[トルコ・イスタンブールのマンションライフ] 洋の東西が交わる街のマンションを訪問

イスタンブールってどんな街?

南のマルマラ海、北の黒海に挟まれたイスタンブールは、ボスポラス海峡によって東西に分かれる街です。ここは古くからヨーロッパとアジアをつなぐ要衝。かつては「コンスタンティノープル」という名前で、東ローマ帝国やオスマン帝国の首都でした。国際的に「イスタンブール」とよばれるようになったのは、1930年以降のことです。現在、トルコの首都はアンカラですが、イスタンブールは今も1,000万人以上が暮らす、トルコ最大の都市です。

ボスポラス海峡に架かるボスポラス橋。1988年に完成した2本目の橋であるファーティフ・スルタン・メフメト橋と区別するため、「第一ボスポラス橋」ともよばれる。(C) Shutterstock

そんな歴史ある街ですから、旧市街地区には東ローマ帝国時代からの建物が残り、「イスタンブール歴史地区」として世界文化遺産に登録されています。また交通も発達していて、海外の玄関口となる「アタテュルク国際空港」や、かつてフランスのパリから走ったオリエント急行の終着点だった「シルケジ駅」が有名。2013年には、ボスポラス海峡を横断する海底鉄道トンネルが開通しました。

トルコ国鉄のターミナル駅。ヨーロッパ各国とトルコをつなぐ多くの列車が発着する。

そんなトルコは経済成長の真っ直中で、マンションも建設ラッシュ。とくに富裕層向けの高級分譲マンションは大人気で、建設段階で完売してしまうことがほとんどです。都心部では先進的なデザイナーズマンションが人気です。街中から少し外れると、居住スペースが広い牧歌的な物件もあり、マンションの選択肢は広いといえますね。

バザールで売られている各種のスパイス。これらはかつてシルクロードを通り、ヨーロッパへともたらされた。(C) Shutterstock

ただし、新築であっても水漏れがしたり、ドアの立てつけが悪かったりすることが多いので、入居する前に点検して直してもらうことが大切。電話回線がつながっているかどうかもチェック項目ですね。住みはじめてから気がつくと、修理まで何か月も待つことになります。

マンション、お宅拝見!

今回ご紹介するのは、私たち家族が住んでマンションです。東西に分かれたイスタンブールのヨーロッパ側にあります。ベッドルームが3つと客間、リビング、キッチン、バスルーム、ランドリールーム、バルコニーが3つ。広さは170㎡あります。なんといっても最高なのは、バルコニーからマルマラ海が望めるところ! 夕日に染まるマルマラ海を眺めながら、ベランダで「エフェス」というトルコビールを飲むのが私にとって至福の時間です。

子どもには部屋を与えてひとりで寝かせています。ベッドルームは1つ余っていますが、友人が泊まることも多いので、3つ目のベッドルームも活躍しています。

居住性を優先させた、シンプルなつくりの低層マンション。海に近いため周囲に高層ビルがなく、開放的な雰囲気がただよう。

ベランダと、その向こうに見えるマルマラ海のオーシャンブルー。この眺めこそ、マンション購入の決め手だった。

キッチンは使い勝手のよさを考慮して別注。収納の多さにこだわった。

夫婦の寝室はできるだけシンプルにして、落ち着ける空間にしたという。

新築のマンションを買ったのでリフォームはしていませんが、建築途中から足を運び、内装にはあれこれと注文を出しました。中古マンションの場合は、契約が成立すればリフォームは割合自由にできることが多いようです。

バスルームにはバスタブとトイレ。シャワースペースは区切られている。イスタンブールの人は、シャワーだけですませることが多い。

我が家はペットを飼っていませんが、階下の方はオウムを飼っています。マンション全体でペットと暮らしている人はあまりいないようですね。

イスタンブールのマンション事情

マンション内の共用部としては、住民なら誰でも使えるプールがあります。私の子どもは夏になれば毎日のようにこのプールで遊んでいます。プールは、ほかの住民とのコミュニケーションの場でもありますね。

マンション内のプール。トルコの夏は最高気温が40℃に達することもあるので、共用プールのあるマンションは多い。

トルコのマンションで特徴的なのは、「カプジュ」という管理人がいる点でしょう。カプジュは「門番」という意味ですが、ほとんどのマンションではカプジュが家族で住み込み、いろいろな世話をしてくれます。ゴミはドアの前に置いておけば収集所まで持って行ってくれますし、共用部の掃除や修繕、さらに買い物の代行もしてくれるんです。新しくマンションを購入したら、まずそこのカプジュの顔と名前を覚えることが第一でしょうね。

そんなカプジュがいてくれるためか、住民同士で集まって細かいことを決める機会はあまりありません。修繕費やカプジュのお給料などは管理会社に任せてあるので、住民が集まるのは年に1度くらいでしょう。でも、住民同士の交流はあります。たとえば、イスラム教のラマダン(断食)期間の終わりに行われる「シェケルバイラム」というお祭りでは、みんなで集まって豪華なご飯を食べたりするんですよ。

インターネットの通信環境は良好です。とくに近年は、ネット利用者の増加にともなってプロバイダも増えてきたので、きちんとした業者を選べば快適に接続できます。ただし、トルコではFacebookやYouTubeなどの一部のサイトが、政府によって閲覧できないことがあり、ちょっと不便ですね。それから、とくにヨーロッパ側の地域では停電がよく起こるので、私は念のためにノートPCを使っています。私の周りでも、ノートPCユーザーが多いですね。また最近は、スマートフォンを持つ人もよく見かけるようになりました。

ほとんどの部屋に設置されている、「カロリフェル」とよばれるラジエーター。冬になると最低気温が氷点下になることもあるため、生活には欠かせない。

最後に、意外かもしれませんが、トルコで暮らすならセントラルヒーティングは必須です! “暑い国”というイメージがあるかもしれませんが、じつはトルコは冬が長く、しっかりとした暖房設備がないと寒くて凍えそうになります。ラジエーターはトルコでは「カロリフェル」とよばれ、もちろん我が家もすべての部屋に完備していますよ。おかげで真冬でも部屋中がポカポカで快適なんです。

【ライター】ナオコ・カルカヴァン
元専門商社のバイヤー。イスタンブールへ転勤したとき、現地の男性と結婚した。現在は家事と子育てに奮闘しつつ、保育施設で働く兼業主婦。

※掲載情報は原稿作製時のものです。

2013/03/06