルに住んでいる人たちが石炭を燃やすことなども原因となっています。ですから、洗濯物を外に干すことには不安があるんです。うちは広いバルコニーのおかげで外気を気にせず、大量の洗濯物を日光に当てて干せることができます。妻も助かっていますね。

書斎の一角。じっくりと読書をしたいときなどにこの部屋にこもるという。

キッチンは限られたスペースのなかでも収納が充実している。

ウランバートルのマンション事情

モンゴルは開放政策による経済発展と共に都市部の人口増加が著しいので、マンションをはじめとする集合住宅の建設ラッシュが続いています。とはいえ、多くの外国人が投資用に購入しているため、マンション価格は年々つり上がり、庶民にはなかなか買えなくなっています。ゲルで遊牧生活をしている人のなかには、マンションを手にすることを夢みている人が多いようです。

経済発展は望ましいことですが、その一方で貧富の格差は拡大しています。そのため、この街の治安は以前よりも悪くなった印象がありますね。高級マンションの場合はガードマンを置いたり電子キーをつけたりして、セキュリティを強化しているところが多くなりました。とくに外国人はターゲットになりやすいですから、もしみなさんがウランバートルで生活する場合は、ある程度用心してくださいね。

最近では趣向を凝らしたデザイン性の高いマンションも多くなっています。一方で、今でも街のあちらこちらで、共産主義政権によって建てられた集合住宅が使われています。こうした古い集合住宅を購入する人たちは、大規模なリフォームをしていることが多いようです。

同じマンションの住民同士は仲が良いことが多いですね。妻もよく近所の人たちと井戸端会議に花を咲かせています。また、最近はFacebookやTwitterといったSNSでコミュニケーションをとることも多いみたいですね。ちなみに、ネット環境は急速に整備されていて、プロバイダと契約を結ぶことでストレスなく利用できます。無線も、Wi-MAXが普及しはじめていますから、ビジネスでネットを利用することの多い人たちはパソコンだけでなく、いろいろな機器でネットを使いこなすようになってきました。

マンションの地下にある駐車場。道路に停めておくと盗難に遭うことが多くなったという。

ちなみに、ウランバートルではどこへ行くにもクルマ移動になりますから、ほとんどの家庭が自家用車を持っています。そのせいもあって、大きなマンションには駐車場がついています。私のマンションにも、地下に広い駐車場があります。クルマは大気汚染の理由のひとつだと分かってはいても、まだまだクルマ社会から抜け出すことは難しいですね。

【ライター】イジ・ブレン・アフドゥー
専門商社に勤務。「ブフ」というモンゴル相撲を観戦するのが趣味で、来日して日本の相撲を観戦したこともある。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。一部、見にくい写真もあるかと存じますが、ご理解・ご了承のほどお願いいたします。

2014/09/26