[ロシア・サンクトペテルブルクのマンションライフ]極寒の大都市に建つマンションは、寒さ対策万全。

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サンクトペテルブルクってどんな街?

ロシアは東西に広がる広大な面積を誇る国です。私の住むサンクトペテルブルクは、国土の西端、フィンランドに近いところにあります。かつては「レーニングラード」という名前でした。今の名前になったのは、ソ連がロシアになった1991年のことです。

サンクトペテルブルクは、モスクワに次ぐ大都市です。人口100万人以上の都市としては、世界で一番北に位置しています。ですから、冬になれば最高気温でも氷点下。最低気温は摂氏マイナス30度になることも珍しくありません。

地元の人が自慢する名所は地下鉄の駅。とくに1958年以前につくられた初期の駅は、豪華な装飾が必見。

冬になれば気温は氷点下10度を軽く下回ってしまう。極寒の大都市だ。

また、サンクトペテルブルクはロシア随一の文化都市でもあります。ドストエフスキーの小説『罪と罰』の舞台であり、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団も有名。住民たちの文化意識も高いといえるでしょう。

世界的に有名な「エルミタージュ美術館」。ロシア最大の所蔵作品数を誇る「ロシア美術館」も、この街の中心地区にある。(C) Shutterstock

今回取り上げるマンションは6階建て。1階部分はラウンジや談話室などの共用部が中心だ。

サンクトペテルブルクで人気のマンションは、中古物件です。ロシアの場合、新築のマンションは、内装や設備が完備されないまま入居者に引き渡されるケース がほとんどです。購入者は、別途設備費用を負担しなければなりません。だから、前の入居者によって設備が整えられた中古マンションを選ぶ人が大多数になり ます。

マンション、お宅拝見!

今回紹介する私たちのマンションは、リビングとベッドルームが2つずつ。さらにダイニングキッチンがあり、広さは150㎡ほどです。現在は私と妻、サンクトペテルブルク大学に通っている私の甥の3人で生活しています。ちなみに、ロシアのマンションには、ほとんどの場合、ベランダやバルコニーはついていません。

このマンションも中古なので、基本的な設備はすでにそろっていました。ただ、キッチンやお風呂など、水回りは妻の要望もあって、いろいろと手を加えています。

それに、インターネット環境を整えるため、自分で有線を引きました。ロシアはまだまだインターネットの普及率が低く、無線LANは電波状況によって通信速度が落ちることがあるので、有線の方が安心できます。パソコンは、一家に一台という家庭が多いでしょう。

家に入ってすぐ左のリビング。右には暖炉が見える

このマンションは築25年ですが、こまめにリノベーションされてきたため、古臭さは感じません。もとは国有のマンションだったので、ちょっと画一的なデザインではありますが、割と気に入っています。

もうひとつのリビング。冬にはここで甥とチェスを楽しむ。ロシアではチェスが大人気。

L字型のキッチンカウンターの上部にたっぷりある収納棚は住み始めてから取り付けたもの

窓は防寒のためにすべて二重で、玄関のドアも分厚くなっています。部屋全体はボイラーで暖める仕組みになっています。さらに暖炉もあるので、室内は冬でも暖か。ホカホカした部屋のなかで飲むホットチョコレートは、最高なんです!

寝室は落ち着けるようにシンプルなインテリアにしているそう。

サンクトペテルブルクでは、ペットはイヌとネコが人気です。割合としては、イヌを飼っている人の方が多いでしょうか。私の周りでは、両方とも飼っている人が結構います。

マンションの住民同士は、管理組合の会議のため、月に一度は会います。みんな顔なじみです。管理組合では、警備会社や清掃業者の選定、共用部のルール、クリスマスやイースターのイベント企画など、マンションにかかわるほとんどのことを決めています。組合長は毎年話し合って交代しますが、大体いつも同じ人たちのなかから選ばれますね。

住民が自由に使える施設は、談話室とトレーニングジム、それに「バーニャ」。バーニャとはロシア式のサウナのことで、温度とともに湿度も高く、耳や髪の毛を守るために、フェルトの帽子をかぶって入るのが特徴です。このような共用部の管理費は、住民全員で積み立てています。

ロシア式サウナの「バーニャ」。人気なので利用は予約制。サウナで暑くなった後、すぐさま冷水に浸かるのがロシア流。

どちらかというと、ジムでは男性向けの筋力トレーニング用器具が目立つ。

私たちのマンションは入口に夜遅くまでガードマンがいて、各部屋には鍵が複数ついています。ただ、セキュリティの程度はマンションによってさまざま。ここよりも都心部のマンションでは、防犯カメラや指紋認証システムなどを完備しているところもあります。

サンクトペテルブルクのマンション事情

じつは、ロシアで住宅やマンションの個人所有が認められたのは1991年以降なんです。それまで、建物はすべて国のものでした。私有化が認められてから不動産業が発達し、不動産価格も上昇を続けています。

共用スペースの談話室にあるロシア式暖炉の「ペチカ」。ここで井戸端会議ならぬ、“暖炉端”会議が行われる

私たちの国では、賃貸マンションはあまり人気がありません。不動産に関する法律がまだ十分には整備されていないので、貸主のわがままがまかり通ってしまうことが多いからです。

マンションは築年数や材質、建築方法などによって大きく3種類に分類されます。郊外にある85㎡以下のマンションは“エコノミー”、都市の中心部に隣接したベッドタウンにあり、防犯カメラやガードマンがいる、ちょっといいマンションは“ビジネス”、そして都市の中心部にあって、コンシェルジュサービスつきで、最新電子機器を完備したマンションが“エリート”です。私のマンションは、ビジネスクラスに分類されます。

また、一部の特徴的なマンションは、「スターリンカ」や「フルシチョフカ」など、建てられた当時の政治のリーダーにちなんでよばれます。スターリンカは1940~50年代に建てられたマンションで、間取りの広い居住性の高さや、スターリン様式と呼ばれる装飾が美しいので、憧れの的です。一方のフルシチョフカは箱型の画一的な建物で、間取りも狭い分、価格も低め。若いカップルに人気なんですよ。

【ライター】ルスラン・エムスコワ
旅行代理店勤務。妻のアレフチーナさんは裁縫教室を開いている。同居人のユーリーさんは大学で言語学を学んでいる。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。一部見にくい写真もございますが、ご了承ください。

2012/11/01