[アルゼンチン・ブエノスアイレスのマンションライフ]週末ランチは住民同士でBBQパーティ!

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ブエノスアイレスってどんな街?

みなさんがお住まいの日本からすると地球のほぼ真裏に位置するのが、私の住むブエノスアイレスです。アルゼンチンの首都であり、300万人近くが住んでいます。南米屈指の経済都市でもあります。市内は48の地区に分れ、中心部にはサン・ニコラス地区、モンセラート地区、北部にはレコレータ地区、レティロ地区、パレルモ地区、南部にはサンテルモ地区、ボカ地区があります。

なかでも、モンセラート地区は、5月広場、「大統領府(カサ・ロサーダ)」や「カテドラル(大聖堂)」など、歴史的価値のある建造物が並ぶ一角です。こうした街並みの美しさから、ブエノスアイレスは“南米のパリ”とも呼ばれています。

また、ボカ地区は世界無形文化遺産に登録されている「タンゴ」発祥の地なんです。ここに移り住んだヨーロッパ移民によって、タンゴは誕生しました。ボカ地区はカラフルな家々や土産物を売る屋台がいくつも立ち並び、いつも賑わっている場所ですね。

ブエノスアイレスにある大統領府「カサ・ロサーダ」。スペイン語で“バラ色の家”を意味する。(C) Shutterstock

タンゴが生まれたボカ地区にはカラフルな家々が立ち並ぶ。ここには高原直泰がかつて所属していたサッカー「ボカ・ジュニアーズ」のホームスタジアムもある。

1936年、ブエノスアイレス創設400周年を記念し、サン・ニコラス地区の共和国広場に建てられたオベリスク。(C) Shutterstock

そうそう、ブエノスアイレス市民はとにかく陽気なんですよ。週末はみんなで肉料理を食べ、ワインを味わうのが、市民の楽しみのひとつでもあるのです。アルゼンチンは世界有数の農業国で、穀物や精肉などが大きな産業。ですから、牛肉はずいぶん安く手に入るんです。

陽気に食べて暮らす街。ブエノスアイレスは素敵なところに間違いありません!

マンション、お宅拝見!

マンションの外観。バルコニーではガーデニングを楽しんでいる家庭も見受けられる。

それでは、私の暮らすマンションを紹介しましょう。私が住むのは、サン・ニコラス地区にある築30年超えの14階建てマンションです。ブエノスアイレスの中心街には一戸建てが少ないため、マンションに住む人がほとんど。私の家の間取りは、リビングダイニング、ベッドルームが2つ、バスルーム2つ、全体の広さは90㎡ほどです。

リビングは日当たりがよいため、日中は照明をつけずに過ごせる日が多い。

シンプルなセミダブルのベッドは奥さんのお気に入り。

キッチンはコンパクトでも使い勝手がよいという。

安全のためにマンションの玄関は二重扉。1番目の扉は開いていることが多く、2番目の扉との間には、守衛を兼ねている管理人が立っています。守衛は「ポルテーロ」、または「エンカルガード」などと呼ばれています。ポルテーロは不在時の郵便物の受け取りもやってくれますし、決して治安が良いとはいえないブエノスアイレスで暮らすには絶対欠かせない存在。彼らの世話になったときには、チップを渡すこともありますよ。

ポルテーロがいないマンションもありますが、その際は十分注意が必要です。例えば、ポルテーロがいないマンションを訪問した場合、防犯上の理由から、後ろについて来る人は絶対に入れてはいけません! 同じマンションの住民かどうかもわかりませんからね。

マンションの住民同士は、いつの間にか意気投合していることが多いものです。ラテン気質の陽気な性格のせいでしょう。エレベーターで一緒になれば、必ず頬にキスをして挨拶をします。

アルゼンチンでは、家族ぐるみの交流が非常に盛んです。週末の昼には住民同士集まり、「アサード」をすることもしばしば。「アサード」は、ブロックの牛肉を炭火で焼き上げる豪快なバーベキュー料理。ひとり600gは食べますね。私のマンションでは、屋上に共用の焼き台が3台設置されています。もちろん、全員が時間通りに集まることは稀で、集合時間はあってないようなもの。まさに、アルゼンチン・タイムといったところでしょうか(笑)。

アルゼンチンの国民食「アサード」。10人ほどのパーティになると、7~8kgの牛肉を準備しなければならない。(C) Shutterstock

ブエノスアイレスのマンション事情

ブエノスアイレスのなかでも、中心部に建つマンションの多くは10階建て以上です。街中に住む人は、中古マンションを購入することが多いですね。それらにはポルテーロが常駐していますが、最近は強盗被害も増えていることから、自宅の玄関に鍵を2つつける人が多くなりました。

古い中古マンションで注目したいのはエレベーター。昔ながらの二重扉の手動式が多く、外扉は蛇腹の引き戸になっていて、なかの様子が見えないようになっています。エレベーターごとに異なる“飾りの付いた鉄格子”を比べてみるのもおもしろいでしょう。

築年数が古いマンションには、昔ながらのエレベーターが残されているところも多い。

近年では、ようやくカフェやファストフード店でWi-Fiがつながるようになりましたが、各家庭までインターネットは普及していません。中心部でもWi-Fi対応のマンションは少ないのではないでしょうか。一部、ADSL回線を引いているマンションがある程度です。そこでインターネットを使うときには、「ロクトリオ」と呼ばれる店に足を運びます。これはネットカフェに近い店。店内には、何台もの電話とパソコンが並べられています。

ゴミ事情についてお話ししますと、そもそもブエノスアイレスには、ゴミを分別する習慣がありません。マンションの共用部にゴミ捨て場が設置されている場合は、そこに入れるだけ。設置されていない場合は、部屋の外に出しておけば、ポルテーロが回収してくれます。ブエノスアイレスでは、ゴミ収集車が夜の9時から深夜1時の間にゴミを回収していきますが、その騒音に怒る住民はいないですね。

この街のほとんどの人は、自宅に洗濯機をもっていません。洗濯はクリーニング屋さんに頼むことが多いんです。洗濯機自体がまだまだ高価で、買っても壊れやすいことが理由だと思います。ちなみに、ブエノスアイレスでは日系人が営んでいるクリーニング店も多くありますよ。

高級マンションの各家庭では、部屋に入るためのドアが2つあるところがほとんどです。ひとつはメイド専用の出入口で、ここからメイド専用のキッチンや小部屋、トイレに直接行けるようになっています。そのほか、こうした高級マンションには、温水プール、ビリヤード場、テニスコート、バーベキュールームなどがあるだけでなく、エレベーターも2~3基設置されています。管理人のほかに4~5人ほどの警備員が常駐しているところもありますよ。もちろん、メイドを雇うのは、お金持ちの家庭ばかり。いつかは私もそんな暮らしをしてみたいですね。

【ライター】マルセロ・ロドリゲス
旅行代理店に勤務しているアルゼンチン人。年に数回、日本を訪れるほどの日本好き。夫人と2人の子どもと暮らしている。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。一部、見にくい写真もあるかと存じますが、ご理解・ご了承のほどお願いいたします。

2014/07/15