NISAを始める前に気をつけたい3つのポイント

いよいよNISAが始まりましたね。
スタートは500万口座とも言われているようですが、新規というより既存顧客が新たに開設したケースが多いようで、新規市場の開拓はまだまだといったところでしょうか。

さて、今回はNISAの運用に関して注意していただきたいことを3つ挙げたいと思います。
ちょっとネガティブに感じるかもしれませんが、とても大切なことなので、すでにNISA口座を開設した人、開設を検討している人は、ぜひご覧いただきたいと思います。

①損益通算ができない

NISAの最大のメリットは「非課税」という点です。年間100万円までの投資で、どんなに増えても非課税で、儲かった分がそのまま受け取れます。一見、すごく得な感じがしますが、これは儲かった場合の話です。実は、損が出た場合にポイントとなる「損益通算」ができません。

損益通算というのは、例えばAという投資信託とBという株式にそれぞれ100万円ずつ投資をしていた方がいたとします。Aが120万円になり、20万円の利益、Bが80万円になって損を出してしまった…といったケースの場合、通常20万円の利益と20万円の損失で相殺をすることができます(図1)。NISAはこの相殺ができません。

すでに一般の証券会社の口座で100万円投資をしていた人が、新たにNISA口座で100万投資を始めたとしましょう。NISA口座の方は80万円に値下がりして、通常口座(一般口座/特定口座)の方が120万円に値上がりした場合、通常口座は課税対象なので利益20万円の20%の4万円が課税になります。2つの口座のトータルでは当初投資額と同じ200万円なのですが、損益通算ができないために、税金だけ発生してしまう、ということが起こってしまうんですね。

図1 損益通算

②5年間で一発勝負

利益が非課税になるのは非常にありがたいことですが、これは5年間で1回しか切れないカードです。NISAの非課税対象期間は5年間ですが、この間、何度も売り買いして最終的に利益だったので非課税にしてね、という制度ではありません。

5年の間に一度だけ売却をして出た利益(キャピタルゲインといいます)が無税になるというもの。まさにワンチャンスなんです。この決断はなかなか難しいですね。もう少しで利益が出そうかな、値下がりするかな、と迷っている間に、5年が経ってしまうかもしれません。

上場株式等の配当に関しては、「株式数比例配分方式」を選択しますと、非課税で受け取ることが出来ます。現在、配当金領収証方式等を選択している方は、非課税にはなりませんので、ご注意下さい。また、この方式を選択すると、保有している全ての株式が株式数比例配分方式になるので、この点も注意が必要です。

③5年経過後は?

NISA口座で100万円投資したものが5年経過するとどうなるのでしょうか?
通常は一般口座/特定口座へ移管されます。つまり、5年経過した後で、売却益を出した場合は課税の対象になってしまうということですが、逆に損益通算はできるようになります。(NISAは毎年100万円までの投資が可能なので、5年経過後新たに100万円枠を使ってNISA口座に移行することもできます)。

ただ、通常口座への移管時には注意が必要です。というのは、移管時はその時点での評価額で新たに買い直したと見なされるためです。例を見てみましょう。

2014年に100万円NISA口座で投資をしたとします。残念ながらあまり運用がうまくいかず、2019年にそのまま通常口座へ移管することにしました。その際の評価額は60万円になっていました。この場合、2019年に「60万円で購入をした」と見なされるのです。

その2年後、値上がりをして90万円まで持ち直しました。まあ10万円くらいなら損をしても仕方ないかと思い、売却をして90万円を手にしました。でも、この90万円は課税対象となってしまうのです。

しかも、最初の投資額100万円からは10万円値下がりしていますが、2019年に60万円で買い直したことになっていますので、90万円—60万円=30万円の利益が出ているということになり、30万円に対しての20%:6万円の税金がかかるんですね。(図2)

図2 5年経過後

こうして見ると、意外にNISAは投資をして放っておいても良い…類いの投資スタイルではないことがわかります。それでも非課税制度という魅力も捨て難い。

さあ、皆さんはNISAをどう活用されますか?

2014/03/10

プロフィール

モーリー博士

某大手外資系金融機関に勤めるファイナンシャルプランナー。貯蓄・投資などお金の運用について、企業や家庭を問わず数多くの相談実績をもつ。わかりやすい説明には定評があり、相談するリピーターがあとをたたない。