[中華人民共和国・将軍澳のマンションライフ] マンション選びでは風水も注目ポイントに!

将軍澳ってどんな街?

高層ビルがひしめく香港。面積は札幌市とほぼ同じですが、人口は3.6倍。人口密度はここ数年、世界のベスト5に入りますから、オフィスもマンションも空に向かって伸びるしかありません。戸建ての家に住めるのは一部の人だけで、多くの市民はマンション暮らしをしています。

一般的なマンションの部屋は狭いものです。とはいえ、経済的に豊かになった現在では、クラブハウスやショッピングセンターを併設した、新しいライフスタイル提案型マンションが次々と登場。ひと昔前では想像もできなかったマンションライフが可能になっています。

香港市民が住みたい人気エリアの代表は、2002年に開通した九竜半島東部の郊外を走る、将軍澳線の沿線です。香港の心臓部である九竜半島と香港島へ行く2つの地下鉄に接続し、通勤可能エリアの広さが特徴です。なかでも注目されているのが、将軍澳駅近くのマンション団地。団地内にプールやテニスコート、バーベキュー広場、カラオケルームや子どもの遊び場など、住民専用の娯楽施設が併設されています。

さらに建物の低層部は、スーパーマーケットやレストラン、銀行のATMなどが入ったショッピングセンターとなっていて、その利便性から人気を集めています。

地下鉄将軍澳駅の向かいにあるショッピングセンター。この上はマンションになっている。

将軍澳駅周辺のマンションからの眺望。正面手前は埋立地。海を挟んで香港島が見える。

マンション、お宅拝見!

今回は将軍澳駅周辺にある、Sさん(35歳、会社員)夫婦の暮らす「ザ・グランディオス」をご紹介します。Sさんは、2LDK約58㎡の家を240万香港ドル(約2500万円)で購入しました。香港のマンションは対収入比で日本以上に高額なので、若い世代は夫婦共働きで住宅ローンを組んで購入するケースがほとんどです。購入後、室内のリノベーションは自由となっています。

敷地の正面玄関やマンション入口には大理石がふんだんに使われ、ホテルのロビーのようです。共用部には上にご紹介したような豊富な施設のほかにも、コンピュータルームや読書室、ボーリング場や麻雀部屋、卓球場やバトミントン場、ジム、サウナなどを備えたクラブハウスをもち、マンション内で余暇が過ごせます。ただし、ペットは禁止となっています。香港では「ペットは厳禁」というマンションが圧倒的です。

左)「ザ・グランディオス」には風水を意識したきれいな庭園があり、住民の気持ちをなごませる。右)クラブハウスの中にはボーリング場も完備されている。

香港の人々は縁起をかつぎます。それもあって、このマンションの庭園は、風水を意識して設計されています。すべてのマンションが風水に則って造られているわけではありませんが、民間デベロッパーが開発する高級マンションは、売りやすくするために風水を考慮することが珍しくないようです。

「ザ・グランディオス」は3棟のマンションからなり、約53㎡から約98㎡の2LDKと3LDKタイプに1,472世帯が暮らしています。3LDKタイプのなかには、住み込みの家政婦のための部屋が付いたタイプもあります。各棟にはエレベーターが5台設置され、住居用の6~57階(香港で一般的な広東語では「4」と「死」が同じ発音で忌み嫌われるため、14、24、34、44、54階はありません。29階は消防用)の移動を担っています。

香港のマンションの多くにはバルコニーがありません。マンションが狭いため、バルコニーにするぐらいなら居住スペースを確保したいという考えが一般的だからです。そうしたなか、このマンションはバルコニー付き。Sさん夫婦はこのマンションで暮らすようになって、バルコニーでガーデニングを楽しむという新しい趣味をみつけました。南向きで、天気のいい日は、海を挟んで香港島が望めます。「狭いけれど、この快適空間で仕事のプレッシャーも一気にリフレッシュ!」と、心のゆとりも十分のようです。

Sさん宅の様子。右手ドアの向こうは共用部のフロア通路。玄関はなく、いきなり部屋になっている。

左)夫婦の部屋。好きな映画やテレビ、音楽鑑賞はここでのんびりと。右)書斎としているベッドルーム。パソコン、本棚、洋服ダンスが置かれている。

台所の電子レンジの下には、スペースを取らないドラム式の洗濯機。狭い香港の住宅ではよく見るタイプだ。

Sさん宅は香港にはめずらしいバルコニー付き。ガーデニングも楽しめるが、お隣さんとはかなり接近している。

将軍のマンション事情

各部屋にはブロードバンドやWi-Fiなどのネット環境が充実しています。その一方、マンション内での近所付き合いは一切ありません。共用部は管理会社が厳しいルールを設けているので、清潔で安全で快適な空間が維持されています。

例えばセキュリティ面では、電子マネーカードの「オクトパス」に団地専用の個人情報を登録して管理する新システムを導入しています。団地内とマンション内に入るときは、このカードでドアロックを解除して入館します。ショッピングセンターから不審な人物が入り込まないように二重三重のチェックが施され、訪問客は総合受付で身分証を提示して手続きしないと入れません。

ホテルのロビーのような団地の入口。管理人が常駐し、人の出入りを監視している。

扉の右側にあるカード読取機に「オクトパスカード」をあてて、ドアのロックを解除して入館する。

ゴミ捨て場は各階にあります。これは、香港の一般的なマンションも同じです。ゴミは専属の清掃員が片付けますが、「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の分別はマンション住人の義務となっています。

香港ではマンションは投資対象なので、つねに売り物件が市場にあふれており、必要に応じた買い替えは十分可能です。人気の物件の方角は南向きのもの。同時に香港では風水も重要な要素となります。ですから、山や海といった風景も気にしながら、風水的にいい場所を選ぶ人も少なくありません。

【ライター】小野尚美
日本で産業経済紙記者、香港で日本語のビジネス・生活情報誌編集者を経験。返還後の香港観察がライフワーク。

※掲載情報は原稿作製時のものです。

2011/08/29