[アメリカ合衆国・ブルックリンのマンションライフ] ニューヨーカーに人気のエリアのマンション事情とは?

ブルックリンってどんな街?

大都市ニューヨークのなかでも、ブルックリンはこのところ住宅地としての人気が高まってきている注目地区です。もともとは18~19世紀にかけて、多くの工場や倉庫が建ち並ぶ産業地区として栄えていました。その後、1970年代に安い家賃と広いスペースを求めて移住してきたアーティストたちによって住宅地に変貌。

現在、古くからの建物は上品なロフトマンションになり、新築マンションも多く見られます。一戸建てはほとんどありません。古い建物をマンションに改造したところでは、一階部分を歴史的建造物として保存している例も少なくありません。

今回紹介する「The Clocktower」という名前のマンションは、イーストリバーに面した歴史的建物。

画家や音楽家などのアーティストたちが開いた街という痕跡は、今もいたるところにある。

そんなブルックリンは住宅地としてだけではなく、さまざまな面ももっています。最近ではハイテク関連のベンチャー企業やオシャレなショップが進出していますし、アートギャラリーも多く、アーティストのオープンハウスやアートフェアは毎年恒例になっています。ほかにも、ブルックリン橋とマンハッタン橋が見える地点は、観光地、格好の写真撮影場所としても有名です。今回紹介するマンション「The Clocktower」の最寄り駅は、地下鉄F線のYORK Street駅。「スターバックス」や、インテリアショップの「BO CONCEPT」などもあり、非常に賑やかな場所です。

マンション、お宅拝見!

この街では、古い建物の部屋を購入して自分たち向けにアレンジするのが普通ですから、改造に関しての厳しい規制はありません。しかし、ここは「契約」の国・アメリカです。まずは「ボード」という管理組合での許可を取ってからでなければ何事も進みません。

今回紹介する「The Clocktower」は15階建てで、かつてはタバコ工場だったといいます。現在は住宅用に改装され、84㎡~230㎡までの部屋に40家族ほどが暮らしています。そのうちひとつ、スティーヴ・スヴェンソンさん(カメラマン、40歳)一家は、同じくカメラマンの奥さんと7歳の息子さんの3人家族。スヴェンソンさんが3年前にこのスペースを購入した第一の理由は、とにかく素晴らしい眺望だそうです。広さ200㎡のスペースを改装して、広々としたリビングに2ベッドルームと2バスルーム、ワーキングルームといった間取りにしています。

歴史を感じさせる「The Clocktower」。内部は大幅なリフォームが行われ、部屋ごとにまったく異なるインテリアとなっている。

間取りの特徴は、玄関を入ってすぐ右側がメインベッドルームになっていること。部屋の一部に畳を敷き、大勢のお客さんを呼んだときにはリラックススペースとしても利用しています。左手の大きなリビングにはネコが4匹。このマンションではほとんどの人がペットを飼っています。イヌとネコの割合はほぼ6対4といったところでしょうか。ほかには、どの家族も観葉植物にはこだわりをもっているようです。

床の一部に畳を敷くなど、東洋趣味をさりげなく施したメインベッドルーム。

広々としたリビングルームを2つのスペースに区切り、一方はゆったりとしたイメージに。

キッチンスペースに付属した小リビングは、木製家具でシンプルにまとめている。

タイル張りのトイレットスペースも広々とした気持ちよさ。

ブルックリンのマンション事情

この街のリサイクルや省エネ意識は高いものがあります。特にゴミの分別はもはや常識。マンションの各階には、トラッシュ、シューターがあります。住民は生ゴミと金属、グラス&プラスティック、そして、新聞や印刷物、雑誌等の3種類に分別しておき、それぞれを電子ボタンで選んだうえでシューターに各自、好きな時に投げ入れるというシステムができあがっています。日本とは違って、曜日によって分別するということはありません。

また、ニューヨークではITのない生活は想像できません。パソコンは1人1台というのが当然です。マンションのビル自体が大手のケーブル会社と契約していて、回線料金はずいぶん割引になっています。そのほかに個別にモバイル契約を結んでいる人も多いようです。最近では、みんなが使っている端末はほとんどがスマートフォンですね。

住民同士のつながりについてお話ししますと、これは住んでいる人次第というところがあります。スヴェンソンさん一家が引っ越した当初は、お互いの交流が少し盛んでしたが、その後、どんどんと住んでいる人が代わり、今は挨拶を交わす程度だそうです。以前の住民は、アーティストが多かったのですが、最近では法律家やビジネスマンの家庭がふえてきました。全居住者が参加する全体ボードミーティングは年に2回ですが、理事に相当するボードの中心メンバー5人ほどは、毎週のようにミーティングをしているようです。共用施設やスペースとしては、入口にドアマンが常駐。13階には住民用のジムがあり、屋上も開放されていますが、利用するのはほんの一部の人に限られています。住民みんなの関心は、1階の表通りに面したアート展示スペースです。毎月展示内容が替わるので、季節感が楽しめるのだそうです。

マンションの入口には24時間ドアマンが待機して、住民のセキュリティをガード。

屋上の共用スペースからはイーストリバーをまたぐマンハッタン橋が目の前に。

【ライター】出浦律子
NY在住18年。音楽雑誌編集などを経て渡米。フラワーコーディネーターを職業に。

※掲載情報は原稿作製時のものです。

2011/08/29