[フィンランド共和国・ヴオサーリのマンションライフ] さすがサウナ大国。マンションにもサウナがありました

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ヴオサーリってどんな街?

ヴオサーリはフィンランドの首都ヘルシンキの15kmほど東に位置したベットタウン。保護区に指定された豊かな自然と、数多い入江が作り出す多彩な水辺の風景で名高い街です。ヘルシンキからこの街までは、私たちフィンランド人が愛着と親しみを込めて「世界で一番小さな地下鉄」と呼ぶ赤い列車を使うと、約20分で到着します。

ヴオサーリの地下鉄駅。街の中央に隣接してショッピングセンターやマンションが並ぶ。(C) Shutterstock

ヘルシンキ中心部とヴオサーリなどのベッドタウンを結ぶ主要交通網は、バス。(C) Shutterstock

自然のなかに開けた街ですから、自然と調和した一戸建ての住宅も少なくありません。ただし郊外の住宅地とはいっても、ここは首都へ通うビジネスマンが多く生活するところですから、大半の人はマンション住まいです。巨大ショッピングセンターと一体化した地下鉄の駅から徒歩圏内には、比較的低層の大規模マンション群が並んでいます。

一般的なマンションは4~5層建ての低層型。一棟に10~20家族が住んでいる。

寒冷地だけに、どの窓も採光を考慮して窓を大きくとり、二重サッシになっている。

マンション、お宅拝見!

この辺りのマンションに暮らしている住民の平均的なプロフィールは、30~40歳代の夫婦と子どもの3人家族。その親の世代は都会からもう少し離れた場所で隠退生活をおくっているケースが多いですね。平均的な広さはほぼ100㎡。ここに3~4部屋、キッチンとバスルームが2つ+サウナスペースといった間取りが一般的です。1階であれば、これに、そこそこの広さのテラススペースが加わります。

フィンランドで人気のあるマンションのタイプは大きく2つに分かれます。1つは、ヘルシンキなどの街中にある外装内装に凝った小型のタイプ。もう1つは、ヴオサーリなどの通勤圏で、かつ海岸沿いで自然を身近に感じられるところに建つタイプです。

内装についていうなら、せっかく購入したのですから、自分たちなりに改造しない人は皆無。とはいえ、壁を撤去するほどの大工事に関しては(強度の問題もあるので)月一回のマンション理事会で承認してもらう必要があります。

ゆったりとした空間をとったリビング。照明は明るすぎず、温かみのある間接照明。

カーテンを開ければ、大きな窓からいっぱいの光が差し込む子ども用のベッドルーム。

夏期にはエキストラルームになるテラススペースも、冬は深い雪に覆われる。

私たちの国のマンションに特有の施設といえば、なんといってもサウナでしょうね。戸建てや最近のマンションには、必ず1戸に1サウナ。これはフィンランドの常識です。普通、サウナスペースからは直接バルコニーやテラスに出られるようになっています。

写真左)フィンランドのマンションならではの備えつけサウナ  写真右)サウナスペースのすぐ隣にはランドリーや乾燥機が設置される

 

ペットを飼っている家族は非常に多いと思います。残念ながら私の家にはいませんが、だいたい60%くらいの人がペットと一緒に暮らしているようです。一番多いのはイヌ。雪の季節以外は、早朝に散歩している隣人に出くわす確立が非常に高いですね。私の経験では、ほとんど同じ数のネコ好きもいるようです。

ヴオサーリのマンション事情

マンションには共用スペースの「クラブルーム」があって、集会や冬の間の子どもたちのプレイルーム、趣味の作業スペースといった用途に利用されています。サマーシーズンにはサイクリングが人気ですから、共同の駐輪スペースが確保されているのは当たり前なんですよ。

パブリックスペースには住民が使える大型の洗濯機などが用意されている。

北欧だけに、クラブルームの家具は白木のファーニチャーや丸太を利用。

春から秋に活躍する自転車も、冬の間はエントリースペース横の自転車庫で待機中。

すべての家庭で、インターネットは不可欠といえる生活インフラになっていると思います。むしろ、すでに急速に次の段階へ進んでいるといってもいい。つまりモバイル化です。フィンランドは「NOKIA(ノキア)」の国ですからね。スマートフォンがパソコンを駆逐する日も遠くないのではないかな、と思います。

マンションでの近所付き合いについてお話ししましょう。私たちフィンランド人は、基本的に「人間は誰もが自分独自のスタイルで生活する権利がある」と考えています。ですから、近所付き合いは各自の独自性を尊重したうえに初めて成り立つもの。簡単にいえば「よけいなお節介はしない」のが共同住宅のルールです。ただし、共通の義務や利益に関することについては、誰もが積極的に加わります。

例えば、リサイクル。紙やガラス、乾電池などの集団収集は当たり前ですし、除雪作業やマンションのメンテナンスを共同発注したり、年に2回ですが周辺の芝生作りや整備、フェンスの塗り直しなどをボランティア活動の一環として行うことがすっかり定着しています。

【ライター】イエロ・ヒーボネン
ヘルシンキの情報誌『City Press』編集者。夏はヨットとサイクリング、冬はクロスカントリーと趣味はスポーツ三昧。

※掲載情報は原稿作製時のものです。
※ライターの自宅マンションというプライベート空間を撮影する関係上、ライター自身で撮影を行っています。そのため、一部見にくい写真がありますがご了承ください。

2011/08/29