家計を「経営」として考えよう⑥~自分の住宅ローンをチェックしよう!~

モーリー博士のマネー講座コラム、今回は、前回同様Aさんのお宅を例に、気になる住宅ローンについてお伝えしていきます。

前回のコラムはこちら
家計を「経営」として考えよう⑤~人生の三大イベント「教育」の資金をプランニング~


Dr.Mory:住宅は、持ち家・賃貸に限らず、経済面・生活面で、大きな影響のあるイベントです。今回は、Aさんにご用意いただいた「住宅ローンの償還表(ご返済のお知らせ)」の半年間分を参照しながら、ご説明していきましょう。

償還表の見本(数字は下記のものと若干異なりますのでご了承ください)

まずは、現在の住宅ローンの確認をしておきましょう。借り入れの情報と返済内容が記載されているので、順番に確認していきます。

【Aさんの借り入れ情報】
借入金額 30,000,000
借入した日 平成23年4月30日
返済期限 平成58年4月6日
返済方法 元利均等返済
利率 0.88%
返済金額の取り扱い A
ベースレート 短期プライムレート連動長期貸出金利※

※短期プライムレートとは・・・優良企業に対して、短期(1年以内の期間)で貸し出す時に適用する金利のこと。

【Aさんの返済内容】 (平成23年4月時)
月額返済金額 82,949円
(うち元本分) 61,074円
(うち利息分) 21,875円
月額返済金額 29,938,926

Check1 借り入れ金額を確認する

借り入れ金は、いわゆる「借金」です。少しネガティブに感じるかもしれませんが、多くの企業も当たり前のように行っている一般的な資金調達方法の一つです。借り入れの期間は多くの方が数十年だと思いますから、まずは

『何歳まで返済しなければならないか』

を確認をしてください。返済終了が定年後になっている方は、年金や貯蓄から返済をしていくことになりますので、より返済計画が重要になってきますよ。

ただ、しっかりと返済計画を立てていれば、心配することはありません。Aさんの場合は、これから重要になってくる教育費とローン返済のバランスを、家計の中で整えておけば安心だと思います。ライフプランニングでは、単年度ではなく、教育費の出費が終わる15〜6年後まで計画を立てていきますから、しっかり計画することで、より安心感が得られると思います。

Check2 返済方法について確認する

次に、『返済方法が、「元利均等返済」と「元金均等返済」のどちらであるか』を確認しましょう。

元利均等返済は、元金と利息の合計額がずっと変わらない返済方法です。図のように返済金額は変わらず、元金と利息の割合が変化します。返済開始当初が一番利息の割合が多く、段々元金部分の返済の割合が多くなっていきます。

これに対して、元金均等返済は元金返済の部分を一定にして、ローン残高に合わせて利息を返済していく物で、同じ条件での借り入れであれば、元利均等返済よりも総返済額は少なくすることができます。しかし、当面の返済額は元利均等返済より多くなってしまいます。

元利均等返済と元金均等返済の比較まとめ
返済方法のパターン 特徴 メリット デメリット
1:元利均等返済 元金と利息の合計額がずっと変わらない 毎月の返済が一定なので家計管理がしやすい 返済当初は元金の減り方が遅いため、支払総額が元金均等返済よりも多い
2:元金均等返済 元金返済の部分を一定にして、ローン残高に合わせて利息を返済していく 返済当初から元金の返済総額が多いため、元利均等返済よりも利息が少なくなり、支払総額が少ない 返済当初は返済額が多い

Aさんの場合は、現在元利均等払いで返済をされています。月々の返済額が一定ですので、計画も立てやすいと思います。これからの教育費増加が不安ということでしたが、現在そこまで家計を圧迫していないとのことなので、返済額自体は問題のない額だと思われます。

Check 3 金利について確認する

最後に金利です。
Aさんは、現在変動金利(短期プライムレート連動長期貸出金利)を利用しています。今、金利は非常に低金利です。日本はこうした低い金利の状態がもう20年以上続いています。
変動金利は、固定金利に比べて目先の金利が低いので、現時点での返済については得をしているといえるでしょう。

金利について詳細はこちら
家計を「経営」として考えよう②~借りたお金の金利タイプ~

ただ、「将来金利が上がってしまうかもしれない」というデメリットがあるため、不安を感じている人も多いと思います。

変動金利の大きなリスクといえば、「未払い利息」です。

例えば、Aさんはすでに3年間にわたってローン返済をされているため、現在の月々の返済額は82,949円(うち利息20,343円[平成23年4月時])です。仮に、金利がこの3年間で毎年1%ずつ上昇した場合、3年経過後の金利は現時点の0.387 %⇒3.875%になります。月々の返済額は「5年ルール※」が適用され82,949円のままだとしても、実は返済利息だけで90,923円となってしまい、返済額を利息額が超えてしまい元本も返せない、利息すら積み残しができてしまう、という大変な状況になってしまいます。これが「未払い利息」です。なんだかすごくリスクがあって不安になるでしょう。

※金利が変動しても5年間は返済額を変えないというルールです。通常、年に2回の金利見直しを行いますが、金利変動があったとしても5年間は返済額を据え置きにするというのが「5年ルール」です。

さらに、5年ごとの返済額の見直しの際に金利上昇によって返済額が大きく上昇することになっても、これまでの返済額の1.25倍が上限になる、という「1.25倍ルール」もあります。

しかしここで申し上げたいのは、

「リスクは知っておくべきですが、必要以上に怖がることはない」

ということです。

少し考えてみてください。例えば金利が上がり続けると、先ほどのような「未払い利息」が発生してしまいますが、実際に変動金利は企業への貸し出し金利がベースとなって金利が決まります。
この金利が上昇するということは、多くの企業が融資を受けたいと思っている状況ということになります。金利も

借りたい人が多い⇒金利は上がる
借りたい人が少ない⇒金利を下げて借りやすくする

という、需要と供給の関係が発生します。企業が新規融資を受けるのは積極的な事業展開をする時ですから、「生産活動を活発にしている=個人消費が増えている」ということになり、「個人消費が増える=賃金の上昇」という経済環境になります。

では、現在の日本ではどうでしょうか?

給料が増えて、消費が伸びて、企業が借り入れをして生産活動を増強して、となれば金利の心配をしなければならないでしょう。もちろん、急激な金利上昇が起こらないとは限りません。ですが、今回試算したように、未払い利息が発生するのは、金利が3倍程度に跳ね上がった時です。これは、「毎年1%上昇する状況」つまりバブル期と同等の経済成長」という環境です。金利が上昇する状況は、原則的には経済が上向き、賃金も上がっている状況であり、逆もまた然りです。

こう考えると、想像以上にリスクを恐れる必要がないことを、おわかりいただけるのではないかと思います。世の中の金利や経済環境が上昇する事がないのに、住宅ローンの金利のみ上昇するということはあり得ないのです。

金利の動きというのは、株価や為替や国債など、様々な経済指標が影響しますので、将来的な金利の動きを予測するのは困難です。しかし、ライフプランをきちんと組み立てて返済計画を立てておけば、日常的にはそれほど金利の動きを気にする必要はないと思います。大きな動きがある時は我々のようなFPが対処方法をアドバイスしますので、ご安心下さい。

2014/10/30

プロフィール

モーリー博士

某大手外資系金融機関に勤めるファイナンシャルプランナー。貯蓄・投資などお金の運用について、企業や家庭を問わず数多くの相談実績をもつ。わかりやすい説明には定評があり、相談するリピーターがあとをたたない。