家計を「経営」として考えよう

さて、ここからは家庭を経営として考えるうえで必要となる3つの基本的な考え方についてご紹介していきたいと思います。

まずみなさんにお伝えしたいのは、そもそも、みなさんが単純に食べていければいい、趣味もレジャーも一切やらないということなのであれば、家庭経営は不要です。なぜなら目標がなく無計画でも、毎日食べていけるくらいの収入はあるはずだからです。

でも実際にはみなさん、家族で旅行に行きたいし、数年後には家もリフォームしたいし、車も欲しかったり…と、色々したいことがたくさんありますよね?

「こうなりたい!」「こうしたい!」という要望を具体的にイメージすることは、その要望を目標に変え、達成するための力となります。また、それをしっかり実現するためには、将来的な予測や進め方が必要ですから、ぜひしっかりとキホンを学んでいきましょう。

3つのキホン その① 『家族のスローガン、ビジョンを考えよう』

企業では、「こうなりたい!」「こうしたい!」を達成するために「企業ビジョン」「企業理念」と呼ばれるものを定めています。

これは、その企業が「何を目指すのか」を大々的に掲げることで、働く人たちの意識や価値がひとつになり、目標を達成する力が大きくなるからです。簡単に言えば、スローガンのようなものですね。

実はこの「スローガン」、家庭経営において最も重要な要素なのです。
家族の価値観や目標がバラバラだったら、達成することは容易ではありません。「我が家では何を目指すのか」「我が家は将来こうありたい」といった価値や意識をとりまとめ、目標達成に向けて「ひとつ」になる。これこそが、家庭の経営者であるご夫婦が最初にすべき仕事です。

難しそうに感じるかもしれませんが、まずは一度、家族の「経営会議」を開いて、みなさんで「我が家はどうありたいか」や「目標」について考えてみてください。そしてぜひスローガンをたててみてください。明確な目標と、それを達成しようとする家族の意志があってこそ、はじめて家庭経営を行なう意味があり、源となるのです。

3つのキホン その② 『企業も家庭も「予測」が大切』

企業は、簡単に言えば良い商品やサービスをたくさん作って売り、同時に経費を節減して「利益」を高め、その企業に係わるあらゆる人(株主、顧客、取 引先、従業員など)に還元することを目指しています。

ただ、この世の中何が起こるかはわかりません。商品やサービスの不具合や、景気の低迷など、企業の経 営を悪化させる物事がいつ起こってもおかしくありません。その時に何も準備していなければ、対応できずに会社は倒産。。。なんてこともありうるのです。

企業では、そのような将来的に必要なお金や不測の事態をある程度予測しておくことで、長期にわたって安定した経営を行っていける取り組みを行っています。
この取り組みこそ、前回考えた家族の目標を達成するために必要な、「家庭経営」の基本となります。

例えばお子さんのいる家庭では、保育園・幼稚園・小中高大と学校に行くことはわかっているわけですし、家をお持ちの方は○年後まで○○万円のローン 返済があることはわかっているわけです。もちろんそのほかにもたくさんの出来事が起こるわけですべてを予測することはできませんが、わかることもたくさんありますよね。

将来的に予測できることを踏まえて家族の目標や人生の計画を立てて行くことが大切であり、「家庭経営」なのです。ちなみにそのお手伝いするのが私たちファイナンシャルプランナー(FP)で、この計画を「ライフプラン」と呼んでいます。このライフプランをしっかりと計画することで、長期にわたって力強く安定した「家庭経営」が行えるのですね。

3つのキホン その③ 『やりたいことをリストアップしよう』

家族全員のやりたいことや欲しいものはたくさんあると思います。まずは、「とてもできそうにないから」とか「きっと無理だろうな」といった遠慮をせず、どんどん書き出していきましょう。
ライフプランでは、この書き出した物事を「ライフイベント」と呼んでいます(単にイベントと略す場合もあります)。リストアップは、必ず必要なものから書き出していくのがポイントです。お子様の教育やマンションの住宅ローンなどが代表的ですね。

あとは、自動車であったり家具であったり、趣味や旅行(帰省)なども書き出していきましょう。ちなみに食費や光熱費はライフイベントではなく「生きていくための必須条件」なので除きましょう。

次に、書き出したライフイベントを「時系列」に並べ替えます。
やりたいことであればいつやりたいのか、どのくらいの頻度でやりたいのか、欲しいものもいつまでに欲しいのか、いくつ欲しいのかなどを、家族みんなでいっしょに考えてみましょう。

最後に、ライフイベントの中で「叶えたい」順番に優先順位をつけていきます。
何でも手に入れられるような財力があれば問題ないのですが、現実的には難しいものです。まだこの段階で「かなう」「かなわない」の判断はできませんが、どれから先にかなえたいのか、優先順位を決めておく必要があります。

家庭の経営を考える際とても大事なことは、「先にお金のことを考えない」ということです。まずは、「将来手に入れたいコト/モノ」や「実現したい!」ことを管理していく、すなわち「イベントのマネジメント」が大切なのです。

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2013/09/26

プロフィール

モーリー博士

某大手外資系金融機関に勤めるファイナンシャルプランナー。貯蓄・投資などお金の運用について、企業や家庭を問わず数多くの相談実績をもつ。わかりやすい説明には定評があり、相談するリピーターがあとをたたない。