[チェコ・プラハのマンションライフ] 最近の人気は、歴史的構造物のリフォーム

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プラハってどんな街?

古き良きヨーロッパの面影が残っていることで有名なのが、チェコ共和国の首都プラハ。別名“百塔の街”ともよばれているように、「聖ヴィート大聖堂」や「天文時計」など、旧市街を中心に何本もの歴史ある尖塔が林立しています。

街の中心部を流れるのは「ヴルタヴァ川」です。この雄大な川は、日本では「モルダウ川」(ドイツ語)の名前で知られているようですね。クラシック音楽がお好きな方には、この国の大作曲家スメタナの代表作『わが祖国』に取り上げられていることを思い出していただけるのではないでしょうか。

プラハ市内を雄大に流れるヴルタヴァ川。日本ではドイツ語の「モルダウ」として知られる。(C) Shutterstock

プラハはヨーロッパの内陸に位置する街です。季節の違いがはっきりしていて、夏は日差しが強く、冬はかなり冷え込むのが特徴といえるでしょう。1日のなかでも天候の変動が激しいので、観光でいらっしゃる際には、体調を崩さないように服装に注意してくださいね。

旧市街のなかは徒歩でも十分に歩けますが、新市街までとなればそうもいきません。でも、地下鉄、バス、路面電車と交通の便は非常によいのでクルマは不要です。なかでもトラムという路面電車がとても便利で、私は子どものころから大好き。なんと、トラムには19世紀の乗合馬車からはじまるという長い歴史があるのです。

トラムとともに市民に利用されているバス。利便性はトラムより高い。(C) Shutterstock

マンション、お宅拝見!

今回紹介するマンションの外観。築100年を超えるが、見た目は建設当時とほとんど変わらないという。

プラハ市街の中心部は、大戦の戦火を被らずに残った歴史ある建物で占められています。じつはそれは住宅に関しても同じこと。とくにここ数年は歴史的建造物の改修が進んできていて、そこに住む人も増えています。今回ご紹介する私たちの家もそのひとつです。19世紀から20世紀初頭に建てられた物件に住めるということで、妻がひと目惚れして即決しました。

チェコ人は自宅のリフォームや手入れを自分でするのが大好きです。いわゆるDIY(Do it yourself)ですね。私も入居後、早速リフォームをしました。もともと2つに分かれていた部屋の壁を取り払って、ひとつのリビングルームに。おかげでかなり広々とした空間に生まれ変わりました。陽当たりもよい部屋なのでとても気に入っています。

自らの手によるリフォームで開放感のあるリビングに生まれ変わった。

古い建物とはいっても、フルリニューアルですからネット環境は充実しています。我が家はWi-Fi接続がとても快適ですね。チェコではインターネットが結構普及していますし、とくにプラハならレストランやカフェ、ホテルなどどこへ行ってもネット利用で困ることはまずありません。

使いやすさを重視したキッチンは必要なものがコンパクトにまとまっている。

寝室には大きな窓。朝になると気持ちよい光が差し込む。

チェコでは、バスタブでお湯につかるという習慣は一般的ではありません。ですから、うちのバスルームもシャワーだけです。チェコにはいくつも温泉があり利用者も多いのですが、おもな使い方は入浴ではなく、飲むことを目的とした“飲泉”なんですよ。

バスルームも改装済み。洗面まわりはお気に入りのデザインだそう。

チェコで生まれ育った私には普通の感覚でしたが、この国は“ガラスのごみ”が非常に多いようです。以前、外国から来た友人を自宅に招いたのですが、友人は各家庭から出されるガラス瓶の多さに驚いていました。マスタードやマヨネーズなど、あらゆるものが瓶詰めされて販売されているのがその理由だと思います。さすがは伝統産業「ボヘミアガラス」で有名な国といったところでしょうか。もちろん、ガラスはすべてリサイクルによって新しいガラス瓶に生まれ変わります。

イヌを連れて歩く人をよく見かけるのもプラハの特徴ですね。私の住むマンションの住民もほとんどの方がイヌを飼っています。飼い主にはイヌ一匹あたりに支払う「犬税」が必要ですが、そのお金を使って愛犬家に優しい環境が整備されているのです。街にはいたるところに無料で使えるイヌ用エチケット袋が設置され、ほとんどのレストランはイヌと同伴で入れます。

街のいたるところに設置されている無料のイヌ用エチケット袋。

プラハのマンション事情

住宅改修が進むプラハ歴史地区には、近年、外国人も多く住むようになりました。やはり趣のある建物は人気のようです。

その一方、長年チェコ庶民の住居として親しまれてきた集合住宅に「パネラーク」というものがあります。これは第二次世界大戦後の共産主義体制時代に建てられた集合住宅です。プラハ郊外に多くみられ、今では郊外地区の景観になっています。

集合住宅のパネラークにはチェコ市民の約3分の1が住んでいるといわれる。

パネラークの居住スペースはあまり広いとはいえません。また、同じような建物が並ぶ姿に味気なく感じることもあるでしょう。しかし、住み心地は抜群。キッチンや水洗トイレ、バスなどの生活に必要な設備がしっかり完備されているのはもちろん、建物は断熱性も高いので、寒暖の差が激しいチェコの気候でも快適に過ごせます。その点はロシアの集合住宅とは大違いで、ちょっとした自慢なんです。

また、居住スペースの狭さを補うように、共用部は充実しています。各家庭用の倉庫や、屋内外に洗濯物干し場が用意されているところもあります。
ご近所づきあいが親密であることもパネラークの魅力かもしれませんね。休日は住民同士で集まり、敷地内でバーベキューをするなどして楽しんでいます。

プラハの住宅事情はここ数年、既存の建物の改修や新興住宅地の開発などで大きく変わろうとしています。しかし、こうしたパネラークのような魅力あふれる住宅は、いつまでも残って欲しいと思います。

【ライター】エーリヒ・シンドラー
プラハ生まれ。弁護士事務所に勤める。妻とは大学時代に知り合った。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。一部、見にくい写真もあるかと存じますが、ご理解・ご了承のほどお願いいたします。

2014/08/13