[フランス・ニースのマンションライフ] 世界的リゾート地のマンションライフを拝見

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ニースってどんな街?

フランスの南東部にあるニースは、世界的に有名なリゾート地です。地中海に面し、一年を通じて寒暖の差が少ないので、ヨーロッパ中から観光客が訪れてバカンスを楽しんでいます。

ビーチには日光を求める人が途切れない。ヨーロッパ北部は夏でも陽差しが少ないので、みんな太陽が大好きなのだ。(C) Shutterstock

ニースを代表する観光スポットといえば、海岸に面した「プロムナード・デ・ザングレ」という遊歩道ですね。地元の人々は略して「プロム」とよびます。プロム沿いには、高級ホテルやレストラン、カジノなどがずらりと軒を連ねています。また、毎年2月に開催される「ニース・カーニバル」のコースにもなっています。「世界三大カーニバル」のひとつに数えられるこの催し物を見ようと、多くの人々が押しかけるのです。

その美しさから“天使の湾”ともよばれるニースの海岸線。世界で最も魅力的な散歩道ともいわれる「プロムナード・デ・ザングレ」は、地中海に沿って数km続いている。(C) Shutterstock

一方、海岸から離れて街中へ足を踏み入れると、リゾート気分からは雰囲気が一変。パステルカラーの建物が密集している旧市街が広がります。この旧市街は「ヴィエーユ・ヴィル」とよばれ、入り組んだ路地は、まるで迷路のようです。

ニースは19世紀半ばまでイタリア王国の前身であるサヴォイア公国やサルデーニャ王国に属していました。そのこともあって、旧市街の建物にはイタリアのルネッサンス様式の影響がみてとれます。洗濯物が風になびく庶民的な街並みを歩きながら、オペラ座や教会、裁判所といった建物をみて回るのも楽しいでしょう。

市内にはマティスやシャガールといった画家の美術館、さらにはモダンアートの美術館もあるので、アート巡りに出かけるのもいいかもしれません。また、旧市街の「サレヤ広場」などでは、毎日マルシェ(市場)が開かれます。月曜日はアンティーク、火曜~日曜日は花や野菜、パン、スパイスなどの露店が並び、とても賑やか。お店の人もフレンドリーなので、みんなショッピングしながらおしゃべりに花を咲かせます。

昼下がりの「サレヤ広場」。観光客とともに、ニースっ子も頻繁に行き交う。

マルシェには収穫したばかりの新鮮な野菜やオ、リーブオイル、スパイスなどの露店が並ぶ。

このように、ニースは保養地としてはもちろん、生活する場所としても理想的な環境が整った街なんですよ。

マンション、お宅拝見!

フランスでは敷地面積が大きくて豪華な設備をもつ共同住宅を「マンション」、そうでないものは「アパルトマン」とよびます。一般的なのはアパルトマンです。今回紹介する私たちの家も、80㎡ほどのこぢんまりとした物件ですから、アパルトマンです。旧市街にある築100年は経っている建物で、集合住宅になる前は観光客用のホテルでした。友人から「売りに出される」という情報を得て、大人気だったところを元のオーナーと交渉。幸運にもゲットできました。

アパルトマンの外観。1階部分の角にある小さなドアが住民用の入口。

入居にあたって、私たちは室内を大胆にリフォームしました。夫婦2人暮らしということで部屋数を減らし、その分、リビングを思いきり広くしました。さらに、リビングとキッチンをつなぐ仕切りもデザインを変更。そしてベッドルームとバスルームを直結させ、すべての部屋の壁を塗り替えたんです。

キッチンと小さなダイニングテーブル。カマボコ型の仕切りはリノベーションしてつくった。

工事は専門業者にお願いしましたが、この街では“点検”という名の見張りをしないと、いつまでも工事が終わりません。私も仕事の合間を縫ってチェックしていましたが、それでも大規模なリノベーションだったため、完成まで3か月近くかかりました。でも、その出来映えには大満足! 当分このアパルトマンを離れるつもりはありません。

セキュリティは建物入口部分とエレベータ、部屋の鍵と、3重になっています。1階はバーと管理員の部屋です。管理員は、昼間駐在して郵便物の預かりなどをやってくれますが、夜になると帰ってしまいます。

夫婦のベッドルーム。すぐ向かい側は猫足のバスタブが見えるバスルームになっている。

インターネット回線はADSLを引きました。一般家庭は有線LANが主流で、レストランやホテルなどでは無線LANに接続できるところも多くなっていますね。申し込むと数日でモデムが送られてくるので、ネット環境で不満を感じることはありません。最近はノートパソコンの代わりにタブレット端末を持っている人をよく見かけるようになりました。

住民同士は仲がよいといえるでしょう。みんなおしゃべり好きですからね。お互いの部屋に料理やワインを持ち寄って、一緒に昼食や夕食をとることはよくあります。管理員さんを招いた昼食会を開くこともありますね。

リビングの片隅にあるくつろぎの空間。年代を感じさせる天井の梁は、あえてそのままに。

ペットはイヌとネコの人気が半々。フランスではイヌの散歩のときには道路に落としたフンを拾うという習慣がなく、道端にはイヌのフンが落ちています。道路を歩くときは、足下に気をつけてくださいね。

ニースのマンション事情

私のアパルトマンは築100年以上とお伝えしましたが、ニースならば築50年程度のマンションはまだまだ新築同然の扱い。私たちの住むアパルトマンのような物件は珍しくありません。それに、築年数が経っているからといって、不動産価値はほとんど下がらないのです。ですから、30歳前後の若い夫婦でも分譲のアパルトマンを購入することが多いですね。購入時とあまり変わらない価格で売却できるので、一生の間に数回、分譲住宅を買い換える人も大勢いますよ。

ただ、住みたい人の数に対して住宅の数が慢性的に不足しているので、部屋を買えるかどうかはスピード次第。理想的なアパルトマンを探すためには、人づてに紹介してもらうのが一番確実でしょう。ちなみに、不動産を購入する場合は、売買契約の前に政府から認められた公証人の立ち会いのもとで仮契約を行います。公証人には購入物件の10%前後の頭金を預けなければなりません。

新しい物件ですと、管理会社が建物全体を一括管理していますが、私たちの住んでいるアパルトマンのように古い物件だと、それぞれの家主が個別に管理している場合も多分にあります。人に貸すときも、不動産屋を介さないで新聞に広告を出し、直接交渉する人が多いですね。もちろん、個別で不動産会社と契約を結んでいる家主もいます。

ただ、どちらの場合でも「コプロプリエテ」という持ち主同士の管理組合が構成されます。最低でも年に1回は区分所有者同士が集まる総会を開催し、話し合いや投票によって「サンディック」という代表者を決めるシステムになっています。共用部を管理するために区分所有者から集める費用は、基本的にこのサンディックが管理します。エレベータの故障など、プロでなければどうしようもないことは業者に頼みますが、普段の掃除や日常的な業務は管理員がやってくれます。

【ライター】ジネット・アンリ
大学卒業後、画材を扱う商社に勤務。2012年に住み慣れたパリを離れ、念願のニースの住宅を手に入れた。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。一部、見にくい写真もあるかと存じますが、ご理解・ご了承のほどお願いいたします。

2013/11/18