家計を「経営」として考えよう⑤~人生の三大イベント「教育」の資金をプランニング~

前回はライフイベントの種類についてお伝えしていきました。では、今回は、Aさん宅を例にライフイベントを組んでいきます。まずは、三大イベント(教育・住宅・老後)のうち、「教育」についてプランニングしていきましょう。

前回の記事はこちら
家計を「経営」として考えよう④~教育、住宅、老後・・・ライフイベント資金をスムーズに運用するには?~

三大イベントその1:教育

Dr.Mory:Aさんには、10歳と7歳のお子さんがいらっしゃいますよね。お子様は、何か今後の進路や、行きたい学校の話をされたりはしていますか?

Aさん奥様:何となくですけど、友達ともそんな話をしたりするみたいです。私もあえて触れないというか、その話題はしていないですね。すごく費用のかかる「私立に行きたい!」とか言われたらどうしようかと思ってしまったり…(笑)

Dr.Mory:ご夫婦としてのお考えはいかがですか?まずは中学に関してですが、私立受験をするお友達も多いと思います。ぜひそういう問いかけをして、お子様とお話をしてみてください。友達も行くから、私立に行きたいというお子様も多いんですよ。

Aさん:そうですね!一度お友達のこととから話を聞いてみるとよいかもしれないですね。

Dr.Mory:お子様のご希望はもちろん、親御さんのお気持ちもあると思いますが、中学が私立希望でしたら、高校が公立希望という例はあまりないと思います。つまり、中高私立ということですね。また、大学に関してはいかがですか?例えば、お子様が「私立の医学部に行きたい!」と希望したら、すごくお金はかかるものの、叶えてあげたいと応援してあげますか?それとも、経済的な問題から、無理だとお話しますか?

Aさん:金額にもよりますが、あまりに多額にかかるようだと無理といいますね。できる限り行きたいところに行かせてあげたいですが。。。

Dr.Mory:ちょっと極端なお話かもしれませんが、教育費の準備というのは、こうしたことを事前に考えておくことが大事なのですね。近い将来、当然お子様にもいろんな希望が出てくると思います。今はまず、ご夫婦が大学に行かせたいかどうか、ということですね。公立・私立、文系・理系、医学部等で、準備も大きく変わってきます。

Aさん一家の年齢を時系列で並べてみますと、以下のとおりとなります。

Aさん 42歳 44歳 46歳 48歳 50歳 52歳 54歳 56歳
奥様 40歳 42歳 44歳 46歳 48歳 50歳 52歳 54歳
長女 10歳 12歳 14歳 16歳 18歳 20歳 22歳 24歳
長男 7歳 9歳 11歳 13歳 15歳 17歳 19歳 21歳

こうしてみると、Aさんのご家庭の場合、お子様の受験時期が重なりますね。

Aさん:精神的にもきついですね(笑)

Dr.Mory:でも、同時期ということは、合格時の喜びも2倍になりますよね。ポジティブに考えましょう。お分かりいただけると思いますが、こうして時系列にしておくと、いつ、何年後まで教育費がかかるのか、といったことが明確になりますよね。今後三大イベント「住宅」「老後」のプランニングもしていきますが、受験時や入学に関するお金のかかる時期と、「住宅」「老後」のイベントの出費が重なったりします。

そのため、ぜひこういった流れを把握して、「いつ、どのくらいお金が必要になるのか」をしっかり把握していただきたいと思います。特に、高校進学の際は、公立か私立かで、教育資金の準備も大きく変わってきます。反抗期になる前から、受験のことや将来何をやりたいかなど、お子さんとコミュニケーションを取っておくことがとても重要だと思います。

さて、ライフプランの視点で教育のお話をしますと、「進学計画=教育資金計画」のようなことになりがちなのですが、何も進学がすべてではありませんから、 留学や手に職をつけるといった、別の道をお子様と一緒に考えていくというのも大事だと思います。

私の経験でも、お子さんが日本で高校に進学せずに海外に行き、そのまま海外で仕事をして家庭を持って、という方がいました。この方の場合、結果的に当初予想していた教育資金よりも負担がかからずに済みました。学歴は無いよりあった方が良いとは思いますが、お子さんのやりたいことや考えも変わったりしますから、繰り返しになりますが、お子さんの希望が何かをしっかりと把握しておくためにも、普段からコミュニケーションを取っておくことが、ライフプランニングを立てるうえでも、とても大切なのです。

Aさん:なるほど。でも、子供の今後を自由に考えてよい、ということだと、かえってどうやって計画をたてていけばいいかわからなくなってしまうのですが、他のご家庭ではどのように教育資金計画を立てていらっしゃるのでしょうか?

Dr.Mory:そうですね。お子様が小さいご家庭はまだ何も決められませんし、とりあえず平均的なデータを使って計画を立てておくという方が多いですね。計画はいつでも変えられますから、見直すことを前提に考えておくと良いと思います。

ちなみに、文部科学省が統計データを出しています。これは平成24年度の統計ですが、3歳から15年間の高校卒業までの学習費の総額です。(学校教育の費用の他、学習塾や習い事を含んだ費用)

私立と公立の違いだけでもこんなに費用が変わってくるのですね。幼稚園から高校まで全て私立を選んだ家庭は、全て公立の家庭の約3.3倍もの費用がかかっています。

Aさん:まだ、子供とそこまで話してもいないですし、とりあえずこのデータを参考にしようと思うのですが、どのケースを選べば良いのでしょうか?

Dr.Mory:ライフプランニングでは、「入りは厳しく、出はやさしく」にしておくのがベターだと思います。収入を多く見込んでしまうのは少々危険ですからね。公立・私立だけでもはっきりさせておくのがいいと思います。

Aさん:では、

中学 高校 大学
長女 私立 私立 私立
長男 公立 公立 私立

にしておきます。これは変えても良いんですよね?

Dr.Mory:もちろんです。いつでもメンテナンスできますので安心して下さい。
ライフプランというのは一度決めたら、それに従ってレールの上を走っていく、という訳ではありません。好みも考え方も環境も変わります。常に可変していくものですので、できれば、年に一度くらいは、ライフプラン表をご夫婦で眺めていただく時間を作ってもらえると良いと思います。

私たち、ファイナンシャルプランナーも、プランニングをお手伝いさせていただいたご家庭には、
少なくとも年に一度はご訪問して、プランの確認や近況等をお聞きしています。

特に、教育というのは多感なお子様に関してのイベントですので、大きく変わりそうなときは、プランをどんどん変えて良いと思います。シミュレーションなので気軽にやってみて下さい。

2014/07/07

プロフィール

モーリー博士

某大手外資系金融機関に勤めるファイナンシャルプランナー。貯蓄・投資などお金の運用について、企業や家庭を問わず数多くの相談実績をもつ。わかりやすい説明には定評があり、相談するリピーターがあとをたたない。