[ベルギー・ブリュッセルのマンションライフ] 一日のうちに四季がある街の暮らしとは

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ブリュッセルってどんな街

みなさんはベルギーと聞くと何を思い浮かべるでしょうか。ワッフル? チョコレート? 確かにこの国の食べ物は美味しいですけれど、さらにみなさんが知っている“あんなモノ”や“こんなモノ”も、ベルギーの首都ブリュッセルにはあるんですよ。

その代表といえば「小便小僧」! かわいらしい男の子が用を足しているあの像は、ブリュッセルの中心地である「グラン=プラス広場」から少し歩いたところにあります。普段出しているのはただの水ですが、ビール会社の主催するイベントのときには、なんとビールが出てみんなに振る舞われることもあるんですよ。

世界的に有名な「小便小僧」の像。クリスマス時期にはサンタの服を着せてもらうなど、イベントによって様子が変わるのも楽しい。(C) Shutterstock

ブリュッセルには欧州各国が加盟しているEUの本部が置かれています。おだやかな曲線を描く建物の前にEUの青い旗の列が映った写真を見たことがあるのではないでしょうか。「ベルレモンビル」とよばれるこの建物には、EUのさまざまな機関が入っています。つまり、ブリュッセルはベルギーの首都であるのと同時に、“EUの首都”ともいえるのです。

EUの本部があるベルレモンビル。上からみると十字架の形をしている。(C) Shutterstock

さらに、ベルギーにはNATOの本部をはじめとした国際機関の中枢組織が集中しています。ですから、この街には欧州各地からやってきた駐在員が数多く暮らしています。ヨーロッパだけではありません。かつてベルギーの植民地だったアフリカ諸国、さらにはトルコやパキスタンなどからの移住者も増えています。近年のブリュッセルはとても国際色豊かなんですよ。

マンション、お宅拝見

では、私たち夫婦が住んでいるマンションをご案内しましょう。建っている場所は、ブリュッセルの中央部に位置するイクセルという地区。石畳とレンガ造りの建物が建ち並ぶ、古きよきヨーロッパの風景が残るエリアです。メトロ、トラム、バスといった交通の便もいいんです。人気が高いエリアなので、不動産屋で探してもなかなか空き物件が見つかりません。たまたま私は知人が引越すと聞き、タイミング良く売ってもらえました。

イクセルの街並み。レンガ造りの家が立ち並ぶ、閑静な高級住宅街だ

このマンションは1980年代に建てられたもので、外観は建築当時からほとんど変わっていません。外観が私の好みにマッチしたのも、入居を決めた理由のひとつです。

こぢんまりとした5階建てのマンション。各階層には1世帯が住んでいる

部屋はヨーロッパ規準からすると、決して広くはありません。我が家は80㎡くらいです。間取りは、リビングルームとキッチン、ランドリールーム、それからバスルームとシャワールームが1つずつ。寝室は2部屋あって、ひとつは私の書斎として使っています。でも将来、子どもが生まれたら、その子の部屋にしてあげようと夫婦で話しているところです。

大きな出窓のあるリビング。天気の変わりやすいブリュッセルでは日光はとても貴重。

子どもに譲る予定のため、書斎にはあまりモノを置かないようにしているという

L字型のキッチンカウンター。ほかの部屋の床は板張りだが、キッチンは水をこぼしてもシミにならないよう、リノリウムを敷いている

夫婦のベッドルーム。冬の冷え込みは厳しいため、窓の下には温水で部屋をあたためるラジエータが置かれている

家のなかのお気に入りスポットは、なんといってもリビングの出窓。南向きなので、昼間は陽の光がたっぷりと射し込みます。アームチェアに腰掛けて本を読んでいると、いつの間にかウトウトと眠ってしまうことも珍しくありません。ブリュッセルは“1日のなかに四季がある”といわれるほど天候が変わりやすく、気温も安定しません。だからこそ、あたたかい日光を浴びての昼寝は最高の贅沢なんです。

ブリュッセルは国際都市ですから、インターネットの接続に苦労することはほぼないでしょう。建物が古くても大抵のマンションにはネット回線が敷かれています。街中にも無線LANに接続できるレストランやカフェはたくさんあります。最近はほとんどの人がスマホを持っていますね。

私のマンションはそれほど大きくないので、共用の施設はありません。ただ、裏手にはちょっとした家庭菜園のスペースがあります。住民同士が自分の範囲を決めて、いろいろな野菜や花を育てています。私の妻はローマンカモミールやチコリーといったハーブの栽培に熱心で、最近ではニンジンやソラマメなどの野菜にも手を広げ始めました。私も休日には畑仕事を手伝い、ほかの人と一緒に作業をしながら会話を弾ませています。

ブリュッセルのマンション事情

ブリュッセル市内では築200~400年経った建物がマンションとして普通に使われています。築20~30年程度のマンションは新参者に過ぎません。多くの人は歴史ある物件を改修して住み続けているので、建物自体の構造に影響を及ぼさなければ、たいていのリフォームは可能ですね。築年数の少ない我が家でも、前の住人がいろいろと手を加えていました。さらに私たちもリフォームして、満足のいく部屋に仕上げました

物件選びにおいて多くの人々が気にするのは日当たりです。普段からあまり天気がよくない上に、冬になると日照時間が短くなるので、日中にどれだけ陽の光を取り込めるかは大きなポイントです。

マンションの裏にある小さな畑。各住民がそれぞれ範囲を決め、思い思いの草花を育てている。

うちのマンションには管理人がいますが、郊外にある大きなマンションだと管理人に加えてガードマンもいるところが多いです。ブリュッセルはそれほど危険な街ではありませんが、場所によっては治安の悪いエリアもあります。鍵の種類やモニターテレビ、アラームの有無をチェックし、設置されていない場合には、自分で取りつけるべきでしょう。

形式的な管理組合はありませんが、何か問題があるとみんなで集まって相談することはあります。管理人に支払う給料や外壁の補修などは、住民がお金を持ち寄って代表者が管理していますね。とくに、ベルギーでは冬に自宅前の道路に積もった雪をしっかり除雪しておかないと、万一転倒してケガ人が出た場合、雪かきをしていなかった居住者側の責任になります。積雪が少なければ住民みんなで雪かきをしますが、あまりにも量が多くなると除雪業者に頼むこともあるので、そういった費用をみんなで毎年積み立てているんです。

【ライター】ラース・デュポン
ベルギーのブラバン・ワロン州出身で、現在は同国内の大手銀行に勤務。奥様とはまだ結婚して間もない。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。そのため、一部見にくい写真がありますがご了承ください。

2013/03/29