[スペイン・サン・セバスティアンのマンションライフ]美食で名高い文化都市のマンション事情を拝見。

サン・セバスティアンってどんな街?

サン・セバスティアンはスペインの北部、フランスとの国境に近いバスク地方の港町です。海に突き出した岬、モンテ・ウルグルとモンテ・イゲルドにはさまれたコンチャ湾には、美しいビーチが広がり、スペイン有数の保養地としても知られています。それに、街を挙げて音楽週間や国際的な映画祭も開催される、文化的な街でもあるんです。

夕暮れ時のビーチ。街の明かりが入り江の水面に映る姿は幻想的。(C) Shutterstock

シーズンになると、数え切れないほどのビーチパラソルが浜を埋めつくす。(C) Shutterstock

また、この地域は美食でも有名です。バスク料理は海の幸と山の幸、両方をふんだんに使っているのが特徴。肉と魚の炭火焼、マルミタコ(マグロのトマト煮)、ピンチョス(小さく切ったパンに食べ物をのせたおつまみ)を、リンゴの発酵酒シードルとともに味わうのが、サン・セバスティアン流です。

肉と魚介類のどちらも楽しめるバスク料理。

この街でのマンション選びはとってもシンプル。一番大事なのは「ローンが払えるかどうか」です(笑)。スペインの人たちはあまり貯蓄をしませんから、ローンは非常に重要です。支払いができなくなると、マイホームは銀行に没収され、ローンだけがしっかり残ってしまいます。ですからきちんと払っていけるか真剣に考えなくてはいけません。

その上で2~3部屋の寝室とバルコニーがあって、職場とは50kmくらいまで、つまりクルマで1時間以内という範囲の条件で探すのが一般的ですね。

サン・セバスティアン市役所の塔。東日本大震災のあとには、ここで日本へ捧げるコンサートが行われた

マンション、お宅拝見!

今回ご紹介する部屋は、5階建てマンションの1階部分です。寝室が3つと、キッチン、リビング、バルコニー、テラスがあって100㎡強。このあたりでは平均的な間取りと広さです。

ダイニングつきのリビングは大きな窓もあるので広々として快適ですけど、キッチンに行くために、一度エントランスを通らないといけないのはちょっと不便ですね。

マンションの外観。比較的新しいマンションなので、見ため目は現代的

オレンジの壁にマッチするダークブラウンのソファが置かれたリビング。4匹の猫の姿が見える

ベッドルームの雰囲気はムーディ。ほかにもゲスト用のベッドルームが2部屋ある。

キッチンは清潔感のある白いタイルで統一。奥の窓はバルコニーにつながっている。

この街のマンションの多くは、1階部分がガレージやお店になっています。でも、うちは1階にあり、テラスがある点が私の気に入り。このテラスは、はじめは何もない状態だったので、旦那にタイル貼りと壁塗りをしてもらいました。広いテラスとはいえませんが、夏場はランチも楽しめるので、1部屋増えて得した気分です。

テラスには2匹のネコが。夏の晴れた日は、ここでランチを楽しむのが最高だという。

ベランダには、最近設置したばかりというネコの落下(脱走)防止ネットが張ってある。

サン・セバスティアンのマンション事情

多くのマンションには「コムニダー」という住民組織があります。一種の管理組合ですね。でもその活動は、階段、エントランス、エレベーターなどの修理、リフォームやその他の連絡事項があるときに集会を開く程度。明文化された管理規約はありません。

ルールといえば、常識の範囲内でエントランスなどをきれいに保つということくらいです。役員はひとりで1年交代。20世帯あるので、当番は20年に1度だけなんです。また、マンションの地下については、そこにガレージを持っている人だけの組合があります。こちらは毎月交代で掃除当番が回ってきます。

通りに面したマンションの窓際は、住民によってたくさんの花で飾られる

各家庭のゴミは、ガラス類、紙類、プラスチック・缶類、普通ゴミのコンテナがあるので、分別して捨てます。最近、各マンションの前にポールを立て、そこに名前を書いたゴミバケツをぶら下げるシステムを導入すると、市役所がいいはじめています。でも、市民からは反対の声が多いですね。

私はWi-Fiを使っていますが、マンション自体にインターネット設備はありません。周囲も歴史ある建物が多いせいか、ネット環境が整っているところはまだまだ少ないですね。携帯電話はひとり一台持っていますが、パソコンは家族共有で使っているところが多いと思います。

うちのマンションの住民はほとんど同年代。べったりとした付き合いはないものの、みんな仲はいいです。共用スペースはありませんが、向かいのバル(スペイン流のバー)が旦那たちの集会所みたいなもの。サッカーの放送がある週末は、みんなでバルに集まってテレビ観戦しています。

私はといえば、動物好きのお付き合い。お隣のご夫婦が時々うちの犬を散歩に連れて行ってくれたり、ネコがテラスづたいにお邪魔したりします。きっと、こんな風にみんなが自然と交流できるから、あえて共用スペースをつくる必要もないんでしょうね。

【ライター】シホ・サモラーノ
スペイン人の夫を持つ元・日本人のヴァイオリニスト。ときおり地方の小さな劇場などで演奏している。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。一部、見にくい写真もあるかと存じますが、ご理解・ご了承のほどお願いいたします。

2012/09/14