家計を「経営」として考えよう③~ライフイベント上のバランス~

Dr.Mory:では、ポイント④のライフイベント上のバランスに入りましょう。

ライフイベントとのバランスを考える上で、前回のお話に出た、繰り上げ返済の例を挙げて考えてみましょう。理屈でいうと、繰り上げ返済は支払利息を減らす有効な手段ですが、実際に得かどうかというと、家庭の状況によっては必ずしも「得な手段」とはいえませんので、注意が必要です。

Aさん:利息を減らせるのに、損をすることがあるんですか?

Dr.Mory:はい。たとえば、Aさんは、これから教育費の負担が増えるのではないか、というご心配をおもちでしたよね。第一回目で、ライフイベントには、自分でコントロールできる波のものと、できない波のものがあり、教育というイベントは、コントロールのできない波というお話をしました。

お子さんの入学時期は先延ばしにできませんから、そのタイミングごとに入学金などのお金を準備しておく必要があります。企業でいうところの資金繰り、いわゆるキャッシュフローが大切ですね。でも、もし多額の教育資金が必要だ、というタイミングに、繰り上げ返済をして手元資金を大きく減らしてしまったら・・・どうなってしまうでしょうか?

Aさん:現金が足りなくなってしまう・・・?

Dr.Mory:そうです。実際に、積み立てしていた貯金を取り崩したり、教育ローンを借りたりして対応されるご家庭もあります。せっかく1%という低金利をうまく利用して住宅ローンを借りても、それを返すために金利3%の教育ローンを借りてしまっては、元も子もないですよね。

なぜこういうことが起きてしまうかといえば、いつ・どのような資金が必要になるかという波を把握できていない、つまりライフイベントのバランスを把握していないという事が大きな要因になっているのですね。

同様のケースでいえば、生命保険にも同じことが言えると思います。
例えば、生命保険に加入されるのは、稼ぎ頭のご主人に万が一のことがあったときを考えて、というパターンが多いと思います。急死などで経済的困窮に陥らないよう、生命保険でカバーしよう、というのが目的です。ライフイベントのバランスを把握しているということは、いつ・どのようなイベントの波・必要資金の波がやってくるかがわかっている、ということです。

生命保険は、長く掛け続ける金融商品ですから、必要資金の波の大きさに合わせて保険を設計しておけば、無駄に大きな保障を準備したり、逆に不足してしまう、なんてことが防げるわけです。

住宅ローンや生命保険のように、一定期間固定出費が必要なライフイベントは、他に想定されるイベントや必要資金とのバランスがとても重要です。

ライフイベントを計画する際、お金の流れもしっかり把握していくことを「ライフプランニング」といいますが、イベントとキャッシュフロー、この波の流れをつかんで対策を練っていくことがとても大切です。ローンの見直しには、面倒なようですが、これが一番早道で効果的なんですね。

Aさん:なるほど!いつ、どのようなお金が必要かをあらかじめ把握できていれば、その時になって困ることはないですし、無理な返済をしようという考えも起こりませんよね。

Dr.Mory:ライフイベントのバランスを把握できると、どの金利タイプを選ぶべきかという判断にも役に立ちます。例えば、数年間は資金に余裕があるのであれば、利息を減らす為に変動金利を選ぶ、というような感じですね。


今回は以上です。次回からは、具体的にライフイベントを作成してみましょう。

2014/01/28

プロフィール

モーリー博士

某大手外資系金融機関に勤めるファイナンシャルプランナー。貯蓄・投資などお金の運用について、企業や家庭を問わず数多くの相談実績をもつ。わかりやすい説明には定評があり、相談するリピーターがあとをたたない。