[英国・ロンドンのマンションライフ] 古きものを良しとする、イギリスのマンション事情とは?

ロンドンってどんな街?

今回ご紹介するセント・ジョンズ・ウッド地区は、大ロンドン市の中心部といってもいい場所。有名な「トラファルガー広場」からもせいぜい3~4kmにある住宅地です。ロンドン子の憩いの場所としても知られる「リージェンツ・パーク」のすぐ近くにあります。パークの周辺は、住宅街として長い歴史をもつところで、それほど大きな建物は見られません。

イギリスならではの深い芝生が広がる「リージェンツ・パーク」。池の少し先には史上初めて一般公開された動物園である、「ロンドン動物園」がある。(C) Shutterstock

地下鉄「セント・ジョンズ・ウッド駅」からすぐ近くには、ビートルズのアルバムジャケットで有名な、「アビー・ロード」があります。その両側にも、煉瓦造りの4~5階建てフラット(アパート式住宅)が並んでいます。多少背の高いマンションがいくつか並んではいますが、それもせいぜい20~30戸程度で、集合住宅としては中規模のものがほとんどです。

今回紹介するのは、アビー・ロード周辺では高層建てといっていい9階建てのマンション。その最上階の部屋になる。

ロンドン中心部では、昨今の大規模再開発で超高層高級マンションも誕生していますが、それはまだ少数です。一般には古い街並みを好むイギリス人の嗜好か、市内にはそれほど規模の大きいマンションはありません。10階建てぐらいの建物でも、けっこう背の高い方に入るかもしれません。

マンション、お宅拝見!

今回は、私の家を紹介しましょう。間取りは非常にシンプルです。大きな窓があって、明るく広めのリビングルームは、キッチンスペースとつながっています。ベッドルーム2つにバス&シャワー・トイレも2カ所。ざっと90㎡ほどのスペースを手に入れたのですが、直したところは床と壁紙程度、それにリビングの天井をリムーブして高くしました。

リビングの床は組み木作りのウッディベース。

このフラットは比較的新しい物件ですから、建築時からインターネットのブロードバンド環境が用意されていました。それに加えて、数年前には全館高速Wi-Fiにも対応し、快適なネットライフがおくれるようになりました。フラットの住民はそれほど多くないので、全員が顔なじみ。ただし、住民会のような組織はありません。

メインのベッドルームはたっぷりと入る光が心地よい。

ゲスト用のセカンドベッドルームはウッディなインテリア。

小さなバルコニーに出れば、アビー・ロードの先に河沿いに開けたロンドンの中心方面が眺められる。

2か所のバス&シャワールームは機能的でコンパクトにまとめられている。

この建物では、ほとんどの家が分譲です。住民の多くは、購入後にリフォームしているので、たまに住民同士の家に行き来しても、まったく違う間取りで、自分のところと似た部分を探す方が難しいくらいですね。共用スペースといえるようなものはエントランスぐらいです。あとは裏庭の自転車置き場でしょうか。これらは管理会社がコントロールしています。

ロンドンでも自転車は人気。街中にはこんな自転車ショップも見られる。(C) Shutterstock

ロンドンのマンション事情

ここでちょっと、イギリスの不動産事情をお話ししましょう。イギリスで家をもつには2種類の方法があります。それは、「フリーホールド(自由保有権)」と「リースホールド(定期賃貸権)」です。フリーホールドは所有権売買のことで、一般的な不動産取得と同じものです。

一方、ロンドンなどの都会では、ほとんどがリースホールド物件です。これは土地や建物は王室や大貴族、法人などの所有となっていて、一定期間、その利用権を売買するものです。ただし、一定期間とはいっても、だいたい100年前後の契約になり、多くのケースでは室内の模様替えなども自由にできるというのが普通です。

街並みの美観や統一感を重視するイギリスでは、例えば自分の土地だとはいっても、好きなように家は建てられません。これは集合住宅でも同じで、ロンドンなら築10年、20年はまだ新しいほう。築50年で普通ぐらい。むしろ家は古いほうが価値があると思われている傾向さえあります。そこで、古いフラットのリースホールドを買って、自分好みで便利なように内装を替えるのが一般的なんです。

【ライター】ノビー・トリュー
“シティ”の投資銀行に勤務する40歳。週末はアビー・ロードにやってくる観光客相手のガイドに変身。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。そのため、一部見にくい写真がありますがご了承ください。

2012/03/30